「おとといきやがれ」の意味と使い方|使用例3つ・作品
更新日:2024年07月29日
「おとといきやがれ」とは
「おとといきやがれ」と言われてしまったことはありますか。または、誰かが別の誰かに向かって「おとといきやがれ」と啖呵を切っている場面に出くわしたことはあるでしょうか。
「おとといきやがれ」が使われている場面では、その正確な意味を理解していなくても、「おとといきやがれ」と言っている人が、なんだかとても怒っていることは感じ取れたのではないでしょうか。
「おとといきやがれ」の意味
「おとといきやがれ」は簡単に言うと、もう来てほしくない相手に対して使う言葉です。
それも、「できればもう会いたくない」くらいではなく、「もう二度と会いたくない」くらい強い嫌悪感を抱いている相手に対して使います。
あまり美しい言葉ではありませんし、なるべく使われたくもない、使いたくもない言葉です。「おとといきやがれ」という言葉をもっと深く掘り下げてみましょう。
来るのが不可能な「おととい」
そもそも「おとといきやがれ」と言われて、言葉どおりの実行をしようとしたら、どうなるでしょう。相手は、「おととい」「ここへ来い」もしくは「ここへ来てみろ」と言っています。
「おととい」とは、過去の日です。「(これから)来てみろ」という表現は未来に向かっての表現です。
過去の日に、未来に向かっての行動を実現させるのは、しょせん無理な話です。たまたま、おとといここへ来ていた、というのとは異なります。
「やがれ」は命令形
「おとといきやがれ」は、漢字交じりで表現すると「おととい来やがれ」という表記になります。「来やがれ」は、「来てみろ」もしくは「来い」という意味になります。
これらの意味であることからも分かるように、「来やがれ」という表現は、「来る」の命令形で使われています。
つまり「やがれ」の部分は命令形の活用であり、「来る」のほかにも「やる」なら「やりやがれ」、「使う」なら「使いやがれ」として使えます。
「やがれ」は方言
「きやがれ」という表現が「来る」の命令形であるということは、ご理解いただけたでしょうか。
しかしながら、実際に「きやがれ」とか「使いやがれ」といった言葉を使ったことがあるという人は、あまりいないのではないでしょうか。
「おとといきやがれ」とは、江戸っ子が好んで使った表現です。「やがれ」は江戸言葉という、「江戸ならではの方言」です。完全な江戸言葉では、「おとついきやがれ」になります。
来訪に不快感を示している
「おとといきやがれ」とは、「おととい来い」という意味であり、「過去の日に来い」と言っている無謀な要求・実現不能な要求といえます。
このような要求をするのは、裏を返せば「来るな」と言っています。「おととい来てみろ、来れないだろう、だったら来るな」という意味です。
「おとといきやがれ」は、実現不能な要求を口にして、相手の来訪を拒絶している表現だと理解しておきましょう。
「おとといきやがれ」の使用場面
強烈な嫌み発言ともいえる「おとといきやがれ」は、どのような場面で実際に使われているのでしょう。ここでは、「おとといきやがれ」が使われる場面をご紹介します。
実際に使われている場面の例文と、「おとといきやがれ」の意味を照らし合わせて、「おとといきやがれ」が使われる空気を感じ取ってみましょう。
例1:相手を追い返す
「おとといきやがれ」は、「来るんだったらおととい(過去)来い」つまり、「来るな」と意訳することができます。
招かれざる客が来たときに「おととこいきやがれ」と相手に啖呵を切ることで、「金輪際(こんりんざい)ここへは来るな」という激しい思いを表現できます。
【例文】
・お前なんざ、客でもなんでもねえ。おとといきやがれってんだ
・何をわけもわからないことを言っているんだ。お前のような奴は、おとといきやがれ
例2:時期尚早だと伝える
「おととい」の語源には、「遠い日」という意味も含まれており、「おとといきやがれ」は、「まだ機が熟していない」という意味で使われることもあります。
「おとといきやがれ」を「機が熟したら(遠い日に)来い」という意味だと捉えると、「時期尚早」を伝える言い方と理解することもできます。
【例文】
・まだこの話題を出すのは早すぎる。おとといきやがれ
・これ、まだ完成していないだろう。一旦帰って、おとといきやがれ
初回公開日:2018年02月16日
記載されている内容は2018年02月16日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。