一人っ子政策を廃止した理由・双子ができるとどうなるか・問題点
更新日:2024年08月30日
一人っ子政策を廃止した理由
中国で実施されていた一人っ子政策をご存知ですか。おそらくニュースなど報道番組で一度は聞いたことがあるでしょう。単純に「一人しか産んじゃだめなんでしょう」くらいにしかわからない方が多いとおもいます。ここでは、一人っ子政策とはどのような政策だったか、また一人っ子政策を廃止した理由についてご説明します。
一人っ子政策とはどのような政策か
一人っ子政策とは、中国が文化大革命後1980年から施行された政策で、一人だけ産むことが許され二人目を妊娠、出産した場合には罰金が課せられるという政策です。一人っ子政策は中国語で「計画生育」と書き、その意味のとおり、計画的出産ということで、人口抑制のための政策でした。
この政策のために、官僚などが強制的堕胎や不妊手術などを行ったりという蛮行もありました。違反者からの多額の罰金徴収と、それが払えないものに対しては戸籍を与えないというような差別的待遇が科せられました。
一人っ子政策はなぜ廃止されたか
人口抑制のために施行された一人っ子政策でしたが、2015年に廃止が決定されました。しかし、国家による出生規制そのものが廃止されたわけではありません。計画生育は、出産規制という制度そのものを残して、産める人数を二人に緩和するという変更がなされました。
もともと双子などの場合は例外的なときには二人目を出産することが可能でしたが、廃止決定によって出産規制が緩和され二人目の出産が容認されたことになります。
世界最速で老いていく中国
一人っ子政策が廃止され二人目を産むことができるようになった背景としては、中国の今後の課題が関係しています。それは、一人っ子政策を長年行ってきたために、世代人口が若年層になるにつれて急激に少なくなっていき、それは老いていく人を誰が介護し支えるのかという問題です。
一人っ子であるということは、両親や祖父母など老いた家族を一人で背負うことにつながります。しかも、一人だけの子供ですから、万が一のことがあればだれも老後の面倒をみる人がいなくなってしまうということにつながります。この問題への対策として一人っ子政策の廃止が行われたということです。
一人っ子政策で双子ができた場合どうなるのか
一人っ子政策をとっていた中国で、双生児が産まれた場合にはどうなるのでしょうか。一人っ子政策の中でも双子や三つ子などの多胎児については例外に認められます。そういった事情により、人工授精や排卵促成剤などを投与して双子を産みたい人が増えて、双生児の出生率が上がったという報告もされています。
一人っ子政策の例外
一人っ子政策の中でも双子などの多胎児を産んだ場合には罰金などはとられません。そのような例外として二人目を妊娠出産しても罰金がとられないケースとしては、以下のようなものがあります。
・夫婦専業農家で一人目が女の子の場合
・不妊治療で成果が出ず養子をとった後に出産
・夫婦どちらか一方が一人っ子である場合
しかし、一人っ子政策が廃止された現在では、このような例外などはなくなりました。
一人っ子政策の問題点
一人っ子政策は、人口抑制のための政策でしたが、この政策のインパクトはこれからどのように影響してくるのでしょうか。一人っ子政策は36年続いた政策で、急激な人口増加を緩和するための政策でした。
当時1970年代にかけては人口の多さが国力であるととらえた最高指導者である毛沢東により多産奨励し人口は一気に増加しましたが、食料確保と資源確保の観点から出生率を下げて人口を抑制するという政策が一人っ子政策です。この政策によって、中国は2020年以降に労働力難、結婚難、介護難の三つの問題が発生していく見通しです。
1.労働力難
長年の一人っ子政策により高齢化が進み、労働人口が減っています。そのため、深刻な労働力難が2012年ごろから起こってきています。さらに65歳以上の高齢者増が拍車をかけ経済成長に影響を及ぼすとみられています。
初回公開日:2018年06月06日
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