「ご息女」の意味都使い方・読み方・「様」をつけても良いのか
更新日:2024年08月28日
手紙の送付先が目上の方だとすると、手紙の形式を整えて、正しい言葉遣いに配慮する必要があります。かといって、硬い表現ばかりが続いては、受け取った相手もその手紙を読んでいて、窮屈な思いをされるでしょう。相手に気遣いをしながら、それでいて不快にならない言葉遣いを意識することが大事です。
手紙には、形式があります。「拝啓」などの頭語から始まり、時候のあいさつが続きます。それから本文となる主文になり、結文の最後に結語である「敬語」で納めます。手紙を書いた日の日付や、自分の名前、そして手紙を送る先の名前は、その後につづく結文に記します。
それでは、上司の娘さんの入学が決まったので、そのお祝いに贈るメッセージとして、例文を紹介しましょう。
上司のご息女の入学祝に送る手紙
拝啓
早春の候、いかがお過ごしでしょうか。
○○様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
このたびはご息女の△△様が高等学校にご入学が決まった旨を伺いまして、心よりお祝い申し上げます。
ご家族の皆さまのお喜びと感慨もひとしおかと存じます。
ご息女様が、たのしい学校生活を送ることができますよう、心からお祈りいたします。
敬具
平成××年×月×日
○○○○(手紙の差出人名)
○○○○(宛名)
「ご息女」に「様」はつけても良いか
手紙の文例でも紹介したように、「ご息女様」という言い方は通例として使われています。しかし文法的には間違った表現です。
「ご息女」という言葉はすでに敬語で、尊敬語です。この言葉に、さらに尊敬語である敬称の「様」をつけてしまうと、二重敬称になってしまいます。正しい敬語の使い方は、敬語表現は、ひとつの言葉につき1つとされていますので、二重敬称は避けるべき用法です。
職場でも上司に向かって、「部長様」とか「課長様」と使わないのと同じです。「部長」や「課長」などの役職の一種もすでに敬称になりますので、様づけはしないというのが原則です。
文書には「ご息女様」が使われる
ところが、相手への敬う気持ちから、「ご息女」では足らず、「ご息女様」と使っているのが実情です。礼状などで、目上の方に送る場合は、このような使われ方をしています。
使い分けが難しいですが、目安とすれば、話し言葉には「ご息女」と使い、手紙や電報などの文書には「ご息女様」と使ってもいいということになるでしょうか。ちなみに、「ご息女様」の「様」は、漢字で書いてもひらがなで書いても構いません。
「ご息女」が使える年齢
「ご息女」を使えるのは、何才から何才までという具体的な年齢設定はありません。「ご息女」は生まれたばかりのお子さんにも使えますし、立派に成人していても、年齢に関係なく使える言葉です。「ご息女」は、相手の娘さんを敬った語ですから、その娘さん年齢は関係ありません。
ただ、相手の娘さんの年齢が明らかに若い、小さなお子さんの場合は、「お子さん」や「お子様」を使っても差し支えはありません。また「お嬢様」を使ったほうが、適当という場合もあります。でも相手の年齢がわからないのなら、「ご息女」を使ったほうが無難だといえます。
「ご息女」の類語
相手の娘さんのことを「ご息女」と呼ばなくてはならないわけではありません。別の言い方もあります。
「お嬢さん」は大事な娘さんへ投げかける言葉
相手の娘さんがまだ幼ければ、「お子さん」といえば丁寧語になりますし、それに尊敬表現をつけて「お子様」または「お子さま」と言ったり、書き記すことができます。ただ「お子さん」というと相手の娘さんの幼さが強調された表現になりますので、相手の娘さんが幼いことが明白なときにだけ、使うべきでしょう。そうしなくては、相手に対して失礼に言い方になってしまいます。
もう少し相手を敬った表現がいいのであれば、「お嬢さん」や「お嬢さま」という呼び方もできるでしょう。「お嬢さん育ち」のような言い方があるように、「お嬢さん」には相手の娘さんが大事に育てられているというニュアンスが含まれますので、丁寧な呼び方といえます。
帰国子女で使われている「子女」を敬った言い方に直して、「ご子女(しじょ)」と言うこともできます。
「ご令嬢」はちょっとニュアンスが変わってくる「ご息女」の類語
「ご令嬢(れいじょう)」という言い方もありますが、ほかの「ご息女」の類語とは、少し違ったニュアンスが含まれます。
ご令嬢の「令」という語は、元々は「高官」や「長官」などの高い役職を意味する言葉でした。そこから転じて、「優れた」あるいは「立派な」といった意味が出てきます。
そうした意味合いの「令」という言葉が含まれている「ご令嬢」は、身分の高い相手の娘に対して使われていたという経緯があります。
今日では、目上の方に敬意を表しているので、その娘さんのことを「ご令嬢」と呼んでも差し支えはありません。しかし、そうした身分を意味する言葉が入っているので、「ご令嬢」と言われた方が、恐縮してしまう可能性があります。そのため、「ご令嬢」という語を使うときは、話す相手、書き送る相手に「ご令嬢」という語がふさわしいかどうかを判断してから使いましょう。
初回公開日:2018年02月16日
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