「参ります」の意味と5つの用法・例文|「伺います」との違い
更新日:2024年07月12日
「参る」とは
「後日参ります」「して参ります」など、丁寧な言葉遣いのときによく耳にする「参る」という言葉、これはいったい何なのでしょうか。中学校、高校の国語の古文を覚えている方は、昔の会話にもこの「参る」がよく出てきたことを思い出す方もいるでしょう。
この記事では、「参る」を用いた「参ります」という言葉の意味と使い方を例文とともにご紹介していきます。また、似た意味をもつ「伺います」との違いについても説明します。
「参入る(まゐいる)」が転じて誕生した言葉
「参る」は、古語で使われていた「参入る」が転じた言葉だと言われています。「参入る」は「 貴人の住居など高貴な場所に入ること」「目上の人のもとに行くこと」という意味があります。
古語は、現代語よりも身分による言葉遣いがはっきりと分かれていて、使われている言葉だけで上下関係がわかるようになっています。「参る」はそのころの言葉遣いを引き継いだ単語であると言えるでしょう。
「参る」には色々な意味がある
現代語にも残っている「参る」という言葉には、多くの意味があります。ただし、これらの意味に共通しているのは、「自分(または主語に相当する人物)が低い立場や不利な状況にある」というニュアンスを持つということです。
現代語の「参る」も、古語の「参入る」の意味を引き継いでいるので、「目上の人のところに向かう」という意味の謙譲語として使うことが最も多いでしょう。そのほかの意味についても後述します。
「参ります」の使い方
「参ります」は「行く」や「来る」の謙譲語である「参る」に、丁寧語表現である「ですます調」の「ます」が付いた言葉です。敬語の扱いとしては謙譲語に属するとされ、「誰かが来る」「自分または自分側の人が行く」「〜くる(迫ってくるなど)」「〜いく(生きていくなど)」といった表現の際に用いられます。
実際に使用する上ではこのように、「参ります」の敬語の種類についても知っておく必要があります。
「参ります」の主な意味の使い方
ここからは、「参ります」の使い方を意味ごとにご紹介していきます。「参ります」は、数ある敬語表現の中でも、最も使用頻度の高い言葉と言えるでしょう。
先に述べたように、幅広い意味を持つ言葉であるからこそ、この用法ではどの意味を表しているのかしっかりと理解しておく必要があります。使用頻度の高い言葉ほど、誤用してしまったときの恥ずかしさは大きくなります。ここで確認しておきましょう。
1.「行く」の謙譲語あるいは丁寧語
「参ります」の一番メジャーな使い方としては、「行く」という動詞の謙譲語、または丁寧語として用いることが多いでしょう。謙譲語は自分側を下にする表現なので、自分や自分側の人間が「行く」時に使用できます。
例えば、面接や取引でこちらから先方に出向くことを伝えるときに「〇月〇日の×時に参ります」などというように使うことができるでしょう。自分だけでなく、自分の会社の身内や、家族の行動にも使うことができます。
2.「来る」の謙譲語あるいは丁寧語
「参ります」は、「行く」という意味だけでなく、その反対の意味の「来る」という意味でも用いることができます。「帰って参ります」という時の「参ります」は、「来る」という意味で使われている例の1つです。
外部の人からの電話などで、不在にしている人に対する問い合わせを受けたときには「○○は×時頃に戻って参りますので折り返しご連絡差し上げます。」などのように使うことができるでしょう。
3.「降参」の意を相手に表明する
「参ります」は「降参します」という意味も表すことがあります。「負けました」という意味で「参りました」という表現をしているのを聞いたことがある人もいるでしょう。「降参」という意味での「参りました」は囲碁の対局で投降を表すときの決まり文句でもあります。
「参ります」は「ます」がついていて丁寧語の表現になっていますが、単に「参った」と言っても「降参だ」「負けた」という意味を表すことができます。
4.「困惑」の気持ちを表す
「参ります」は「困惑しています」「困っています」という気持ちを表すこともできます。この意味で使うときは「参ります」というように現在形で用いるよりは「参っています」「参ってしまいます」というように進行形や、状態を表すような活用形で用いる方が良いでしょう。
「旅先で自動車が故障して参ってしまった」「手続きが煩雑でちっとも進まず参っている」というように使うことができるでしょう。
初回公開日:2017年11月28日
記載されている内容は2017年11月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。