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物を「送る」の敬語活用法|書類/請求書/荷物/資料など

更新日:2024年07月10日

「送る」という言葉は、ビジネスのさまざまなシーンで使われています。誰が、何を、どのように送るかによって敬語の使い方も異なります。さらに敬語にも3種類存在します。これらを加味して「送る」の敬語活用法を実例を交えて詳しく紹介します。

「送る」の正しい敬語の使い方

敬語とは何か?

「送る」の敬語表現を論じる前に、そもそも敬語とは何なのかを紹介します。ビジネスにおいては、上司、或いは取引先などの目上の人とのやり取りの機会が多く存在します。これらの人達に対しては、同僚、或いは年下と同じ言葉遣いは厳禁です。敬語を使うのが当たり前であり、この遣い方でその人物の技量を判定される場合もありますので、気をつけましょう。

敬語とは、文字どおり相手を敬う際に使う用法であり、敬う方法にも以下の3種類が存在しますので、TPOに合わせて適切に使い分けることが重要です。また、過度な敬語、二重敬語には注意が必要です。

■尊敬語:自分よりも目上の人、或いは敬意を表したい相手の動作や行動を高める際に使う敬語です。取引先の人は、年下であっても敬意を払うべき相手なので尊敬語を使います。
■謙譲語:自分を相手よりも下に置き、謙ることで相手に敬意を表する際に使う敬語です。
■丁寧語:語尾に「です」「ます」「ございます」を付けることにより丁寧さを表し、相手に敬意を払う際に使う敬語です。

これらの定義により、「送る」を敬語に置き換えると以下のようになります。

■尊敬語:お送りになる、お送りいただく、送られる、ご送付ください、ご送付いただく
■謙譲語:お送りいたします、送付いたします
■丁寧語:送ります、送付します

何を送るのか?

一口に「送る」と言っても、人を送るのか、それ以外を送るのかによって「送る」の表現が異なります。人の場合には、「送別」「見送る」「送迎」など人に限って使う表現があります。「人を送別する」「あの人の送別会をする」「その方を見送る」と表現します。

しかしながら、「あの品物を送別する」「あの品物の送別会をする」「その品物を見送る」とは表現しません。人以外に、送る対象の物の中には大変多くの物があり、物理的に形になって見える物、「手紙」「電報」「書類」などの紙に記述されている情報、昨今ではメールのような電子媒体も「送る」対象物です。

物の場合は、「送る」以外に「贈る」という表現もあります。「贈る」は、いわゆるプレゼントを相手に渡す際に「プレゼントを送る」ではなく、「プレゼントを贈る」と表現します。「贈る」には、感謝、祝福の気持ちを込めて相手に与えるという意味合いがあります。さらに言えば「送る」と「贈る」の違いは、気持ちが入っているか否かです。

誰が送るのか?

物を送る場合は、誰が送るのか、自分が送るのか、相手が送るのか、発送元と方向性がありますので、それを意識した敬語の使い方が重要です。

自分が送る場合(相手が受け手)

自分が、目上の人、或いは取引先に物を送る場合は、「お送りいたします」「送付いたします」という謙譲語の敬語を使います。取引先に注文品を送る際には、「ご注文いただいた商品は、明日の午前中の便でお送りいたします」と使います。

ここで過度な敬語を紹介します。「ご注文いただいた商品は、明日の午前中の便でお送りさせていただきます」という表現です。この言い回しは、決して間違いではありませんが、「させていただきます」は奇異な感じを相手に与えかねません。

なぜなら、「させていただく」は、相手に許可をもらう意味があり、この場合相手からの注文依頼を受けて送るのですからその相手に送ることの許可をもらう必要はありません。自分の意志で、相手の注文に対して送るのですから、「送ります」と明確に言えばよいでしょう。これを謙譲語にして「お送りいたします」でよい訳です。

昨今メディアから、「させていただきます」の誤った使い方が氾濫しており、これらの悪影響を受けてビジネスの世界でも使われています。タレントが記者会見で「私たちは、近々に結婚させていただきます」との発言をよく耳にします。

この人たちの両親には結婚の許可をもらう必要はありますが、それ以外の人の許可は不要のはずです。従って、「私たちは、近々に結婚します」で充分です。彼らは、おそらく「させていただきます」が敬語、或いは上品な言葉だと勘違いしていると推測します。

相手に送ってもらう(自分が受け手)

目上の人、或いは取引先に物を送ってもらうことを依頼する場合は「お送り願います」「お送りいただけませんか」「お送りいただくようお願い申しあげます」という尊敬語の敬語を使います。さらに「恐れ入ります」「大変申し訳ございませんが」「誠に恐れ入りますが」を添えると尊敬度、恐縮度がより高まります。

「誠に恐れ入りますが、期限までにお送りいただくようお願い申し上げます」と使います。以上は、自分が物を受ける場合ですが、これ以外に第三者が受け手の場合にも「お送りになる」を使う場合があります。上司に対して「上司自身が取引先にメールを送ること、またはそれを確認」する場合です。

取引内容によっては、課長が直にメールで返信する必要がある場合もあります。気の利いた部下は、課長に「〇〇課長、大変差し出がましいですが、〇〇商事への返信メールはお送りになりましたか」「〇〇君、気が利くね、すっかり忘れていたよ、今から直ぐに返信するよ、ありがとう」などの例です。

人を「見送る」の敬語活用法

「見送る」の敬語は、「お見送りいたします」「お見送りします」と謙譲表現します。「見送る」は、単に送るのではなく、目で追って見届けるという意味合いから「送る」に「見」を付加した言葉と言えます。「目上の人」「取引先」という大事な相手には、丁寧な対応をする必要があり、それに伴った敬語を使うことも重要です。

「お客様、玄関先までお見送りいたします」「出口まで、お客様をお見送りします」「空港まで、お客様をお見送りいたします」と使います。さらに、特殊な使い方として、故人への敬語表現として「生前大変お世話になったお客様を、厳かにお見送りいたしました」と使います。

物を「送る」の敬語活用法

「送る」という言葉は、物が対象の場合は、「送る」以外に「送付」「発送」「届ける」という言葉も使います。また、送る方法もひと昔前は、郵送しかありませんでしたが、昨今ではメールと組み合わせた効率的な方法に移行しています。これらの状況を加味した上で「送る」の敬語を紹介します。

「送付する」+郵送

請求書を送付(郵送)する際に、請求書のみでも法律上の問題はありません。しかしながら、ビジネスマナー上は問題があり、それを受け取る側は気持ちの良いものではなく、次の商談には決して結びつきません。それを避けるためにも、以下のような「送付状」は必ず同封することをお勧めします。

平成○年○月○日 ○○〇株式会社 営業本部商品開発課

〇〇様書類送付のご案内 貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご厚情賜り、厚く御礼申し上げます。先般、ご注文いただきました〇〇商品につきまして、請求書を送付いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。なお、ご不明な点につきましては、ご遠慮なく〇〇までお問合せください。

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初回公開日:2017年10月29日

記載されている内容は2017年10月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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