初老は何歳からか・中年との違いと由来|広辞苑/40代/60代
更新日:2024年10月20日
初老とはいったい何歳から?
初老というと、あまり美しい響きに聞こえません。それは、「老」が言葉の中に入っているからでしょう。しかし、この初老には長い歴史があり、時代の変遷とともに初老と呼ばれる年齢が何歳くらいなのかが移り変わってきました。
日本では奈良・平安時代から、ある年齢を超えると長寿を祝う習わしがありました。その最初の祝いが初老で年齢は40歳でした。文献によると、10世紀に学問の神様と呼ばれた菅原道真の漢詩文集にも初老の句が記載されており、昔から初老という年齢は40歳を超える位から、という認識で長い間印象づけられて来ました。
しかし、現代における人の寿命は何歳も飛躍的な延びを示し、40歳という年齢では初老のイメージは湧きません。何歳からというはっきりした規定はないものの、肉体の衰えを感じ、病気を気にするようになる年齢としては、今の時代では60歳位からが初老の適切な認識といえるでしょう。
中年と初老の違いは?何歳から何歳まで?
初老とは違いますが、似たような使い方で中年があります。実はこの言葉同士は、区分のジャンルを分けて考える必要があります。ただし、いずれもはっきりした定義ではありません。
厚生労働省によると中年は、幼年・少年・青年・壮年の次に来るものとし、後に高年で終わるように区分されるという資料があります。
一方初老は、中国から由来した辻髪・志学・弱冠・而立・不惑・知命・耳順・従心などの中の「不惑」に当たるのが初老と言われています。
以上のように、違うジャンルとしては両方とも若くも年老いてもいないという印象では共通していますが、年齢にするとはっきりとその違いが見えてきます。では具体的に中年と初老は何歳から何歳くらいまでなのか、年齢としての分け方を考えてみましょう。
中年は何歳から何歳まで?
中年といわれる年齢には、何歳から何歳までという明確な区分はありませんが、大まかに説明すると、青年が終わり高年に入る前までの期間といえるでしょう。具体的に現代では40歳前後から60歳前後になります。
この年代を季節に例えると「人生の秋」ともいえます。さまざまな変化を受け入れながら、安定と不安定の間を振り子のように揺れ動く年代です。肉体的な変化・家庭や社会での立場の変化・老いや死に対する未来の恐怖心など、捉えかたによってはネガティブな年代ともとれます。
しかし、さまざまな困難に立ち向かいながら、克服していけるだけの経験と知恵を培ってきたそれまでの年月が救いとなり、より安定し充実した未来への架け橋となる年代でもあります。
初老は何歳から何歳まで?
初老についても中年と同様に、何歳から何歳までという区分はありません。中国では不惑という年齢が初老に当てはまります。孔子の論語の中に「四十にして惑わず」という有名な言葉がありますが、当時はその40歳位から不惑、つまり初老と認識されていました。
そして、論語では「五十にして天命を知る」という言葉で、中老と呼ばれていることを考えると、昔の時代は40歳から始まり50歳くらいまでの間を初老と認識していたことになります。
しかし、現代では平均寿命が飛躍的に伸びているため、60歳から70歳くらいまでを初老という認識が一般的になっています。つまり、60歳の還暦を祝う頃には初老を迎える感覚を持つということになります。
初老の男性について
初老という年齢の認識が何歳から何歳までなのかは、時代により変化してきたことがわかりました。それでは男性と女性における初老を比較しながら、その違いを説明していきましょう。
初老の男性というと、髪はグレーで高級なメガネをかけ、外車に乗ってパイプをくわえている、というようなダンディなイメージが浮かびます。しかし、現実にはさまざまなタイプの初老の男性がいます。
身体的な衰えによる心境の変化で、容姿を構わなくなる初老の男性もいます。逆に衰えることに抵抗しようとジム通いに精を出す方もいるでしょう。あるいは薄毛や白髪に悩む男性、性欲の喪失、記憶力の低下など、若かった頃に比べると格段に年齢からくる衰えを意識し始めるのが初老といえるでしょう。
初老の女性について
一方、初老の女性ですが、最初に顕著に現れる身体的な兆しとしては、「更年期」迎えることでしょう。人によって年齢の個人差はありますが、おおむね50代に発症します。さらにそれに前後するように「閉経」となります。
この時期になる頃から、特に病気でもないのに体の変調や精神の乱れなどが始まり、いわゆる「更年期障害」の症状がしばしば見られるようになります。そういった症状からようやく脱却した頃に初老といわれる時期が訪れます。
また平均寿命においても男女では大きな差があります。2016年の厚生労働省の調査によると女性が87歳、男性が81歳となっており、いかに女性が長生きするのかがわかります。つまり、老いを意識し始める初老の頃は、男女の数の差はないものの、それ以降は女性の方がより多く老いに直面することになります。
広辞苑の初老は40歳から
広辞苑は、岩波書店から出版された国語辞典です。1955年初版から60年以上に渡って改訂を繰り返し、今や知らない人はいないほどの日本の代表的国語辞典となっています。
そこでこの広辞苑で、初老を引いてみると、(1)老境に入りかけた年頃。(2)40歳の異称、と記載されています。確かに初版の発行当初の昭和30年代は平均寿命の関係から、40歳が妥当な年齢だったと推察されますが、今の平均寿命の流れに合致しません。従って現在でいえば60歳というのが実質的な年齢といえるため、次回の改訂版を待つことになります。
初老の由来とは?
さて、初老の時期が何歳から何歳くらいまでか大体わかってきましたが、そもそも初老という言葉がいつ頃から使われるようになったのか、その由来を具体的に説明していきます。
奈良時代から、40歳を節目に10年ごとに年齢を重ねたお祝いをするという習慣が始まりました。その最初のお祝いが初老とされています。
記録に残るもっとも古い文献では、菅原道真の「管家文草(かんけぶんそう)」という漢詩集の中に、「霜鬚秋暮驚初老」という句があります。秋の日暮に自分の霜のようになった鬚を見て驚き、老いの年齢を実感する、という意味ですが、この時道真公はまさに40歳でした。
このように、いつの世でも人は「老い」という避けられない時を迎える運命を持っています。その最初の兆しが初老ということになります。
人はどんな時に初老を感じるか
初回公開日:2018年02月18日
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