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「これに懲りず」の意味・別の言い方

更新日:2024年10月30日

「これに懲りずに、またいらしてください」こういった言い方はよく使われますが、これに懲りずにという言い方はどんな場面でも使える言葉なのでしょうか。ここでは「これに懲りずに」の意味と使える場面、反対に使わない方が良い場面をご紹介しますのでご参照ください。

これに懲りずの意味

「~これに懲りずに、またいらしてくださいね。」こんな言い回しは、よく聞くものです。この「これに懲りずに」とはどんな意味なのでしょうか。

まず、そもそも「懲りる」の意味は、「嫌な出来事によって再度同じ経験をする気力がなくなってしまう」ことを指します。そのことから、「これに懲りず~」という言い回しは、それ以前にあまり楽しい思いや経験をせずに苦労して気力がなくなった方に対しての励ましの言葉なのです。

また、「これに懲りず」という言葉は敬語ではありません。というのは、懲りるという言葉の前提は「あなたは失敗しましたよね?」というニュアンスを含むためです。目上の相手に対して「失敗しましたよね?」、又は「不快な思いをしましたね?」ということを指摘することは大変失礼なことですので敬語で話さなければならない場面では不適切です。

「これに懲りずに」は目下の人に使われる言葉

「あなたは失敗しましたよね」と相手に指摘する状況というのはめったにあるものではありません。そして、相手に対して敬語などを用いて尊敬を示さなければならない状況がそれに該当しないのは明らかです。

例えば、「これでもう懲りたよね?悪いことは出来ないんだよ。」このように自分や目下の人間に用いるのが当然なのです。また、「これに懲りずに精進していきます」のような言い回しであれば、目下のものが使うには謙虚で良い印象を与えることができるのです。

「これに懲りずに」の言い回しの妙

「これに懲りずに」の意味や目下の者が使うべき言葉ということは何となくわかっていただけたと思います。ここで、具体的な言い回しを見ていきます。

例えば、登山同好会が初心者向けに登山を行ったとします。代表者が終わりの挨拶で以下のように言います。

(例文)
1.「みなさん、今日はいかがでしたか?初めて登ったという方もいらしたようですし、疲れたでしょう。恐らくは明日、明後日と筋肉痛になる方も多いのではないでしょうか。しかし、これに懲りずにまた参加して山登りを好きになってください。」

こういった使い方は違和感なく感じます。しかし、例えばその登山同好会から2回目のお誘いが来たAさんが以下のように言います。

2.「ごめんなさい、その日は仕事が入っているので。これに懲りずに、次回は絶対に誘ってくださいね。」 


この場合、1.の言い回しであれば、これに懲りずという言い方も問題ないように思いますが、2.の言い方であれば違和感を感じる方も多いと思います。それは、目下の者(この場合初心者の者)が誘いをかけてくれた上位の者(登山愛好会主催者)を相手にこの言い回しを使っているからです。そういった場合に「これに懲りずに」を使うと失礼な感じが出てしまうのです。

ビジネスでこれに懲りずを使う場合

ビジネス上、「これに懲りず」という言い回しは不適切な場合が多いです。

例えば、企業や店においてお客様にお詫びをする場合に、失敗したりご迷惑をおかけしたことは反省すべきは店側であったり企業側であったりします。顧客からしてみれば、そういった経験は不運でしかありませんし、顧客の過失ではないわけです。それなのに、「○○様、この度は不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。これに懲りずに、またいらしてくださいね。」

このような言い方をされれば、「懲りるのはそっちの方でしょ?」とかえって顧客の怒りを増幅させる恐れさえあるのです。

これに懲りずの別の言い方

前述で「これに懲りず」を使った謝罪がありましたが、このような場面では「これに懲りず」という表現は適しません。もし失敗によってご迷惑をお客様かけてしまった場合は、顧客を主語に用いずにお詫びの言葉を言いましょう。

「これに懲りず」をビジネスなどで目上の方に対して別の言い方で言う場合は、以下のようになります。

例文その1

(例文)
「この度は本当に申し訳ございませんでした。二度とこのようなことがないように努めていく所存です。今後も、ご来店いただけましたら幸いです。」

このような敬語を用いるようにして、ビジネスでのお詫びには「これに懲りずに」は使わないように気をつけましょう。

目上の人にこれに懲りずを使う場合

「これに懲りず」が敬語ではなく、謝罪の時には使わない方が良いこと、また目上の人には使わない方が良いことを見てきましたが、では、目上の人に「これに懲りず」を使える場面はあるのでしょうか。

もし、そういった内容を承知の上で「これに懲りず」を使うのであれば、精一杯丁寧な言い回しを入れてみましょう。

これに懲りずに-例文その2

(例文)
「この度は納品日に商品を納めることができず、多大なるご迷惑をおかけしました。心よりお詫び申し上げます。皆様のスケジュールに多大なるご負担をおかけしてしまったこと、心苦しい限りです。今回のことを教訓として、スケジュール管理を更に徹底させて、各部署の連絡体制も強化していくこことなりました。今後は、決してご迷惑をおかけしないように職員一同一丸となって貴社に貢献していく所存です。誠に勝手ではありますが、これに懲りずに今後共どうぞよろしくお願いいたします。」

このように「これに懲りずに」の前にお詫びをしっかりと入れ、「誠に勝手ではありますが」と断りを入れた上で使用しているために、目上の人に対して使う「これに懲りず」の違和感をやんわりとではありますが、なくしてくれています。

上司からの誘いを断る場合に使う「これに懲りずに」

目下の者が目上の方に使うと何かと誤解が生じやすい「これに懲りずに」というフレーズですが、上司や先輩からの誘いにどうしても用事があって行けない場合などに、最後に今度は行きたいですの意味を込めて使う場合には、かえって良い印象を与えることもあります。

例えば、上司から帰りに飲みに誘われたという場合で、どうしても断りたくない先約があったという場合に、角を立てずに断るにはどうすればいいか悩みますよね。そんなときは、以下のポイントを押さえて断りましょう。

1.敬語で話す。
2.申し訳ない気持ちを伝える。
3.できない理由を話す。
4.次回は行きたいという気持ちを表す。

以上のようなポイントを押さえて、上司からの誘いを断ります。むげに断ってしまうと、上司の機嫌を損ねてしまったりして、二度と誘ってもらえない、また仕事上の関係にもヒビが入りかねません。お断りを入れる場合にも相手のことを思って慎重にお断りするようにしましょう。

例えば、以下のように断ります。

「誘っていただき、嬉しかったのですが、あいにくその日はどうしても断れない用事がありまして出席できないです。次の機会に是非行かせていただきたいので、これに懲りずにどうか誘ってください。」

このように伝えれば、どうしても行けない事情があるのだなと上司も納得しますし、次回には一緒に行きたいから誘いを入れようと思ってくれるかもしれません。こういった場面では、「これに懲りず」にという言い回しも、マイナスにはとられずにかえって印象を良くする表現になりえます。

これに懲りずにの表現はビジネスに不向き

「これに懲りずに」を使う場合は、その状況で言って相手に失礼でないかをよく考えて、極力ビジネスシーンでは用いない方が無難かもしれません。

もし、ビジネス上ご迷惑をおかけして謝りたいという場合は、「二度とこのようなことがないように」~という表現を使うようにしましょう。しかし、「これに懲りずに」という表現は、様々なシーンで使われることが多いフレーズです。

断りの連絡を入れる場合などに、「これに懲りずにお誘いください」という一言を添えただけで「今後、誘いを入れても良いんだ」と相手に伝わりますし、角をたてずに上手に断る場合に用いれば便利な言葉にもなり得るのです。

初回公開日:2017年08月12日

記載されている内容は2017年08月12日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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