「ご報告させていただきます」の意味と使い方・正しい敬語なのか
更新日:2024年07月29日
「ご報告させていただきます」の意味と例文
「ご報告させていただきます」という言葉を、皆さんも一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。ですが、この「させていただきます」という言葉は、相手によっては違和感をもつ表現でもあります。
ますは、この表現がどのように使用されているのか確認してみましょう。
ビジネスシーンでの使用例
社内外を問わず、「目上の相手」に報告したい時に使用されます。
「調査状況をご報告させていただきます」などのように、報告内容を伝える前に一言添えることで、相手にこれから話す内容(報告)を伝わりやすくすることができます。
また、「~しましたので、ご報告させていただきます」などのように、報告内容の後に一言添えることで、相手に伝えた内容がどういうものであったのか(報告であること)を明確にすることもできます。
ビジネスメールでの使用例
進捗状況や結果などを、社内外を問わず、「目上の相手」に報告したい時に使用されます。
「調査が終了しましたので、ご報告させていただきます」というように、報告内容を書く前に一言添えることで、メールの内容がより分かりやすく・伝わりやすくなります。
「ご報告させていただきます」は正しい敬語なのか
それでは、「ご報告させていただきます」という表現の何が問題として取り上げられるのか、他にどのような言い回しがあるのか、具体的に確認してみましょう。
二重敬語・誤用説
「ご報告させていただきます」という表現でよく取りざたされるのが、二重敬語についての問題です。つまり、「ご+させていただく」という点が二重敬語ではないのか、という考え方です。
また、「ご+報告」が誤用ではないのか、と考える方もいます。つまり、報告をする自分自身に敬語を使っているのではないか、という考え方です。
結果から述べれば、「ご報告させていただきます」は二重敬語ではありません。また、「ご報告」も正しい表現です。ただし、「させていただく」という表現は、状況によっては適切でない場合もあるので注意が必要です。
それでは、それぞれの単語に分けて考えてみましょう。
「ご報告」は謙譲語
「ご」は接頭語(単独で使用せず、他の言葉の上に付く語)です。ご報告の他にも、「ご親切」「ご丁寧」などのような使い方がされます。
「ご」という接頭語は、付く語によって敬語の種類が異なります。つまり、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなり得る言葉です。
今回の場合、報告する相手を立てるために使用していると考えることができ、ご報告のごは謙譲語となります。
「ご~させていただく」は「ご+させてもらう」の謙譲語
「させていただく」は「させてもらう」という謙譲語です。
二重敬語とは、1つの語に2つの敬語表現を重ねて使用したもののことを言います。今回の場合、「報告(ご報告)」を「させてもらう(させていただく)」ので、二重敬語には該当しません。
ただし、この「させていただく」という表現は、「相手の許可を求める状況において、許可をもらったことにより自分が恩恵を受ける場合」に限り、使用することができます。
謙譲語「させていただく」は状況によって正誤が異なる
「させていただく」は「させてもらう」という謙譲表現でした。つまり、「許可を求める・許可をもらい恩恵を受ける」という2つの状況に当てはまる必要があります。
「ご報告させていただきます」という表現を使用する場合、「報告の許可を求める・報告の許可をもらい恩恵を受ける」という状況であれば、正しい使い方だと言えます。
つまり、「ご報告させていただけますか?」「(相手から報告の許可をとった後で)ご報告させていただきます」は正しい表現、許可をとっていない状況で「ご報告させていただきます」は誤った表現だと言えます。
謙譲語「させていただく」のもう1つの意味
「させていただく」という言葉は、「許可を求める・許可をもらい恩恵を受ける」状況に当てはまる必要があるとご説明しましたが、この言葉にはそれとは別にもう1つの意味が含まれています。
「させていただく」は本来、許可をもらったことで恩恵を受ける場合に使用するのですが、状況によっては「相手を高める」ために使用されることがあります。つまり、「させてもらえてありがたい」という感情を表現して、相手を敬うという形です。
「ご報告させていただきます」をこの形に当てはめると、ここには「報告させてもらえてありがたい」という感情が含まれていることになります。こうすることで、報告される相手は報告する自分よりも高い存在だと暗に伝え、より敬うことができるという考え方です。
初回公開日:2018年01月31日
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