更新日:2025年03月05日
炭すみのおこしかたに就いて一册の書物が出てゐるとか、「けだものの機械」といふ或る新進作家の著書に私がべたべたと機械油を塗つて置いて、かうして發賣されてゐるのだが、珍らしい裝幀でないかとか、「美貌の友」といふ飜譯本のところどころカツトされて、そのブランクになつてゐる箇所へ、私のこしらへたひどい文章を、知つてゐる印刷屋へ祕密にたのんで刷りいれてもらつて、これは奇書だとか、そんなことを言つて友人たちを驚かせたものであつた。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1574_15508.html
だからその時間も、機械的にペンを動かして、帝劇の筋書の英訳のやうなものを根気よく筆記した。が、その中に教室に通つてゐるステイイムの加減で、だんだん眠くなつて来た。そこで勿論、眠る事にした。 うとうとして、ノオトに一頁ばかりブランクが出来た時分、ロオレンス先生が、何だか異様な声を出したので、眼がさめた。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/17_14601.html
原稿紙の上には、ただの一行半句も認したためてないのである。全くのブランクである。上の一枚の原稿用紙がそうであるばかりではなく、その下の一枚ももう一つ下の一枚も、いや家中の原稿用紙を探してみても只の一字だって書いてないのである。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/3533_18204.html
初回公開日:2018年01月10日
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