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看護計画の書き方と例|計画の実施と評価・不安な時の対処法

初回公開日:2017年08月16日

更新日:2020年05月27日

記載されている内容は2017年08月16日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

看護計画をたてる時に困るのは看護目標の抽出では無いでしょうか?看護目標がはっきりと抽出できていれば、その先の具体策や評価の仕方は自ずと分かりやすくなります。その人個別の、分かりやすい看護計画を立てるにはどのように看護目標を抽出するかを中心にまとめています。

看護計画とは

看護計画とは、患者の問題点に対して看護師の目線でその問題を解決すべく立案するものです。しかし、そうはいっても具体的にはどう書けばいいのか、実際の場面になると難しいと感じるでしょう。まずは、看護計画とはどんなものなのかご説明します。

患者の問題点を抽出する

看護計画の一歩・看護計画上の患者の問題点

患者の問題点を出すことは看護計画の最初の一歩です。しかし、ここでつまづいてしまう人が多い場所でもあります。患者の問題点を深追いしすぎてしまうことがよくあるからです。

患者は精神科以外は、大抵は身体的な痛みや苦痛、または健康診断の結果などをもって、その現在の問題点を解決するために病院に来ます。そこで医師の診察をうけ、必要であれば入院してその問題を解決しようと試みるわけです。看護師はその問題点に対して看護計画をたてるのですが、よく看護学校の先生や職場の先輩に言われることは「看護師の計画で医師の計画では無い。」ということではないでしょうか。

看護師の目標と医師の目標

看護師の計画であり、医師の計画では無いとはどういうことなのかをご説明します。例えば、骨折で入院してきた患者がいたとします。患者の問題点は明かに「骨折したこと」です。医師は、この骨折を手術なりギプス固定なりで治癒することを目標とします。

看護師も目指すことは同様です。最終的に骨折が完全治癒し、今まで通りの生活が送れることが医療機関全体の目標となるのは明らかです。しかし、骨折の治療は医師の仕事です。そこで治癒そのものは医師の目標となるのです。看護師の仕事は、その骨折の治癒課程を滞りなくサポートすることと、その骨折の治癒について患者が人間的・社会的に障害となることを取り除いていく事となるのです。

そこで、看護計画の問題点は骨折の治癒課程の障害を抽出することになります。単純なようですが、ここで問題を深読みしすぎてしまって混乱してしまうことが多々起こります。

看護師の目標にする

看護師の目標にしなければと考えるあまり、本来の骨折の治癒という最大のゴールからそれてしまったり、無理やり問題点を抽出してしまった看護計画が出来上がってしまうことがあります。

看護問題を考える時、私たちも人間的・社会的に生きていることから想像できる問題点を考えます。例えば、単純に骨折による「痛み」という問題点、骨折治療による「仕事ができない」「家事ができない」といった問題点、また骨折してしまったことによる「ショック」などを抱えている人もいるでしょう。こういった受傷したこととその治癒課程に関する障害を医療行為と人間的・社会的関係と絡めてみて、問題点を抽出してみましょう。

看護計画の書き方①看護目標

看護計画において、患者の問題点を抽出するところを見誤らなければ、大きくそれることは無いでしょう。問題点の抽出が終わったら具体的に看護計画を書いていきます。

患者の問題点を優先度に沿って整理する

患者の問題点はいくつか挙げられたと思います。次にそれを整理する必要があります。それは、ただ整理するのではなく、大切なのはその優先度を考えることです。看護計画立案に関してよく使われる「マズローの基本的欲求」になぞらえて整理していくと分かりやすいでしょう。

マズローの生理的欲求では、人間が満たされていないと人間として成立しにくい基本的な欲求が挙げられています。「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「尊厳欲求」「自己実現欲求」です。そして、この順番に人間として最低限必要な欲求であると述べています。
患者から抽出された看護問題を、この5つの順番を考えて整理して看護計画へ載せましょう。先ほどの骨折の例であれば、骨折の痛みが「生理的欲求」に当たり、最優先と考えられます。そして、骨折の治癒課程で骨折部位が不自由になり行動に危険が伴うことが「安全欲求」を満たしていないということで2番目の問題点となるでしょう。

骨折の治療で仕事や家事が出来ないことは「社会的欲求」や「尊厳欲求」「自己実現欲求」に相当していくと考えられます。この部分は、その患者により優先度が変わってくるでしょう。

看護目標を立案する

問題点を整理できたら、看護目標を立案します。これは看護問題に合わせて考えていきますが、ここでも躓きやすいポイントがあります。一言でいうと「看護計画上で評価できる目標かどうか」ということです。

看護問題に合わせて目標設定するのは、一見楽なように思います。しかし、目標を設定したらそれが達成できたかどうかを評価しなくてはなりません。看護問題や目標をただ立てるだけでは、問題をあげたままの状態です。それを評価することは、患者の治療が滞りなくうまくいっているかどうかの評価は重要なことです。

そこで、たてた目標を評価することを前提に考えた看護計画が立てられていることが大切なのです。

評価しやすい看護目標とは

評価しやすい看護計画の看護目標とは、基本的に「漠然としていない」ということです。例えば、看護問題が「骨折による痛み」に関することであれば、目標は「骨折による痛みがなくなる」ということが自然と浮かぶでしょう。しかし、この評価はどう表現すればよいでしょうか。大切なことは「いつまでに」「どのような状態」になっているかを具体的にあげることです。これらが漠然としていると、評価しにくい目標となってしまうのです。

通常骨折による激しい痛みは、手術をしたりギプス固定をして骨が通常の位置に嵌れば無くなっていくものです。そこで、ギプス固定や手術などの治療をしても痛みが続くのは不自然です。そこで、「骨折による痛み」は直接的な治療後数日で軽快していることがスムーズな状態です。その状態にするために治療をするわけです。

具体的には、漠然としない目標にするために必要な「いつ」に関しては、「手術後2日目までに」などと、「どのような状態」かは「骨折による痛みを訴えない」などと挙げられるでしょう。

更に分かりやすい看護目標にする

評価しやすい看護目標とは、時系列の問題だけでなく更にポイントがあります。書き方の問題とも言えますが、看護計画において書き方を抑えておけば後がやり易いというのは事実です。

そのポイントは「患者の具体的な行動や言動を挙げる」「目標は一つの問題点に対して一つとする」ということです。患者の具体的な行動や言動とは、先述したように「痛みを訴えない」などです。ここで「痛みが無くなる」という表現にしてしまうと、ではどうやって痛みが無くなったと分かるのか、となってしまいます。痛いと言わなくなる、痛みどめが要らない状態になる、など具体的に分かる言葉が看護計画には必要です。「痛みがなくなる」という、人によって評価が分かれるような曖昧な表現は避けます。

また一つの問題に対して一つの目標というのは、やはり看護計画が漠然としたものにならないためです。看護計画を評価・修正につなげていくためには、あまり雑多に詰め込むと具体策だけでかなりの量になってしまいます。そのような看護計画をみるのは大変ですし、チーム全員が共有できなくなります。そこで、看護計画の看護目標は一つ一つの問題点に対して、一つずつということになります。

看護計画の書き方②具体策

OP(観察項目)

OPとはObservation Planの略語で、観察項目という意味です。看護計画を具体的にするうえで、ここでは客観的な目線で患者の心身の観察すべき内容、観察しなくてはいけないことをあげていきます。
骨折による入院であれば

・受傷部位の痛み、腫脹
・知覚トラブルの有無と程度
・レントゲン結果  

などが挙げられるでしょう。

TP(ケア項目)

TPとはtreatment Planの略語で、援助またはケア項目の意味です。患者に具体的に援助する内容をあげます。このケア項目は、看護計画上の看護目標に対して、その目標を達成するためのケア項目をあげます。
例として

・保清(清拭、部分入浴)
・健肢のリハビリ、動かせる範囲の患肢のリハビリ
・安全な移乗・移動の援助

などが挙げられるでしょう。

EP(教育項目)

EPとはeducation planの略語で、教育項目の意味です。教育とは、患者や家族に対する教育指導のことです。例えば骨折の場合であれば

・ギプス固定中の注意点の指導
・手術前後の注意事項

などが挙げられるでしょう。

看護計画の実例

ここで看護計画の書き方に沿って、実例をあげます。
症例:19歳 男性  主な既往症無し
    スキー中に転倒し、右脛骨複雑骨折
    ギプス固定手の整復は困難であり、手術療法が選択される。初めに長期目標を設定し、手術終了後1日目の状態

看護問題「脛骨骨折による痛みと神経障害、筋力低下の可能性」
長期看護目標「痛みが無く手術終了後にスムーズにリハビリへ移行し、日常生活へ復帰できる」
短期目標①「手術後、健側を使って移動動作ができる」
      ②「患側の神経障害が発生しない」

OP  ・健側の筋力低下の有無と程度
      ・異常時の痛みの有無
      ・発熱や、手術後の呼吸苦などの影響

TP  ・移乗時の介助
    ・保清行動や弾性ストッキングを利用して、下肢の循環の保持と改善
   ・健側の曲げ伸ばし等のリハビリ

EP  ・移乗時の健側と患側の動かし方
   ・動かさないでいることの弊害の説明(循環不全、エコノミー症候群)

看護計画の実施と評価

看護計画は実際に実施しないと意味がありません。そして、更にその結果を評価することでその看護計画が正しかったか、有効であったか確認し、必要時修正していく必要があります。

看護計画の実施

看護計画を実施するのは、チーム看護師全員ということになります。プライマリーナース制度をとっていても、その看護師が毎日いるとは限りません。チームの誰でもがその計画を進める必要があります。それを考えても、看護計画は誰が見ても出来るものが、明確に表記されている必要があるのが分かるでしょう。

現在は電子カルテが主流になっており、看護計画を開こうとすればすぐに見ることができます。その日の業務が始まる前に必ず確認し、その看護計画を実施しその結果を記載します。実施した結果は、看護計画の具体策にのっとって記載しなければいけません。

実施した内容と結果、そして患者や家族からの反応を記載します。

看護計画の評価

看護計画の実施の記載をしたら、看護目標と照らし合わせます。そして、目標に近づいているような結果になっているか、そうであれば看護目標や具体策の変更は必要なくプラン継続という評価になります。

しかし、具体策を施行した結果が看護目標とずれていると感じた場合、修正をしなくてはなりません。それは具体策の変更だけで済むこともありますし、場合によっては看護目標そのものを修正しなくてはいけないこともあります。

大切なことは、記録してフィードバックしてチーム内で共有することです。看護目標の修正に関しても、看護計画の評価に関しても客観性を持たせるために、チームカンファレンスなどで提議できると良いでしょう。

看護計画の評価の書き方の例

看護計画を実施したことの評価の書き方についていくつか例を挙げます。

●「健側の移乗動作を行う際、体重のかけ方に差がみられた」という実施結果に対して、「体重のかけ方のバランスのとり方に対して指導が必要」という評価ができます。

●「リハビリへの移行をすすめるも、手術後すぐで動くことは不安という発言がみられた」という実施結果に対して、「リハビリの必要性を説明する」「手術後の不安を取り除く声掛けをする」などと評価ができます。

いずれにしても、この評価に関して必要であれば看護問題や目標の修正をしていきます。看護計画に沿っていて、目標に近づいていれば修正の必要はありません。短期目標を達成できれば「プラン続行」「プラン終了」と評価していきます。

看護計画が不安な場合の対処法

チームカンファレンスにかける

一人で看護計画を立てていてもうまく看護問題が抽出できなかったり、評価に自信が持てなかったりします。そんな時はチームカンファレンスにかけてチームメンバーに相談することも必要です。

プライマリーナースとして一番関わりを持っていたとしても、色々な視点での意見は参考になるものです。日々のケアはチームメンバー全員で行うのですから、共有するためにもカンファレンスは有効です。

ただ単純に「看護問題が思いつかなくて」「看護計画が立てられなくて」など漠然とカンファレンスにかけてもなかなかスムーズな話にはなりません。

自分なりに出来る情報収集の結果と自分が躓いている原因や課題を具体的に示すことです。それによりしかるべきアドバイスを受けて看護計画を立案することができるでしょう。

標準看護計画を参考にする

標準看護計画とは症状別や疾患別に標準的な看護目標や看護問題などを挙げているものです。代表的な疾患に関してよくある問題点と具体策が挙げられていたり、その症状について解説されていたりするものです。また、年齢や性別別の役割に関しても言及されています。書籍でも出ていますし、インターネットなどでも検索できるでしょう。

またそれぞれの施設内でオリジナルでおいてある標準看護計画がある、病院施設もあるでしょう。この場合、一般的な標準看護計画よりもその施設で多い疾患や症状や患者に対してのものが多いので、更に使いやすいでしょう。

ただ、大切なことはそのまま丸写しではいけないということです。それでは個別性が無くなってしまい、その人の看護計画では無くなってしまいます。標準看護計画のなかでも、その患者ごとの個別性を入れて看護計画を立案しましょう。

患者や家族のところへ戻る

アナムネをとったり、入院時のケアなどをしてさあ机に座り看護計画を建てましょう、となると躓いてしまう人がいます。実際に患者の元では、看護をしているしOP・TP・EPに則しているケアをしているのですが、それを書き表すことがうまくいかないということもあるでしょう。

そこで、そんな時は患者や家族のところへ戻り、コミュニケーションをとったりケアをすることで状況が整理出来ることもあります。今現在、自分が話したり手を携えたりしていることを、そのまま書きだせば段々と分かってくることもあるのです。

この際も大切なことは、ただ漫然とおしゃべりに行けばよいのではありません。患者が何を望み、どんな結果に導くことができるのかを常に念頭においてコミュニケーションをとり看護計画に反映させましょう。

看護計画は現実的に

看護計画を立てるとなると、どうしても美辞麗句を使いたくなったり持って回ったような文章を使いたくなってしまうことがあります。正式な文章として、完成させていなくてはいけないと思いがちなのです。しかし、実際にはそこまで丁寧な文章は必要ありません。

それよりも誰が見ても分かるように、いくらでも使いこなせるような文章であるべきです。そして、何より大切なのことは評価のしやすい看護計画であることです。計画というのはあくまでも予定であって、実際に実施をしてみて結果が出てきます。そこで、計画が正しかったかどうかが分かるのです。ですから、その評価をしづらい看護計画というのは現実的ではありません。

また、もう一つ大切なことは患者や家族自身にもフィードバック出来ることです。患者や家族の生きた言動が反映されるような、現実的な看護計画を目指しましょう。

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