「選ぶ」の敬語表現・選ぶの使い方と例文・別の敬語表現
更新日:2024年09月22日
では、次に「選ぶ」の謙譲語についてご説明します。
これも「お(ご)~する」の型に「選ぶ」を当てはめてみましょう。この形に当てはめてみると、「お選びする」になります。これは謙譲語として正しい敬語表現です。
この謙譲語は、自分や身内・目下(同等)の人の行動なので、「お選びする」という主語がない文面だけでも「自分側の人間の誰かが何かを選ぶんだな」ということが分かります。
ここで説明したように、「お選びする」は自分側の人間や目下の人の行動を表す敬語なので、間違っても上司や取引先企業などの目上の方の行動を言う際に「社長がお選びする」「お客さまがお選びする」などと言わないようにしてください。間違った敬語を使ってしまうと相手に対して失礼になってしまいます。
上司とお客さまが同席している場合はOK!
ビジネスシーンにおいて、「自分と上司とお客さまが3人で会う」という状況はよくあります。この場合に限っては、「上司が選ぶ」ということを謙譲語を使って「上司がお選びする」と表現してOKです。
それはなぜかと言いますと、この場面において一番立てなくてはいけないのは「お客さま」です。もし、「選ぶ」の尊敬語を使った「上司がお選びになる」と言ってしまうと、「上司」を一番高めた言い方になり、間接的に「お客さま」を下げてしまうことになります。
「上司」は自分にとっては目上の方ですが、同じ会社で働いてる人間は、お客さまや取引先企業の前では「身内」として扱うのが常識です。ですので、このようなお客さまと上司が同席しているような場合には、たとえ上司であっても謙譲語の「お選びする」を用いましょう。
「選ぶ」の丁寧語は「選びます」
「選ぶ」の丁寧語は文末に「ます」を付ければいいだけなので、「選びます」でOKです。もし過去形にしたいなら「選びました」です。
丁寧語は目上の方にも目下の人にも、誰に対して使っても問題はありませんが、目上の方にはできるだけ尊敬語を使った方が良いでしょう。「上司が選びます」だと、人によっては不躾な感じを受けてしまいますので、目上の方の行動を言う際には「上司がお選びになります」と尊敬語の方が望ましいです。
また、「私が選びます」「部下が選びます」など、自分や自分より目下の人の行動の時には丁寧語でも何ら問題はありません。より丁寧にしたいなら、「私がお選びします」「部下がお選びします」の謙譲語を用いましょう。
敬語で「選ぶ」を使うにはどうすればいい?
前述では、「選ぶ」の敬語の表現方法について説明しました。では、次にどのように使えばいいのかご説明します。
この「選ぶ」の尊敬語は「お選びになる」、謙譲語だと「お選びする」、丁寧語は「選びます」だということを踏まえて、「誰に対して」「どう使えばいいのか」についてご説明します。
基本的な使い方のポイント!
上述しましたが、尊敬語は相手を高める敬語なので、目上の方の行動について述べる際に使います。つまり、上司やお客さまなどが「選ぶ」という行為をした場合だけ「お選びになる」と表現できます。
謙譲語はへりくだる表現で、自分や身内、目下(同等)の人の行動を表す際に使える敬語です。つまり、自分だけでなく、家族や部下、同僚などが「選ぶ」という行為をする際に「お選びする」と表現できます。
ただし、これは目上の方に向けた発言です。上司に「部下が選んだ」と言いたい場合などに「部下がお選びします」と言うことができます。もし、目下の人(部下や同僚など)に向けて述べたいなら、丁寧語の「選びます」を用います。
仕事での使い方は?
仕事において「選ぶ」の敬語の使い方も、ポイントは同じです。目上の方の行動を表す場合は「お選びになる」ですし、目上の方に向けて話す際は「お選びする」、目下の人に対して話すなら「選びます」になります。
仕事においてのもう一つのポイントは、「誰の行動」を「誰に向かって言ったのか」です。たとえば、「上司の行動を社長に言った」とか「お客さまの行動を部下に言った」とか様々なシーンがあります。
このような場合は誰を一番に高めなくてはいけないのかについて考えてみましょう。「選ぶ行為をする人」を一番に高めるなら尊敬語の「お選びになる」、「話を伝える人(伝え先)」を一番に高めるなら謙譲語の「お選びする」がポイントになります。
以上を踏まえて、以下でさまざまなシーンの例を挙げてみます。
【例1】「上司の行為」を「社長」に言う
上司の「選ぶ」という行為を社長に伝えるシーンについて考えてみます。この場合に一番高めるべき相手は「社長」です。ですので、上司の「選ぶ」行為については謙譲語を用いて表現します。つまり「(上司が)お選びします」が正解です。
もし、上司の行動を尊敬語を使って社長に言ってしまうと、上司を一番高めた表現になってしまい、間接的に社長を下げることになります。ですので、「選ぶ」という行為をした人より、さらに上の人に言う場合には謙譲語の「お選びする」を使って敬語表現しましょう。
【例2】上司の行為を部下に言う
では、上司の「選ぶ」行為について部下に伝える場合はどうでしょうか。部下と上司なら「上司」を一番に立てなくてはなりません。ですので、上司を敬った表現をします。つまり、尊敬語の「お選びになる」を用います。
上述したように、目上の方の行動については尊敬語を用います。もし、これを謙譲語で言ってしまうと、上司を下げた発言になってしまいますので、注意しましょう。
社長の行為を上司に言う場合もこの例と同様です。社長と上司なら「社長」を一番に立てます。その高めるべき相手が「選ぶ」行為をしたので「(社長が)お選びになった」と表現します。
【例3】自分の行為を部下に言う
自分の「選ぶ」という行為について部下に述べる場合について考えてみます。この「自分」と「部下」だったら立てるのは「自分」になりますが、自分の行動については尊敬語は使えないと敬語の説明の時に話しました。
では謙譲語を使うのかというと、そういうわけでもありません。謙譲語が使えるのは、自分や目下の行動を「目上の方」に述べる時だけです。このケースだと、伝える先は「目下」になるので、謙譲語も使えません。
以上のことから、丁寧語を使いましょう。「選ぶ」の丁寧語は「選びます」なので、部下に選んだことを報告したいなら「(自分が)選びました」になります。部下の行動を同僚に伝える際も同じです。伝える先は「同僚」で自分と同等の人間になります。同僚は目上ではないので、この場合も丁寧語で表現しましょう。
初回公開日:2018年04月07日
記載されている内容は2018年04月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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