「名残惜しい」の意味と使い方・例文・語源・類語・対義語
更新日:2024年07月03日
「名残惜しい」の意味と使い方
名残惜しいとは、「別れることがつらい」「心が引かれる」「心残り」を表す言葉です。人と別れるとき、散会時間が近づいたときなど、もっと一緒に居たい、もっと楽しい時間を共有したいけれど別れなければならないという少し気持ちが残る場合に使います。
字のニュアンスからも、心寂しい気持ちが伝わってくるこの言葉は、別離の際の言葉です。口語よりも文語にて使われることが多いですが、散会のスピーチなどで使うこともできます。
人との別れるとき・見送るとき
楽しい時間を共有し愉快な話に花を咲かせて、もう少し楽しく過ごしたいけど、もう帰らなきゃ、というときにうら寂しいような、もう少し一緒に居たい、と言う気持ちを「名残惜しい」と表現します。
少し昔には、別れの際に「名残惜しゅうございます」と言って別れていました。「さようなら」や「また」と言うよりも「楽しい時間を過ごせました」と言う思いが滲み出る、奥ゆかしい表現です。
所有物を手放す
大切にして居たものを手放すとき、そのものを巡る思い出で手放しがたい。そう言う場合にも「名残惜しい」と表現します。未練とは違う、手離す決心はついているけれどもう少し、この思い出に浸っていたい、そんな状態を言います。
「名残惜しい」と「未練」との違いは、気持ちの尾を引く時間の違いです。「名残惜しい」は、手から離れてしまえば、すぐにスッキリと気持ちを切り替えられます。しかし「未練」の方は、その意味にもあるように諦めきれずにいつまでもぐずぐずとそれにこだわる、そんなイメージを持ちます。
いつまでも「もの」に未練を残すより、その「もの」の役目は終えたと考えて「名残惜しく」手放すのがスッキリとしたいい手放し方です。
引っ越しなどで土地を離れる
転勤や進学、家庭の事情などで引っ越すことになりました。いま住んでいる土地にはさまざまな思い出があります。いい思い出も悪い思い出も全ては「名残」となります。
「名残」は「終わること」「残るもの」と言う意味です。思い出は残ります。その思い出を新天地での生活のバネにして、新しい生活を楽しいものにする、名残惜しいと言う言葉は、このように前向きに進んでいく気持ちをも表します。
座を切り上げる
パーティや同窓会では、時間がすぎるのがあっという間です。まだまだ話していたいけれど、終了時間が迫っている、そんなときにこの言葉が活躍します。「そろそろ終了の時間です」とそっけなく告知するよりも、「名残惜しいですが、この辺でお開きにしましょう」と言った方が、「共有した時間を終わらせるのは、とても残念です」とした意味が伝わって、気持ちの切り替えがうまくいくでしょう。
また長居の客に対して「もう帰ってください」とはなかなか切り出せません。でもこちらの都合もあるし、どう言ったら引き上げてくれるかしらと困ったことはありませんか。そんな時もこの言葉は使うことができます。「お名残惜しいですが」と切り出すことで、相手も「お暇する時間だな」と言うことを察してくれるはずです。
「名残惜しい」の意味の語源
「名残惜しい」とは別れの際、心が残ることを意味しています。名残とは余波の音が変化した言葉です。余波とは「なごろ」「なごり」と読み、波が海辺に打ち寄せ、引いた後に残る海藻や海水などのことを意味しています。波が置き忘れた海のカケラが余波です。
これを「よは」と読むと、意味が変わり、台風や嵐の後の、まだ風の影響を残している波のことを意味します。これが転じて「とばっちり」のことも「余波」と言います。「余波」から転じた「名残」は、「よは」の意味をそのまま受け継いだ、「ある物事が過ぎ去った後に残る影響」と言う意味を持ち、また「なごろ」の海水や海藻のことを心に変えて「心を残すこと」と言う意味になりました。
惜しむには「大切にする」「思いきれずに残念がる」と言う意味があり、名残を惜しむには「人または物との別れを思いきれずに残念に思う」また「共有した時間を大切にする」と言った意味があります。
「名残惜しい」の意味の類語・言い換え
名残惜しいの類語には「心が残る」や「離れがたい」「別れがたい」など、気持ちが後に残ると言う意味の言葉が、類語、言い換えとしてあります。
「未練」や「後悔」だと、あまりにも気持ちが残って踏ん切りがつかないと言う印象を受け、「前向きに別れる」と言ったニュアンスを持つ名残惜しいとは少し意味が違ってきます。類語や言い換えに適切なのは、やはり「心が残る」でしょう。楽しい時間に心は残るけれども前を向く、そんな情景が思い描かれます。
「名残惜しい」の意味の例文
初回公開日:2018年01月26日
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