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「昇華する」の意味と使い方・類語・昇華するものの例・温度

更新日:2024年08月03日

「昇華する」という言葉は、どういう意味なのか、どんな使い方ができるのか、意識して考えたことはありますか。化学や心理学など、多様な分野で使われる、非常に興味深いこの言葉。今回はこの「昇華する」という言葉について、さまざまな視点から掘り下げてみました。

液体を経ずに気体になる性質から、衣服に染みができる心配がないなどの理由で、防虫剤にも昇華する物質が使われていることが多く見られます。その中でも「ナフタレン」は、常温下でゆっくりと昇華する性質から、長期間に渡って防虫の機能を果たすのが特徴といわれています。

パラジクロロベンゼン

「パラジクロロベンゼン」は「ナフタレン」と同じく防虫剤として使用される他に、トイレやごみ箱の消臭剤としても利用されます。強い臭気を放ち、即効性があることが特徴です。直接吸い込むと、頭痛やめまいなど、人体にも害があるので注意が必要です。

樟脳

「樟脳」は、クスノキの葉に0.03%含まれるにおい成分で、日本で古くから使われている防虫剤です。自然な芳ばしい芳香が特徴で、和服や人形の保管には最適だといわれています。天然の樟脳はかなり貴重になっていることから、松などの針葉樹を蒸留して採れる、精油を原料とした合成樟脳が主流になっています。

これらの防虫剤は、有効成分が昇華することで充満し、タンスなどの中に潜んでいる虫に作用することを狙って使われています。

ヨウ素

主に消毒薬に使われる「ヨウ素」も昇華する物質です。赤紫色の印象的な気体に昇華することから、中学校や高校などで理科の実験で使われたりもします。昇華した気体は有害なので、注意が必要だといえるでしょう。

昇華するものには共通点がある?

前述の昇華する物質には共通点があります。それは「ファンデルワールス結合」をしている点です。ファンデルワールス結合とは、電荷を持たない中性の原子や分子が「ファンデルワールス力」という引力で結合している状態を表します。

ファンデルワールス結合は、化学結合の中では非常に弱く、小さな熱を与えられただけでも結合が切れてしまいます。結合が切れて、分子や原子が空気中に飛散していく、その様子を昇華と言います。

このように昇華する物質の共通点を見ていくことでも、昇華という現象に合点がいくことでしょう。

氷も昇華するの?

一般的に氷は水を経て水蒸気に変わるものですが、氷も条件下においては昇華する物質です。冷凍庫で作った氷が日を追うごとに小さくなっていることや、長期間冷凍庫に放置した食べ物が干からびていることがあります。この現象は昇華による物です。

氷は常温では水を経て水蒸気になりますが、氷点以下では水が存在できないため、徐々に昇華していきます。

また、窓ガラスに水蒸気が飛んで行った時に、窓ガラスがあまりにも冷たい場合、水滴にならずに直接霜になることがありますが、これは逆の変化で、気体から固体への昇華です。その他にも、水蒸気が上昇気流に乗って上空に上がる際、急激に冷やされて直接氷になることがあります。この時できた氷や水滴が、大気中に浮いているものが雲です。

このような例から、通常は昇華しない物質も温度などの条件によっては昇華する物質になり得ることが分かります。

昇華法ってなに?

昇華する物質と、昇華しない物質の混合固体を分離させる方法に「昇華法」というものがあります。これは、混合固体を加熱することで、昇華する物質のみが気化することを利用し、それを冷やして固体に戻すことで別々のものに分離させる方法です。

昇華する温度は?

前項でも触れましたが、氷は氷点以下、つまり0℃以下で昇華する物質です。その他に挙げた、「ドライアイス」は-78.5℃以上から昇華します。また、「ナフタレン」「パラジクロロベンゼン」「樟脳」「ヨウ素」は、いずれも常温で昇華する物質といえます。

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初回公開日:2018年04月02日

記載されている内容は2018年04月02日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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