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一休さんにまつわるとんち話の紹介|屏風のとら/水あめ

更新日:2024年02月18日

童話本や絵本で一度は読んだりした一休さんのとんちの物語ですが、意外と知らないのが一休さん本人のことです。いつの時代に生まれ、そしてどのように育ったのかなど、一休さんのとんち物語のファンとして興味が尽きません。代表的な一休さんのとんち物語とともに紐解きましょう。

【あらすじ】

一休さんのとんち話 ― 「屏風のとら」

とんち小僧の一休さんのうわさを聞いた将軍さまがお屋敷に一休さんを招きました。将軍さまは一休さんのとんちを試したくなりました。

家来に連れられて将軍さまの前に出た一休さんに、早速、将軍さまがとんちの問答を仕掛けます。
「洛中でも評判のとんち小僧にどうしても頼みたいことがある。」と言って、将軍さまの御前の間においてあった屏風を指し示しました。その屏風にはとらの絵が描かれていました。

有名な絵描きさんが描いたのか、そのとらは牙をむいて今にも襲いかかってくる感じでした。
「そこにいる屏風のとらを縛り上げてくれ。夜になるとその屏風を飛び出して暴れ回って悪いことばかりするので困っている。」

一休さんは、その屏風のとらを見つめて、少し考えてから将軍さまに言いました。
「わかりました。あのとらを縛り上げて見せます。縛り上げる縄をご用意下さい。」
「やってくれるか。縄を用意しろ。」

(続く)

将軍さまに言われて家来が一休さんのところに縄を持ってきました。家来から縄を受け取った一休さんは腕まくりしてとらの絵の前で身構えました。

「ご家来衆、このとらを屏風から追い出して下さい。すぐに縛り上げます。」
一休さんに声をかけられた家来たちは困ってしまいました。

それを見た将軍さまが思わず一休さんに
「何を申すか。絵に描かれたとらを屏風から追い出せる訳がないだろう。」

一休さんはにっこり笑って将軍さまに言いました。「夜になると悪さをするとらですが、屏風から出てこないのですから縛り上げられません。」

将軍さまは返す言葉もありませんでした。そして一休さんのとんちにすっかり感心して一休さんにたくさんのほうびを与えました。

一休さんのとんち話 ー このはしわたるべからず

【あらすじ】

一休さんは京都のお寺でお勤めをしていましたが、そのお寺の和尚(おしょう)さんの碁仲間で大きなお店の主人がいました。主人はお寺でとんちの一休さんにやり込められたことがあって、一休さんに仕返しをしたいと考えていました。

ある日主人のもとから使いが来ました。「いつもお寺にお世話になっています。つきましては、和尚さんをもてなしたいので、一休さん共々お越し下さい。」

和尚さんは大喜びで一休さんを連れて主人のお屋敷に向かいました。立派なお屋敷の前には用水が流れていて橋が架かっていました。

橋を渡ろうとした和尚さんでしたが、その橋のたもとにあった立て札を見て和尚さんの足が止まってしまいました。その立て札には「このはしわたるべからず」と書いてありました。

これを読んで、和尚さんは怒って一休さんに「橋を渡るなとは、人を招いていて何を考えているのか。ばかばかしい、一休や、帰るぞ。」と言いました。

(続く)

ところが、立て札をながめていた一休さんは、「和尚さま、大丈夫です。橋の真ん中を通って参りましょう。」と言って和尚さんと一緒に橋の真ん中をとおってお屋敷に入りました。

これを見ていた主人が飛び出してきて、一休さんに言いました。
「橋を渡る前に立て札を読まずに入ってきましたな。」
「いいえ、ちゃんと読んで渡りました。」

「それじゃ、立て札には何と書いてありましたか。」
「このはしわたるべからず、とありました。」
「ではどうして橋を渡ってきたのですか。」

ご主人は一休さんをやり込めたと思いましたが、とんちの一休さんはすまして応えました。
「はしを渡るなと書いてありましたので、真ん中を渡ってきました。」

ご主人は一休さんのとんちに返す言葉もありませんでした。

一休さんのとんち話 ー 水あめ

一休さんがお勤めをしていたお寺の和尚(おしょう)さんは甘いものが大好きでした。甘いものの中でも水あめが一番好きでしたが、一休さんやお寺の小坊主に分け与えることなく、一人でこっそりと和尚さんの部屋でつぼに入れた水あめを舐めていました。

ある日、一休さんが和尚さんの部屋をのぞき込むと和尚さんが水あめを舐めていました。一休さんが部屋をのぞき込んでいたのに気付いた和尚さんは一休さんに怖い顔をして「一休、これは大人が飲む薬で大人が舐めるとよく効くが、子供には毒で舐めたら死んでしまうぞ。」と言いました。

一休さんは和尚さんが舐めているのが水あめだと気付きましたが、「毒ですか、よく分かりました.絶対に食べません。」と和尚さんに言って部屋から立ち去りました。

あくる日、和尚さんは用事があって外へ出かけていきました。和尚さんがお寺を出るのを見届けた一休さんはお寺の小坊主を集めて、和尚さんの部屋から水あめの入ったつぼを持ち出し皆で分け合って全部舐めてしまいました。

他の小坊主たちはからになったつぼに気付き和尚さんに叱られないか心配しましたが、一休さんは「大丈夫、心配しなくてもいいよ。」と平気な顔をしていました。そして皆を連れてお寺の客間に行き、床の間にあった和尚さんが大事に飾っていた茶碗を庭に持ち出し、わざとたたき割りました。

和尚さんがお寺に帰ってきたころを見計らって、一休さんは他の小坊主たちと一緒に目元をつばでぬらし泣き真似をした顔で和尚さんの部屋に行きました。和尚さんは一休さんたちの泣き顔を見てびっくりして尋ねました。

続き

「何を泣いているのか。一休。」
「客間で皆で遊んでいて、和尚さんが大切にしていた茶碗を割ってしまいました。お詫びに皆で毒の水あめを舐めて死のうと思いましたが、舐めても死にきれません。」

一休さんのとんちに気付いた和尚さんでしたが、今さら毒の入っていない水あめだったとも言えず、一休さんたちを部屋から早々に立ち去らせました。

たけのこのおとむらい

【あらすじ】

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初回公開日:2018年02月14日

記載されている内容は2018年02月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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