【業界研究】リース業界の現状・動向・課題について
業界の現状
リースとは何か
通常、企業が設備を購入する場合は代金を一括で支払う必要があります。一方、リースの場合は毎月の定額制になっていますので、企業は購入資金をすべて調達する必要がなくなり、初期費用を抑えることが可能になります。
つまり、「起業したい」「事業を拡大したい」「最新機器を導入したい」といった企業のニーズに応えて、さまざまな企業のビジネスをサポートするのがリース業界なのです。
リースの対象物件
リースの対象となるものは、パソコン、コピー機、工場用設備、医療機器、自動車、船舶、航空機、エネルギー設備といった動産がほとんどです。また、コンピュータ・プログラム等の無形のソフトウェアもリースの対象となっています。
レンタルや割賦販売との違い
リースと混同しやすいものにレンタルと割賦販売がありますが、両者ともいくつかの点において明確な違いがあります。
レンタル会社があらかじめ賃貸用に所有している物件を複数の利用者に利用してもらうことです。リースの場合は、利用者の指定した物件を、リース会社が購入して利用者に貸与するため、最終的に利用者1社にすべてを負担させることになります。一時的にしか使わない物件であればレンタルを利用するほうがよいといえます。
代金の支払いを分割して支払うことで、週賦・旬賦・月賦・年賦などの方法があります。リースとの違いは、リースが賃貸借契約であるのに対して、割賦販売は売買契約になるということです。要は、契約が終われば返却するのがリースであり、購入時または割賦金の支払い終了時に所有権が購入者に移るのが割賦販売になります。
主要なリース会社
リース業界の企業は、主に4つの系統に分類することができます。
- オリックス:業界最大手。投資、カード、生命保険等多角展開に強み
- 九州リースサービス:業界12位。
- 三菱UFJリース:業界2位。M&Aを積極的に推進
- 東京センチュリーリース:業界4位。航空機リース最大手
- 興銀リース:業界8位。中古物件に強み
- 芙蓉総合リース:業界6位。英航空機関連会社を買収
- 三井住友ファイナンス&リース:業界3位。航空機、新エネルギー資源拡大
- 日立キャピタル:業界5位。日立グループの連携を強化しつつ、海外事業に強み
- NECキャピタルソリューション:業界11位。情報機器に強み
- リコーリース:業界10位。医療・介護分野を強化
- NTTファイナンス:業界7位。カード事業も展開
- JA三井リース:業界9位。農業分野に強み
基本情報
- 市場規模:5兆393億円
- 労働者数:15,524人
- 平均年齢:41.3歳
- 平均勤続年数:15.0年
- 平均年収:676万円
リース業界は、市場規模の5兆393億円という数字からもその規模の大きさがわかりますが、バブル経済崩壊後(1990年代半ば)の市場規模は7〜8兆円前後を推移していたので、未だそのときの水準には戻ることができていないというのが現状です。
ただし、リーマンショックや東日本大地震後の2012年に3兆5,760億円にまで落ち込んだことを考えれば、アベノミクスの経済効果等により徐々にではありますが回復しているということができるでしょう。