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「しております」の使い方・使い分け・例文|謙譲語と敬語

初回公開日:2017年07月20日

更新日:2020年08月14日

記載されている内容は2017年07月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

普段ビジネスシーンで、お客様との電話や接客の際に「~しております」という言い方を頻繁に耳にします。しかし実は「しております」ということばがどういった言葉なのか、意外に知られていないようです。そこで今回は「しております」についてご説明いたします。

「しております」の使い方とは

普段ビジネスシーンで、お客様との電話や接客の際に「~しております」という言い方を頻繁に耳にします。敬語を使う場面が多くなる学生時代から、おそらくアルバイト先や学校で、目上の人と話す際には自然と「しております」という言葉を使うようになりますし、ビジネスシーンでもよく使われるという方は多いのではないでしょうか。

しかしよく考えてみると「しております」とは正しい敬語なのでしょうか。実は「しております」ということばがどういった言葉なのかということは、意外に知られていないようです。そこで今回は「しております」について、詳しくご説明していきます。

「しております」の敬語表現

「しております」は敬語として正しいのか

「しております」についてですが、まず、「おる」は「いる」と同様に、存在していることを意味する言葉であり、どちらも漢字表記では「居る」となります。しかし、「いる」はただそこに存在するだけですが、「おる」は謙譲語と似た丁重語という言葉であり、存在していることを相手に敬意をもって伝える時に使用する言葉です。

そのため、「いる」を丁寧にすると「います」になりますが、「おります」は利き手や読み手に対してへりくだって、相手への敬意をへりくだった敬語表現なのです。そこから、お客様に対して「しております」と表現するのは、敬語の使い方として正しいと言えます。

「おる」などの丁重語とは

ここで念のため、丁寧語と丁重語の違いについてご説明いたします。

まず、丁重語というのは丁寧語と同じく話し手から聞き手への敬意を表す敬語(対者敬語)です。なかでも丁重語は、自分の動作などを低めることで、聞き手を高める敬語のことを指します。これは3分類(尊敬語・謙譲語・丁寧語)で言えば、謙譲語の一種になります。丁重語には「おる」のほかにも、「参る」「申す」などがあります。

対して丁寧語というのは、「です」「ます」「ございます」などの丁寧な言い方をすることで、聞き手を高める敬語になり、3分類で言えば丁寧語の一種となります。

また丁重語と丁寧語の関係性として、丁重語は後ろに丁寧語がつくのが普通です。「参る」であれば「参る」+「ます」で「参ります」となります。

「しております」の謙譲語

しかしお客様が自分よりも目上の人だった場合は、目上の人に対してそのまま「動作や状態を意味する言葉」+「しております」と使うと、失礼にあたる場合があります。ですから、その際には謙譲語にする必要があります。

この場合、「しております」自体はへりくだった敬語表現ですが、「動作や状態を意味する言葉」を謙譲語に変換+「しております」という表現にすることで、自分が一歩へりくだった表現にすることができます。

【例】
通常:「聞く」+「おります」=聞いております
 ↓
目上の人に対して:「伺う」+「おります」=伺っております

このように、ビジネスシーンでは臨機応変な対応が必要となります。

「しております」「いたしております」の違いと使い分け

目上の人と関わることの多い社会では、「しております」と同じほどの頻度で、「いたしております」という表現も頻繁に使われるでしょう。しかし「しております」と同様、「いたしております」とはどのような時に使う言葉なのか、ご存知でしょうか。

それでは今度は「いたしております」についてご説明し、「しております」との違いを説明していきます。

「いたしております」とは

へりくだった敬語表現である「しております」とは反対に、「いたしております」とは「いたす」+「おります」から編成されています。「いたす」とは「する」の謙譲語であり、「おります」は「いる」の謙譲語にあたります。したがって、「いたしております」とは謙譲語から成る言葉となります。

「しております」は丁重語、「いたしております」は謙譲語と覚えておけば間違いありません。

「しております」「いたしております」の使い分け

それでは、「しております」と「いたしております」はどのように使い分けをするべきなのでしょうか。

まず「しております」ですが、「しております」は丁重語なので謙譲の意味は含まれてはいるものの、謙譲語よりは意味合いが弱い言葉になります。そのため、目上の人であっても同じ社内の先輩や上司のような、普段から関わり合いが比較的多い、なじみのある相手に対して使われることが多い表現となります。

対して「いたしております」についてははっきりとした謙譲の意味を持っていますので、目上の人で尚かつ、自分がへりくだる必要がある「自社にとってのお客様」「取引先や営業先などの担当者」という関係性の方に対して使われるものです。

よくある間違いとして、目上だからといって自社内において、自分の先輩や上司に対して「いたしております」と使ってしまう方がいますが、これは誤った使い方です。自社内の先輩や上司に対して「いたしております」と使うのは、へりくだりすぎていて不適切ですので、注意しましょう。

「いたしております」は二重敬語?

よく「いたしております」は二重敬語であるとする話を聞きますが、これは間違った認識です。実際には、「いたしております」は二重敬語ではありません。

そもそも二重敬語とは、敬語を使う上で禁止されている表現のことをいい、敬語が重複していることを指します。たとえば二重敬語として例に挙げられる「おっしゃられる」は、「おっしゃる」という敬語+自発・可能・受身・尊敬を表す助動詞「れる」が合体してしまっているので、二重敬語となるのです。

しかし「いたしております」の構造は先程ご説明したように、謙譲語「いたす」と謙譲語「おります」から成り立っていますので、「いたしております」は二重敬語とはなりませんし、正しい敬語といえます。

なぜ勘違いされるかというと、その理由はこの”謙譲語”と”謙譲語”が重なっていることをも、誤って「二重敬語」と捉えられてしまっているためです。しかし二重敬語の定義は、あくまでも「ひとつの言葉に同じ意味の敬語が重複していること」を指しますので、これには該当しません。したがって繰り返しになりますが、「いたしております」は二重敬語ではありません。間違われる点ですので、ご注意ください。

なお、これまでご説明したように「いたしております」は二重敬語ではありませんが、「いたしております」というと堅苦しく聞こえる場合もあり、その場に適切かどうかについては都度判断が必要となります。

「しております」を使った文例

では実際に「しております」を使ってのビジネス文章の文例をご紹介していきます。

・わが家はみな、風邪ひとつひかずに元気にいたしております。
・大学生になる娘は大学では○○を専攻しております。
・あいにく当日、部長は海外出張で不在にしております。
・受験生がおりますので、春までは練習を休んでおります。
・弊社ではお客様に○○とご案内しております。
・弊社ではこのような商品を取り扱っております。
・~と自負しております。
・△△さまからのご連絡をお待ちしております。

このように、「しております」または「動作や状態を意味する言葉」+「~おります」は、目上の人や社外の取引先や営業先の人などに対して使う場合が多いでしょう。失礼のないように対応しなければいけない相手だからこそ、「しております」の意味を理解した上で使うことによって、正しく活用できます。

「しております」を理解して使う

いかがでしょうか。普段何気なく使っている言葉ひとつひとつも、掘り下げて意味を見つめ直してみることで、今まで直感的に使っていたり、周りの先輩や上司に倣い使っていただけの言葉を、正しく使えるようになるのではないでしょうか。

ビジネスシーンにおいては、もはや常用語となっている誤った敬語もありますが、それぞれの言葉にはその成り立ちと意味がありますので、正しく覚えることはとても重要です。しっかりと正しい敬語を身につけることができれば、ワンランク上のビジネスマンになれるでしょう。

身近な言葉をもう一度理解し直し、正しく使うことを心掛けてみましょう。

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