3月の季節の挨拶の使い方とは?|漢語調・口語調それぞれ紹介
更新日:2024年11月09日
手紙の中で頭語(拝啓、前略など)の次にくるのが「季節の挨拶」ですが、手紙前文のあいさつ句として大切な役目をもっているのを知っていますか?
日本人は春夏秋冬の季節の移り変わりを暮らしの中で感じながら、四季折々に変わる気象・天文の事象や動植物の自然の営みなどを季節の変わり目としてとらえ、「挨拶」の中に季節感を織り込んでいきます。
このような手紙のスタイルは、英語圏の手紙では見ることはなく、季節感にあふれる「季節の挨拶」は、日本の手紙に脈々と流れる美しい伝統の一つと言えます。
この記事では、3月の「季節の挨拶」の書き方やビジネスシーンでの使い方など紹介します。
本記事を読むことで手紙などで季節や節季ごとに正しく使い分けられるようになるでしょう。
「季節の挨拶」の使い方がマナー違反とならないように、繰り返し理解を深めましょう。
季節の挨拶にはどんなものがあるのか
手紙で使われる「季節の挨拶」は、生活歳時的なもので、そのおりおりの季節感を表したものになります。その区分は大まかに次のようになります。
- 気象に関するもの(小寒、春分、三寒四温、春雷、春霧、彼岸、春一番など)
- 動植物に関するもの(霜花、啓蟄、花前線、ネコヤナギ咲く、ツバキ咲くなど)
- 生活などに関するもの(正月、寒参り、上巳の節句、ひな祭り、学校の卒業式、花見など)
「季節の挨拶」は、以上のような四季折々の事象や自然の営みを表しますが、その表現手法は、漢語調のものと口語調のものがあります。
このような例を、3月の季節の挨拶で見ていきましょう。
【漢語調】3月の季節の挨拶の使い方
四季の中で春ほど待たれる季節はありません。気候学上の慣例で、春は3月、4月、5月とされていて、とりわけ春の先駆けとなる3月は水もぬるみ、春の野に緑の新芽が大地を割って顔を出してきて春の息吹を感じます。
3月の「季節の挨拶」では、待ち望んでいた春の到来を歓迎する気持ちを込めて、その書き出しに春の気象をとらえた句が多くあります。
次に、その代表例である「早春の候」「浅春の候」「春暖の候」「春風の稿」を見てみましょう。
「早春の候」
「早春の候」の書き出しにある「早春」とは、概ね2月末から3月初旬にかけての季語となっています。
この頃の気象は「寒のもどり」と言われるように、3月とは言え春の暖かさよりも冬の名残の寒さを肌に感じる季節感の中で、それでも様々なところで春の息吹を感じるさまを表します。
- 早春の候 寒の戻りもあるなか皆様方にはご健勝でお過ごしのこととお察し申し上げます。
- 早春の候 貴台を初め皆様方におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
「浅春の候」
「浅春の候」は「早春の候」と同じく、立春を過ぎた春とは名ばかりの頃の気候を言い表します。書き出しにある「浅春」は「早春」と似かよっていますが、その語感の柔らかさなどから「早春」とともによく使われます。
「浅春」の「春浅し」という意味合いは、季節の推移を人間の感覚でとらえようとする意識がより強いものとなります。
- 浅春の候 まだまだ時折吹く風の冷たさを感じるなかご家族の皆様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
- 浅春の候 ご貴台を初め家族の皆様方にありましてはご健勝のこととお察し申し上げます。
「春暖の候」「春風の候」
「春暖の候」「春風の候」のいずれも3月中旬、下旬の「季節の挨拶」によく使われる句です。
「春暖の候」の書き出しの「春暖」は、英語で春暖を意味する「warm spring weather(暖かい春の日和り)」と同じ意味合いになり、3月中旬頃からの暖かい春日和を表します。
「春風の候」の書き出しの「春風」は、暖かい春の風を意味し、春風がそよぐなか桜の花の芽生えもあちらこちらに見られ、人々の心も浮き立ちます。
- 春暖の候 心浮き立つ日々をお過ごしのことと思います。
- 春風の候 桜の花の芽生えをあちこちで見ることができ、幸せ感いっぱいの日々をお過ごしのことと思います。
【口語調】3月の季節の挨拶の使い方
初回公開日:2017年12月18日
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