「行ってください」の意味と使い方・敬語・丁寧語・尊敬語
更新日:2024年08月17日
誤用になることもある
自分の仕事が終わるのを待っていてくれていたり、こちらと合流するために電車一本をやりすごそうとしてくれていたり、という場合に、「気を使わないでどうぞ先に行って」と伝えたい時には「先に行ってください」は誤用になります。
相手が先に行く事がこちらにとっての利益にならないためです。文字どおりの意味でとらえれば「待たれたら嫌だ。先に行ってくれた方が助かる」ということになってしまいます。
「お待ちいただくのは心苦しいです」と伝え、どうするかは相手に判断をゆだねるか、「お待ちいただいていると思うと心苦しいので、どうか先に行ってください」など、先に行ってくれたら心苦しさが無くなるという利益を得るのだと、相手に伝わるような伝え方にしましょう。
「行ってください」をクッション言葉を使って丁寧に伝える
「行ってください」は依頼です。依頼を丁寧に伝えたい場合はクッション言葉を使うという方法があります。クッション言葉とは、依頼をやわらかく相手に伝えるために使われる言葉のことです。
行っていただけますか
依頼は「ください」と伝えるよりも、疑問形にした方が相手にやわらかく伝えることができます。「行ってください」は「行っていただけますか」と言った方がより丁寧に伝わります。
「郵便局へ行ってください」と言うよりも「郵便局に行っていただけますか」と言った方が同じ依頼でも丁寧に聞こえます。
行ってくれると嬉しいのですが
「ください」と伝えるのではなく、「してくれるとうれしい」「してくれると助かる」と伝えると依頼の伝わり方がやわらかくなります。
「郵便局へ行ってください」と言うよりも「郵便局に行ってくれると嬉しいのですが」「郵便局に行ってくれると助かります」というように伝えた方が、依頼をやわらかく丁寧に相手に伝えることができます。
差し支えなければ
「差し支えなければ」「恐れ入りますが」などを依頼の前につけると丁寧な表現になります。「差し支えなければ行ってください」「恐れ入りますが行っていただけますでしょうか」などの表現は「行ってください」というよりも丁寧です。
もしよろしければ
依頼の前に「よろしければ」や「もしよろしければ」を付ける事でも依頼をやわらかく伝えることができます。
「もしよろしければ郵便局へ行ってください」「もしよろしければ郵便局へ行っていただけますか」などの使い方をします。
「行ってください」は「行ってくれ」という命令後を尊敬語にした形です。尊敬語になっているとはいえ命令には違いないので、クッション言葉を使ってより丁寧な表現をした方がいい場面も多いです。
「行ってください」の尊敬語
「行ってください」は「行ってくれ」の尊敬語です。「ください」が「くれ」の尊敬語になっています。クッション言葉などを使わない形でより丁寧な表現にしたい場合は「行く」を尊敬語にします。
「行く」の尊敬語は「行かれる」「いらっしゃる」などです。しかし「行かれる」は「ください」につなげると言いにくいのであまり使われません。「いらっしゃる」も「来る」「行く」「居る」のすべてに対応する言葉であるために使いにくいです。
行かれる
「行ってください」をより丁寧に表現すると「行かれてください」になります。しかし、言いにくいのであまり使われないです。
いらっしゃる
「いらっしゃる」は「来る」と「行く」「居る」の尊敬語です。「行ってください」は「いらっしゃってください」とも表現できます。
しかし、「そこにいてくれ」「来てくれ」「行ってくれ」は尊敬語にするとすべて「いらっしゃってください」になります。「いらっしゃって」は綺麗な言葉ですが、使うと混乱させがちなのであまり使われません。
タクシーで「駅へいらっしゃってください」と言うと、運転手は「駅へ行け」なのか「駅に来てくれ」なのか「駅に居て欲しい」なのか分からない可能性があります。「佐藤さん、郵便局へいらっしゃってください」と言うと、「行ってくれ」なのか、「居てくれ」なのか分からない可能性があります。
初回公開日:2017年12月13日
記載されている内容は2017年12月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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