ドイツの「ファシズム」の意味と「全体主義」との違い
更新日:2024年07月18日
全体主義とは個人は全て全体、つまり「国に従属すべし」という考え方です。戦前の日本でよく言われていた「お国のため」「天皇陛下のため」という言葉を考えればなんとなく意味がわかるはずです。
要は、個人の意思に関係なく「その全てを国に捧げよ」という意味です。ただし、純粋なファシズムと違うところは、資本主義、民主主義も認められているという点です。
例として戦前の日本はかなり強い中央集権国家でしたが、民主主義、資本主義国家でもありました。当時の日本のような欧米列強に遅れて帝国主義に参加した国の場合、全体主義のような国家一丸、国民一丸となった政策をとらなければ、他国から逆に侵略されかねない時代であったという事実もあります。
社会主義と似ている?
ファシズムの思想は社会主義と似ている点があります。事実、ムッソリーニは元々、社会主義者です。社会主義の考えは「個人資産を認めず、富を国に集中させて労働に応じて平等に富を国民に分配する」というシステムです。
つまりファシズムも社会主義も個人よりも国に権力と富を集中させる完全なる中央集権国家です。そして社会主義に思想をさらに高めた思想が共産主義になります。
「ファシズム」の意味の定義
ファシズムについて解説していきましたが、ファシズムの定義はかなり難しく、現在も議論が行われてます。「ファシズムの定義とは」と問われた場合、以下のような定義が現在考えられます。
・国民は国家に集約された共同体であり個人は認められない。
・富や権力は国に集中する。そしてそれを運営、指導するための指導者が発生する。
・ファシズム国家ではすなわち独裁者が出現する。
・ファシズム国家は帝国主義であり、他国への侵略を是とする。
・全体主義も広義のファシズム。
・ドイツのナチズムも広義のファシズム。
主義や思想の意味を理解すると世界の見え方が変わる
世界には現在もさまざまな主義、主張を持った国が存在しています。そして、その国によって価値観も常識も世界観も全て異なります。
現代日本人が戦前の日本人のような考えも持てといわれても不可能ですし、その考えを理解することもできません。しかし、当時の世界はそのような時代であり、全体主義やファシズムのような考えが許容される世界でした。
今後、世界がどうなっていくかは解りません。しかし、多くの主義、主張を勉強することで、世界の見え方は大きく変わってくるはずです。
初回公開日:2018年01月05日
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