つつがなくの意味と使い方4例・注意点2つと類語・例文
更新日:2024年07月15日
つつがなくとは
「つつがなく」という言葉を使ったことはありますか。あまり馴染みのないように見えて、唱歌「ふるさと」の歌詞に使われていたりします。「つつがなしや友がき」とは、「ふるさと」の一節です。また、手紙などにおいては「つつがなくお過ごし下さい」のように使われています。
これを身につけておけば改まった場面などに使える語彙が増え、役に立つことが大いにあるでしょう。ここでは「つつがなく」の意味や使い方をご紹介します。
つつがなくの意味
「つつがなく」とは、「病気や災難がなく、平穏無事である」ということを意味する言葉です。息災であることが強調され、さらに気品を感じさせる表現になります。たとえば「つつがなく過ごしております」というのは、「病気やけが、事故や厄災など、心配事はなく平穏に過ごしております」という意味を表します。
健康状態を尋ねられた時に「つつがなく」と返せば、「何事もありませんよ」ということを簡潔に伝えられるでしょう。
「つつが」を漢字で書くと
「つつが」を漢字に直すと、「恙」です。「恙」は病気や災難、憂いなどを意味し、「つつがなく」では「恙」が「ない」として、「何事もなく」という意味を表すことになります。
「恙」という言葉は「恙虫」や「つつがむし病」のように、害を表す名称にも使われています。「恙虫」とはダニ目ツツガムシ科のダニの総称であり、つつがむし病を引き起こす害虫です。「恙」という字がいかに害を及ぼすものか、想像に難くないでしょう。
つつがなくの語源
「恙」は古来より「病や差し障り」のことを表していました。「ない」は「無い」と書き、「恙」が「無い」ということで、「病気や差し障りが無い」という状態を「つつがなく」という慣用句で表すようになりました。
「恙」は「恙む(つつむ)」ともいい、「障む(つつむ)」と同義でした。「障む」とは差し障り、差し支えるなどの意味を表す言葉です。「勢いを失わす」「支障が出る」といった意味があることも覚えておきましょう。
つつがなくの使い方と注意点
「つつがなく」とは、「無事に過ごすこと」や「差し障りがないこと」を意味する言葉と確認しました。手紙の冒頭や文末において体を気遣う文面として使用するのが一般的でしょう。
「恙」は「病気や厄災」の意味ですので、縁起を担ぐ結婚式やお葬式などに使用するのは縁起の悪いこととして好ましくありません。結婚式やお葬式には「順調に進んだ」という意味の「滞りなく」を使った方が適切でしょう。
例文1:つつがなく過ごす
「つつがなく過ごす」とは、「病気やけが、事故や心配事など、あらゆる災難を避けて暮らしている」、あるいは「家内安全、平穏無事で穏やかに暮らしている」という意味の表現です。
息災であることを強調することができるため、手紙などにさりげなく書き入れても相手に安心感を与えることができるでしょう。相手を気遣うだけでなく、自分の状況を簡潔に報告することもコミュニケーションにおいては大切です。
例文2:つつがなく旅が終わる
「つつがなく旅が終わる」とは、「病気やけが、事故や心配事など、あらゆる災難を避けて旅を終えることができた」という意味の表現です。旅というものは、長く家を離れて他所を渡り歩く行動ですから、危険も多く予測不可能な事態もあり得るでしょう。待つ人にとっては心配が尽きないことです。
「つつがなく旅を終えた」という一報さえあれば、身を案じている人も安心して日々を送ることができるようになるでしょう。
例文3:行事がつつがなく終わった
「行事がつつがなく終わった」とは、「ある行事について、事故や心配事、参加者や関係者のけがもなく、無事に終わりを迎えることができた」という安堵の意味を表す表現です。
ただし、既に述べてあるように、冠婚葬祭など縁起を担ぐ行事に関しては好ましくない表現となりますので注意してください。「恙虫」のように、害悪を直接連想させる言葉であるため、状況によっては不適切と考えられる場合もあります。
例文4:つつがなく挨拶をする
「つつがなく挨拶をする」とは、「事故や心配事、トラブルや災難なく、スムーズに挨拶をこなす」という意味の表現です。この場合には、挨拶という行動に「差し障る何か」が無かったことを意味しています。災害というよりも、挨拶に関する失敗のないことを「つつがなく」と表していると考えて良いでしょう。単に順調であることを表すために「つつがなく」を使う例です。
初回公開日:2017年12月13日
記載されている内容は2017年12月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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