フリーランスが開業届を出していないとどうなる?確定申告における影響も解説
更新日:2024年10月16日
個人事業主であれば、銀行で屋号を付けたビジネス用の口座を開設できます。屋号とは、店名や事務所名など、事業主が事業で使用する名前のことです。ビジネス用の口座を開設する場合の手続きは銀行によって異なりますが、通常は開業届の提出を求められます。
銀行口座をプライベート用とビジネス用で分けておき、仕事に関する出入金をビジネス用口座で管理すれば、生活費などプライベートの出費と、仕事の必要経費の見分けが簡単につくようになります。
事業用クレジットカードを作れる
銀行口座と同じように、クレジットカードにも法人や個人事業主向けの事業用クレジットカード(ビジネスカード)があります。クレジットカードも、プライベート用とビジネス用に分けておくことで経費管理を簡略化できます。
また、一般的に事業用クレジットカードは個人向けのものより限度額が高いとされています。新しい機材が必要になるなど、事業では突然高額の支払いが発生することもあるため、事業用クレジットカードは資金繰り対策の一環としても有効です。
小規模企業共済に加入できる
小規模企業共済とは、国の機関である中小機構が運営する、小規模企業の経営者や個人事業者向けの退職金積立制度です。エンジニアの場合、常時使用する従業員が20人以下であれば利用できます。
この制度を利用すれば、会社勤めではないフリーランスでも退職金を受け取れるようになるため、将来への備えとして有用な制度と言えるでしょう。
出典:加入資格|小規模企業共済(中小機構)
参照:https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/eligibility/index.html
補助金や助成金の申請ができる
国や自治体などの公的機関では、事業者を支援するためさまざまな補助金や助成金の支給を行っています。補助金や助成金の中には、個人事業主が利用できるものもあります。
受給には条件があり、審査が必要なものもあるため、必ず利用できるわけではありませんが、返済の必要がない資金を得られるチャンスです。自分に条件の合う補助金や助成金があれば申請してみるのも良いでしょう。
フリーランスエンジニアが開業届を出すデメリットとは
開業届を出すことで、さまざまなメリットがあることは上述の通りです。では、逆に開業届を出すことがデメリットになることはあるのでしょうか。
ここでは、開業届を出す際に注意しておきたいポイントを4つ紹介します。
- 取引を記帳する必要がある
- 青色確定申告の計算が難しい
- 失業保険を受給できない
- 社会保険の扶養から外れる
取引を記帳する必要がある
開業届を出すとできる青色申告ですが、青色申告をするためには、日々の事業での取引を年末に貸借対照表や損益計算書を作成することができるような形(一般的には複式簿記という形式)で記帳する必要があります。
また、これらの帳簿や書類は、原則として7年間保存する義務もあります。
出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
青色確定申告の計算が難しい
青色申告は、開業届を出していない状態でもできる一般的な申告方法である白色申告に比べて、提出するべき書類の数が多くなります。
特に「青色申告決算書」は、1年間の収入や経費、資産などについて事細かに記入しなければなりません。計算して記入する項目も多く、難しいと感じる方も多いでしょう。
失業保険を受給できない
会社を辞めて開業する場合、開業するタイミングによっては失業保険を受給できなくなる可能性があります。
離職票を提出した日から7日間は、失業保険の基本手当が支給されない「待期」にあたります。この期間内に開業すると、失業保険の給付期間が始まる前に失業状態が解消されたことになるため、失業保険は受給できません。
また、会社を自己都合で退職した場合は、待期の終了後、1か月以上3か月以内の間、基本手当が支給されない「給付制限」の期間があります。この期間内に開業した場合も、同様に失業保険は受給できなくなります。
出典:雇用保険法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=349AC0000000116
出典:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
初回公開日:2022年06月30日
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