「仰げば尊し」の意味と使い方・由来・歌詞の意味|いととし
更新日:2024年06月29日
「仰げば尊し」の意味と使い方
「仰げば尊し」といえば、定番の卒業ソングです。卒業式のシーズンともなると、どこからか「仰げば尊し」のメロディが流れてくることもあるでしょう。徐著のあるあのメロディラインを聞くと、懐かしい日々を思い起こす方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それだけ卒業式の定番として君臨してきた「仰げば尊し」ですが、その意味をきちんと理解している方はあまり多くありません。確かに少々難しい言い回しや、あまり馴染みのない語句が「仰げば尊し」の歌詞には多く出てきます。今回は「仰げば尊し」の意味などについて掘り下げてみましょう。
「仰げば尊し」の意味とは
「仰げば尊し」とは、明治17年に作られた唱歌です。明治から昭和にかけてと平成の頭頃まで多くの学校の卒業式で歌われ、親しまれてきました。ドラマや映画でも卒業となるとこの曲が流れることから、抜群の知名度のある唱歌となります。
唱歌以外に対象となるものはありませんので「仰げば尊し」といえば、卒業生がこれまでお世話になった教師に感謝し、またこれまでの学校生活を振り返る内容の歌詞の楽曲となります。
「仰げば」の意味
「仰げば尊し」というタイトルと、その歌詞の冒頭に登場する「仰げば」についての意味を考えてみましょう。元々の形は「仰ぐ」となりますので、意味としては以下のようになります。
仰ぐ(あお・ぐ あふぐ )
1)上を向いて高い所を見る。見上げる。 「天を-・ぐ」 「山頂を-・ぐ」
出典: https://www.weblio.jp/content/%E4%BB%B0%E3%81%90 |
2)人を尊敬する。 「師と-・ぐ」
3)(目上の人や尊敬する人に)教示や援助を求める。恩恵を受ける。 「専門家の指導を-・ぐ」 「篤志家に寄付を-・ぐ」
4)(上を向いて)一気に飲み干す。あおる。 「毒を-・ぐ」
5)上を向く。あおむく。 「天つ水-・ぎてそ待つ/万葉集 4122」
「仰げば尊し」が歌われる背景や、歌詞から考えると、(2)が適切だと考えられます。しかし実際の意味は(1)が近いと言われています。
「仰げば尊し」とは、見上げてみるぐらい尊いものという意味を指しています。歌詞で見るとこの後に続くのは「我が師の恩」となります。つまり、「見上げてみてしまうほど尊い教師への恩」ということになります。
「尊し」の意味
尊い(たっと・い)
出典: https://www.weblio.jp/content/%E5%B0%8A%E3%81%84 |
1)地位・身分などがきわめて高い。高貴だ。とうとい。
2)非常に価値がある。貴重だ。とうとい。
「仰げば尊し」の後半にある「尊し」とは「尊い」という意味です。
一般的な「尊い」の意味はこの2つとなり、今回の「仰げば尊し」の意味で考えるとどちらも当てはまりそうですが、どちらかといえば(2)が適切です。
思わず見上げるほどの価値がある、貴重な経験をさせてくれた恩師への思いが、「仰げば尊し」というタイトルや、歌詞の冒頭で表現されています。
「仰げば尊し」の意味の由来
「仰げば尊し」といえば、冒頭でもお話ししたとおり卒業生がこれまでの恩師への感謝の意や、学校生活を振り返り懐かしむための唱歌です。
明治17年に発表された日本の唱歌ですが、実は長い期間「作者不詳」の唱歌として多くの研究者が研究対象として扱ってきました。日本の唱歌として発表されたはずなのに作者不詳という謎多き唱歌のため、「仰げば尊し」の意味や由来は、後付けで確認されていったものだと言えます。
仰げば尊しは作者不詳の唱歌
作者不詳のまま長らく研究が続けられてきた「仰げば尊し」ですが、決定的な証拠こそはないものの、作曲したのは「スコットランド民謡」ではないかという説や、明治時代の教育者であり近代日本の音楽教育や「吃音」矯正の第一人者と言われた「伊沢修二」ではないかという説などがありました。
その後もいくつかの近似する楽曲は見つかるものの、どれも確固とした証拠は見つからず、結局作者も作曲者も不詳のまま現在に至ります。これらのことから「仰げば尊し」の真の意味を知ることはできません。あくまでも推測でその意味を推し量るのみです。
「仰げば尊し」の歌詞の意味
初回公開日:2017年12月22日
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