「しかしながら」の意味と使い方・「しかし」との使い分け
更新日:2024年08月13日
しかしながらの意味と使い方
「しかしながら」という言葉は、最近の若い人の会話では、あまり使われなくなりました。堅苦しい感じ、年配者でないと使わない、そんな印象を受けるからでしょう。
「しかしながら」、この言葉の持っている意義には深いものがあります。「意味」と「使い方」を知っておくと、知識人としての自信にも繋がりますから、最後までお付き合いください。
漢字表記・「然しながら」には2通りの読み方がある
「しかしながら」を漢字では、「然しながら」や「然し乍ら」という風に表します。漢字で表現した場合、2とおりの読み方があります。つまり時代によって、読み方が違ったり意味も違いますので、その違いを知っておきましょう。
「然しながら」は、中世後期以前の古文では「さしながら」と読んだり、「しかしながら」と読んでも、「副詞」として使われる事が多く、中世後期以後では「しかしながら」と読んで、「接続詞」として使われる事の多い文節です。
然しながらのの意味
「然しながら」を「さしながら」と読んだ例は、「蜻蛉日記(藤原道綱母作)」や「拾遺和歌集(平安時代中期の和歌集)」の中などに見られ、「すっかり」や「あたかも」という意味で使われています。この場合の品詞は「副詞」です。
現代文で使われる場合の「しかしながら」は、「要するに何々」や「つまり何々」とか「結局何々」といった意味で使われることが多い文節で、この場合の品詞は「接続詞」です。前の言葉を否定する意味で使われる事が多いので、会話の中で多発するのは気をつけましょう。
然しながらの使い方
古文に出てくる「しかしながら」は「然」を「さ」と読み、副詞として使われる事が多いと紹介しましたが、副詞は動詞や形容詞を修飾(強調したり、詳しく説明すること)する文節です。具体的には次の様な表現をします。
例としては、「さしながら荒るべきものと(蜻蛉日記より)」→「すっかり荒れてしまうとは」、という感じで使われています。
現代文で接続詞として使われる場合は、
例1. あなたのその態度は確かに良くありません。しかしながら、あなたの気持は分らないでもありません。
例2. その格好は少し派手すぎます。しかしながら、綺麗に見せたい意図は伝わります。
という風に、現代文では接続詞として使われることの多い文節です。
然しながらの類語・同義語
然しながらの類語にはどんな言葉がある?
「しかしながら」の類語には、けれども、ところが、しかるに、それでも、だが、しかし、いうなれば、とは言え、などがあります。
然しながらの同義語にはどんな言葉がある?
しかしながらの同義語には、何々だけれども、そうは言っても、確かにそうですが、そう言われても、言いたいのはやまやまでしょうが、そう言われても、ごもっとも、などがあります。
一方でとしかしながらの意味の違い
「一方で」は、「他方で何々をしながら」という意味で使い、「しかしながら」は、「他はどうであれ」や「他はさておき」という意味で使いますが、どちらも品詞としては接続詞に属します。
例: 彼は政治家として活躍しています。一方で、画家としても一級の腕前の持ち主です。
例:彼は政治家として活躍しています。しかしながら、力を入れている絵の方は、まだ趣味の域を出ていません。
しかしとしかしながらの使い方の違い
「しかし」と「しかしながら」は同類語ですが、使い方は微妙に違います。どちらも一つの文節に対し、それと相反することを述べるときに用いますが、ニュアンスが微妙に違います。一例を上げてみましょう。
「しかし」の例:君の言い分は一理あると思う。しかし今ここで言うべきではないと思う。
「然しながら」の例:あの時啖呵を切った君には驚いたよ、しかしながら、これ迄になるとはもっと驚きだよ。
初回公開日:2017年12月04日
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