敬語「差し上げる」の正しい使い方・例文・メールで使う場合
更新日:2024年06月18日
例えば、「報酬として10万円を差し上げます」この言葉を聞いてどのような印象を受けましたでしょうか。多くの方がひっかかりを感じたでしょう。確かに報酬は相手にとってのメリットで、それに対する連絡は、相手の求めていることです。
しかし、上記の例文「記念品のキーホルダー」との大きな違いは「報酬」は「労働の対価」であり、相手の正当な権利です。それに対して、「これはメリットでしょ?」と言うような印象を与えかねない敬語を用いるのはよろしくありません。
また「メールを差し上げる」の際にも記載した通り「このお菓子、よろしければ差し上げます」と言うのは少し言い辛い場合は「このお菓子、よろしければ召し上がってください」の方が言いやすいかもしれませんし、物が読み物であれば「よろしければ、お読みください」でも良いです。
謙譲語と尊敬語の間違いに注意
これは、どの敬語に対してもですが、謙譲語である「差し上げる」を、相手の行動に対して使用しないように注意してください。例えば「明日の件、詳細が決まりましたらお電話差し上げてもらえますでしょうか」は、相手の行動に「差し上げる」を使用しているので間違いです。
この場合は謙譲語を使用するのであれば、「やる」の謙譲語「差し上げる」を用いるのではなく、「もらう」の謙譲語である「頂く」を使用し、「明日の件、詳細が決まりましたらお電話頂けますでしょうか」などが適しています。
メールで差し上げるを使うのはOK?
謙譲語である「差し上げる」は、敬語として間違いではないのですが、やはり「上げる」という響きが、上から言っている印象があり、頭では意味をわかっていても、あまり良い受け止め方をされない可能性があります。
会社によっては、印象があまり良くない為、「差し上げる」を別の言い方で使用した方が良いと指導しているところもあるとのことです。メールは相手の表情が見えない分、誤解を招きそうな言い回しは避けて方が良いため、明らかに誤解は招かないだろうという内容以外では使用を控えるほうが安心ではあります。
「差し上げる」は正しい敬語だが、使用に注意
「差し上げる」という敬語は「与える・やる」の謙譲語として「お電話差し上げます」などは、敬語として正しい言い方ということはわかりました。ただし、音の響きの影響で、あまり良い印象を持たれない可能性が高い敬語でもあります。
言葉の使用には、意味が間違っていないことは先ず第一として大切ですが、自分の口で丁寧に気持ちを入れやすい言葉かどうかも大切です。その言葉が本来の思いと違う印象で相手に伝わってしまう可能性がある場合は、別の間違っていない言い方を見つけるべきです。
少し使い方で考える必要がある敬語「差し上げる」ですが、「高く持ち上げ」相手へより深い敬意を込めていう素敵な敬語です。相手の様子を考え、臨機応変に上手く敬語を使用して、良いコミュニケーションをとってください。
初回公開日:2017年09月12日
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