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ドイツの「ファシズム」の意味と「全体主義」との違い

更新日:2024年07月18日

ファシズムという言葉に意味もわからず嫌悪感を持つ人も多いのではないでしょうか。それほどこのファシズムという言葉は世界から忌み嫌われている言葉といっても過言ではないでしょう。このファシズムという言葉はなぜ嫌われるのか、そしてドイツ、日本との繋がりを解説します。

ドイツの「ファシズム」の意味

ファシズムという言葉を学生のころ授業や教科書で見聞きした人も多いでしょう。しかし、そのファシズムの意味を理解している人は少ないと考えられます。

ただ、なんとなくファシズムという言葉に対してマイナスのイメージを持つはずです。それもそのはずで、世界的にファシズムの思想は否定されており、第二次世界大戦は建前上は反ファシズム戦争となっています。

構図としては米国、英国、ソ連、仏国、中国をはじめとする連合国側が自由主義と共産主義です。そして敗れた日本国、独国、伊国を中心とした枢軸国側が主にファシズムという構図となっています。

そして歴史が示すとおり、勝利したのは連合国です。そのため、枢軸国側の思想、理念は悪とされ、世界的に排除されていきます。

今回はファシズム、とりわけドイツのファシズムと日本のファシズム、そして世界の思想、主義について紹介します。

簡単に説明

ファシズムの意味を簡単に説明すると、ファシズムとは結束主義ともよばれ「国民が豊かになるにはまず国家に権力や富が集中する必要がある」ということです。つまり、国が一番上位であり、国民は国のために存在しなければなりません。

つまり、ファシズムの思想を取り入れた国では確実に独裁者が誕生します。ドイツの場合ですと、ヒトラーが最も代表的な例です。

そして外交政策では帝国主義をとります。帝国主義とは他国を侵略し、侵略した他国の権利を掌握し、自国に組み入れたり植民地支配する政策です。19世紀から20世紀前半は特に世界中で帝国主義が蔓延し、世界中で戦争が起こりました。ドイツもポーランド侵略を皮切りに、ヨーロッパ中を戦火に巻き込みます。

ドイツのファシズムはナチズムともよばれ、オリジナルのファシズムとはまた違った意味を持つものともいわれています。ファシズムとナチズムの意味の違いについて解説します。

ファシズムとナチズム

日本、ドイツ、イタリアのかつての枢軸国はファシズムであったと世界的に見られていますが、実際には少し違う部分もあります。

後述しますが、ファシズムを最初に標榜していたのはイタリアのムッソリーニであり、ヒトラーの率いるドイツのファシズムはナチズムといわれています。つまり従来のファシズムとは意味が多少違います。

ナチズムでは国とは民衆を誘導する一つの手段であるとしています。そして個人は否定され、共同体の精神としてのみ存在を許されます。つまり、指導者が右を向けといえば国民全員が右を向かなければなりません。これを否定することは国民ではないとされ、存在を否定されることになります。

ナチズムは広義的な意味ではファシズムの一つと考えられますが、その多くのイデオロギーはヒトラーの考えに基づいており、その考えの一旦はヒトラーの「我が闘争」に詳しく記されています。

「ファシズム」の意味の語源

ファシズムとは元々、イタリア語の「ファッショ」という言葉からきています。言葉の意味は「束」や「結束」です。この意味をとり、ファシズムは結束主義ともいわれています。

さらには「ファッショ」は「ファスケス」という短い杖を束ねた武器が語源とされており、この「ファスケス」は拷問や処刑の道具としても使用されていたという記述も存在します。

ファシズムとイタリア

言葉の意味からもわかるように、ファシズムとは元々、イタリアから発祥した思想です。そしてその思想、意味を世界に広げていったのがイタリアのムッソリーニです。

ムッソリーニは1921年に「国家ファシスト党」を結成します。その後、ムッソリーニは貧困に喘ぐ労働者たちの支持を集めていき、イタリアの政権を奪取し、独裁を強めていきます。その後、イタリアはドイツと日本と手を結ぶのですが、ドイツとイタリアに共通する点は、国民が政府に対し大きな不満を持ち、生活に困窮していたという点です。

戦前の日本はファシズム?

戦前の日本もファシズムであるという指摘がなされています。厳密にはナチズムと同様、広義の意味でのファシズムであり、純粋なファシズムとは意味が違っています。どちらかといえば「全体主義」に近い体制が当時の日本には存在したと考えられます。

しかし、日本と交戦した中国では抗日戦争を「反ファシズム戦争」と位置づけ、プロパガンダを行なっています。また、当時の日本を「天皇制ファシズム」もしくは「日本ファシズム」と表現することも多く、ファシズムの意味や範囲についてはいまだに議論が多いところです。

ファシズムと戦争

ファシズムとは「戦争」という意味で捉える人もいます。これは一概には間違いではなく、ファシズムでは戦争を肯定しており、戦争により自国の利権を広げるべきであると考えられています。

現代社会では全くもって意味がわからない考え方ですが、当時は他国を侵略して植民地を増やす、もしくは敗れて植民地になる、といった戦国時代でした。また、第一次世界大戦によって、ヨーロッパの戦勝国も敗戦国も大いに国力を落とし、国民には貧困が広がり、不満が高まっていたという背景があります。

特権階級のみが既得権益を貪る現実に嫌気がさしていた民衆は、まさにファシズムの目指す結束主義に心を惹かれていたはずです。国に権力と富が集中され、その後、分配される平等な社会という到底達成できない理想、そして果実を求め、独裁者の下、他国への侵略を支持します。

「ファシズム」と「全体主義」との違い

ファシズムと同義、もしくは近い意味の言葉として使用されるのが「全体主義」という言葉です。ややこしいですが、全体主義もファシズムの一つといえば一つですし、意味も似ています。

戦前の日本はこの全体主義であると考えられますが、そう考えるとやはり広義の意味で日本はファシズム国家であったといえます。ここではもう少し、ファシズムと全体主義の意味について解説していきます。

全体主義とは?

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初回公開日:2018年01月05日

記載されている内容は2018年01月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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