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「黎」の意味と使い方・由来・読み方・名前・成り立ち

更新日:2024年01月22日

黎は、一般的にはあまり馴染みのない漢字です。最もよくみる単語としては、「黎明期」または「黎明薬湯」でしょうか。この字は面白い成り立ちがあります。漢字を見てみると、穀物を表すのぎへんが付いているため、農作に関わっていそうですが、この漢字の意味は?ご紹介します。

「黎」の意味と漢字の成り立ち

黎という漢字はのぎへんです。のぎへんは、そもそもイネ科の植物の粟を表しています。黄河文明のころ、人々の主食は粟でした。そのため、禾は穀物の代表として、穀物の総称として用いられるようになりました。なお、米は実だけを示しますが、禾は茎や葉、穂など植物全体を表します。

それでは、のぎへんを持つ黎という漢字の成り立ちを説明しましょう。

もともとは黍

まずは篇の部分は黍で「ショ」と読みます。これは穀物のきびのことで、五穀の一つと数えられ、「きび団子」の主な材料です。この穀物は重要な作物として、ヨーロッパ文明では広く作付けされていました。

黍はのぎへんと雨の略字で成り立っています。この雨の部分が水を表しています。作りの部分は刀の象形文字です。

のぎへんに刀ですので、何か農作業に使う道具かと思いきや、「黒い」こと「多い」こと「人民」のことを表す漢字になりました。

もともとはこの「黍」という漢字でしたが、古代中国の秦漢時代に大規模な文字の革命が起き、楷書体が考案され、黎という字が確立されました。

黎=人民

黎はもともと「黍を刀で刈る」という「収穫」を意味している漢字の成り立ちでした。しかしなぜか意味が転化し、「収穫」を意味する語ではなく「黍の穂を刈る農民」を表すようになり、「人民」「庶民」という意味を持ちました。

また「黍の穂を刈る」ことから、外での作業が多いことを表し、外での作業の多い民は皆黒く日焼けしています。そのため陽に焼けて「黒い」ことを意味しました。

話の幅も広がります

黎は一般的によく読み書きをする漢字ではありません。常用漢字外ですし、突然記入しなければならなくなっても、きちんと書けるか自信がありません。そのため、名付けに使うのは敬遠されがちですが、響きや黎の印象その不自由さを補うくらいの魅力があります。

黎はもともと「収穫」に関する漢字の成り立ちだったのに、なぜか収穫をする「農民」を表すものになったという由来も面白く、興味を引きます。

そして、「農民は陽に焼けているものだから」や、「庶民」は冠をつけないので、黒い頭髪が見えるから、そんな理由で「黒」という理由を持たせたりと、とても興味深い成り立ちです。

漢字は身近にある、会話を助けるツールになりえます。どんなに簡単な漢字でもきっと、話のネタになるようなウンチクが眠っています。それから広がる会話の幅が必ずあります。このような小話を集めて困った時の雑談のネタにしてみてはいかがでしょうか。

初回公開日:2018年01月26日

記載されている内容は2018年01月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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