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「食べる」の謙譲語と例文・尊敬語/丁寧語との使い分け

更新日:2024年09月12日

「食べる」の敬語は自分が食べる時と、相手が食べる時とでは、使い方が違います。自分が食べる時は謙譲語、相手が食べる時は尊敬語を用います。では「食べる」を尊敬語、謙譲語で表すとどのようになるでしょうか。もう一度おさらいをして、綺麗な言葉遣いを心がけてください。

■奥様の手料理をいただいたら、おいしくて感激しました。
■たい焼きは私の大好物でしたので、さっそくふたつも頂戴しました。

【注意する点】
謙譲語の「いただく」は自分が作った食べ物や、自分が買ってきた食べ物に対しては使いません。

(例1)クッキーを作ったので、どうぞ召し上がってみてください。作った時に私もひとついただいたのですが、とてもうまく焼けているんですよ。
(例2)今日のお昼は、コンビニでおにぎりを買って、それをいただきました。

このように、このふたつの例は誤りです。この場合は、謙譲語の表現を用いず、「私もひとつ食べたのですが」「おにぎりを買って、それを食べました」のように言います。ただし、食事前の「いただきます」という挨拶は同じ謙譲語でも「食べ物の命をいただきます」と言う意味なので、この限りではありません。

「よばれる」は「食べる」の謙譲語か

よく耳にする「よばれる」は、「食べる」の意味を含むことがあります。もともとは、「呼ばれる」→「招かれる」から来ており、招かれれば食べ物のおもてなしを受けることが多いことから、そのような意味を含むようになりました。

「名を呼ばれる」と違って、この場合の「呼ばれる」は、話し手が動作の主体となった謙譲語の表現になります。「およばれする」という言い方もあります。

「食す(しょくす)」は「食べる」の謙譲語?

ちまたで時々見聞きする表現に「食す(しょくす)」と言う言葉があります。話の流れから「(私が)食べる」と言う場合の謙譲語表現として使われている場合が多いのですが、ではこの言葉は本当に「食べる」の謙譲語なのでしょうか。

答はNOです。これは、「召し上がる」「着る」「統治する」の尊敬語の表現です。しかも「食す」と書いて「おす」と読みます。また文語でしか用いられないため、現代の生活の中で「食べる」と言う意味で用いるのは間違いです。

一方で、「食する(しょくする)」という表現は「食べる」と言う意味で使うことができます。ただ、辞書には「文章語的な言い方」と書かれており、謙譲語であるとは限りません。

敬語の使い方をチェックしてみよう

次の10個の文の中で、敬語の使い方に誤りがあるのは何番でしょうか。

問題

①駅前にできた評判の店のケーキはもういただかれましたか。
②デザートはもう頂戴しましたか。
③ホテルのビュッフェで、たくさんの美味しい料理をいただきました。
④新発売のカップ麺は、もう召し上がりましたか。
⑤料理が冷めないうちにいただいてください。
⑥うちの夫は意外に甘党で、毎日ドーナツを召し上がるんですよ。
⑦おたくのお子さんは、毎朝納豆をお食べになられるので健康でいらっしゃるのですね。
⑧角に新しくオープンした店の弁当、もう食べられました。
⑨海外旅行のお土産、食べさせていただきました。
⑩先輩、旅行のおみやげのお菓子です。どうぞいただいてください。

正解

適切でない敬語の表現が含まれているのは以下のとおりです。

①「いただかれましたか」は謙譲語の表現なので、相手に対しては使えません。「召し上がりましたか」「お食べになりましたか」などが正しい表現です。

②「頂戴しましたか」は謙譲語の表現なので、相手に対しては使えません。「召し上がりましたか」「お食べになりましたか」などが正しい表現です。

⑤「いただいてください」は謙譲語の表現なので、相手に対しては使えません。「お召し上がりください」「おあがりください」などが正しい表現です。

⑥「召し上がる」は尊敬語なので、身内に対しては使えません。「いただくんですよ」あるいは「食べるんですよ」が正解です。

⑦「お食べになられる」は二重敬語なので、「お食べになる」とするのが正解です

⑨「食べさせていただきました」は謙譲語の表現としては誤りです。「いただきました」が正解です。

⑩「いただく」は謙譲語の表現なので、目上の相手に使えません。「召し上がってください」が正解です。

相手は「召し上がる」、自分は「いただく」と覚えよう

日本語の敬語の使い方は、本当に難しいです。いつも使い慣れていないと、正しくて美しい言葉はとっさの時になかなか出てきません。それでも最低限、「食べる」の尊敬語は「召し上がる」、謙譲語は「いただく」と覚えておけば、大きな恥をかくこともありません。

初回公開日:2017年10月25日

記載されている内容は2017年10月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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