「陰ながら応援」の意味と使い方・敬語・メールの書き方
更新日:2024年07月06日
実はこの「陰ながら応援する」という言葉は誤解を招きやすい言葉でもあります。使うときは十分に考えてから使うようにしましょう。
隠されたニュアンスを知っておく
「陰ながら応援する」という言語は元来は丁寧で思いやりのある言葉です。けれども日本語には本来の意味とは別に、異なる意味合いが隠されていることがあります。
たとえば、友人間で何もトラブルはない状況ですが、離ればなれになるような場合を想定します。こちらとしては丁寧な別れの言葉として「陰ながら応援する」と告げたのに、相手からは「陰ながら」ということは具体的に応援はしてくれないの?何かあっても助けてくれないの?と思われることもあります。
自分が関心のない友人などに送ると、いい子ぶっているように受け取られることがあります。応援しているふりを相手には見せて、実際には何もしないという冷たい人間だと思われることもあります。
自分の立場や状況を考えて
「陰ながら応援する」という言葉はマイナスの意味にとられることもありますので、使うときには十分に気をつけましょう。具体的には、その言葉を相手に送るときに本当に相手のことを心から応援したいと思っているのかが重要です。
何かが相手の身に起きた時には、自分にできる具体的な助けやいたわりの言葉などを躊躇せずに与える気持ちがあるのか、自分に一度、聞いてみてから伝えるようにしましょう。
相手のことをあまり知らないのに、「陰ながら応援する」という言葉を使うのは少々、無責任でもあります。気持ちだけでなく、その言葉を相手に伝えた時に喜んでくれると思われる相手に使いましょう。
こういう場合はわりと使いやすい!
相手を応援する事に関して、自分がかかわることのできない内容や種類の応援では、エールを送るという意味で「陰ながら応援します」という言葉は比較的、使いやすいでしょう。
例)・〇○の資格取得の勉強、頑張ってください。陰ながら応援しています。
・新しい分野にチャレンジされるということで、陰ながら応援しております。
・海外で新事業を起こされるとのこと、陰ながら応援しています。
「陰ながら応援」の敬語使いは?
「陰ながら応援」という言語には敬語の活用はありません。「応援」という言葉に連なる助動詞の部分で敬語をつくります。
敬語のひとつ、丁寧語では「応援します」や「応援しています」となります。また、自分を低めて相手を上に持ってくるという位置づけの敬語、謙譲語ですと「応援しております」や「応援いたします」となります。
丁寧語をもっと丁寧にすると「応援させていただきます」という言葉になります。本来「させていただく」という敬語は相手に許可を求める時に使うことが多い言葉です。たとえば、上司に「早退させていただきます」や「欠席させていただきます」などです。
陰ながらという言葉は実際の行動が伴わないので許可を求めなくてもいい状況ですが、少し僭越に聞こえるような響きがあります。実際には賛否両論で、まったく問題ないと考える人と、偉そうに聞こえ、相手を敬う時に使うのに適していないという意見もあります。
ビジネスシーンでの「陰ながら応援」という言葉
「陰ながら応援します」という言葉はフォーマルで心遣いのある言葉ですので、プライベートで使うよりもビジネス・シーンで使用する機会が多いでしょう。留意点などを紹介していきます。
上司や先輩への使い方は?
上司や先輩などに送る場合に覚えておいたほうがいいのは、相手がどう感じるかを想像してから使うことをおすすめします。また、あえて自分の気持ちを表現したい場合だけにとどめておいたほうが無難です。
使う前提としては、「相手に対して好意がある・自分の気持ちを相手に知っておいてほしい」場合で相手がわかってくれると想像できる時に使いましょう。誤解を招きやすい言葉なので、ストレートに受け取ってくれるような相手との関係が築けているのでしたら問題はないでしょう。
また、相手との位置関係においても異なります。直属の上司やサークルの先輩などでしたらOKですが、自分が新米の立場でずっと先輩にあたる上司や社長など、実際にはそんなに良く知らずに、関係も親しくないのでしたら不適切です。「頑張ってください」と言っているのと同じ意味ですので僭越な言い方になります。
メールの書き方
あまり良く知らない相手ですと「なぜ、陰からなのか」「積極的には応援してはくれないのか」と思われてしまうこともあります。特にメールは電話などと違い、あとに残ります。使う際には少し注意しましょう。
違う言い回しでのバリエーションを増やそう
「陰ながら応援しています」という言葉でなく、違う言い方で似たような意味になる言葉を知っておくと便利です。「陰ながら」の代わりに「ささやかながら」や「心より」「微力ながら」を代わりに使うと好印象です。
また、あえて「陰ながら」を入れずに「応援させていただきます」のみでも十分、気持ちは伝わるでしょう。「陰ながら」という言葉は受け取る人によって、伝わり方が違いますので省略してしまうのもひとつです。
そのほか、「陰ながら応援しています」の代わりに異なる文章を使うことも有益です。
例)・益々ご活躍くださいますようお祈り申し上げます。
・ご健闘をお祈り申し上げます。
・ますますのご活躍を祈念しております。
・ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
上司や目上の人に言ってもらいたいときは?
初回公開日:2018年05月29日
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