「なかった」の敬語表現・なかったの使い方と例文・別の敬語表現
更新日:2024年07月01日
先述までにいくつか「なかった」の敬語表現の例文をご紹介しましたが、ここでもう少し具体的に「なかったこと」を示す例文をご紹介します。
・Aプランについての起案書はございましたが、Bプランについての起案書はございません。いかがいたしましょうか。
・ご期待されている対応措置につきましては、目下、わが社では請け負わせていただいておりません。
・ご記憶にございませんか。
・本日予定しておりました会議につきましては、別件の社用がございましたため、後日に延期させていただきます(会議はございません)。
・ご用意いただきました重要書類の一部が見当たりません(重要書類の一部がございません)。
このように、状況や場面によって「ありません」、「見当たりません」、「延期させていただきます」などと「○○がない・なかったこと」を示す言い方は変わります。
ビジネス用語で「ないです」は失礼なのか
ビジネス用語で、相手が誰であっても「○○はないです」、「○○がないです」と伝えるのは、敬語表現をする観点から見て非礼に当たります。これは相手が上司であっても部下であっても、またもちろんお得意先や先方会社の場合でも、ときによっては大きな失礼になることがあります。
確かに「何がないのか」というその対象によって非礼の程度は変わることがありますが、必ずビジネス上のやり取りでは「ありません」や「ございません」という常識的な敬語を使うことが義務づけられます。
「なかった」の別の敬語表現例
「なかったこと」を示す別の表現例はいくつもありますが、先述でお伝えしてきましたように、「何がないのか」というその対象によって「なかった」の別の敬語表現例も変わってきます。
・ありません
・ございません
・見当たりません
・予定されていません
・用意できておりません
・検討中です(今のところ良案はありません)
・起案中です
・企画されておりません
・対応しておりません
・予測されません
・想定されることはありません
・見込みはございません
・期待外れです
・相場と違っておりました
・発掘できておりません(現在のところはありません)
・確認できておりません
特にビジネスにおいてはさまざまな仕事の用途があり、その各部署で行なわれる仕事内容や経過も違ってくるため、部署における仕事においては上記のように「ないこと・なかったこと」の旨が別の表現で伝えられる場合があります。
「ありません」と「ございません」の使い分け方法
敬語表現にはあらかじめ階級が設けられており、低級から最上級までの敬語が認められます。特に日本語では古語において最上級の敬語表現が多用されている例があり、「あらせられます」や「あそばされます」、また「たてまつります」や「恐悦至極」などといった、少しお堅い敬語表現が散見されています。
現代で使われる敬語表現では、特に常識的な敬語表現と上級の敬語表現だけに分けられており(天皇陛下や皇室に向けて使われる表現は別です)、その2種類の敬語表現をもって敬語が使われています。
「ありません」というのはこの場合「なかったこと」を表す常識的な敬語表現に認められ、「ございません」という言い方は上級の敬語表現として認められます。そのため、特にビジネス上でのやり取りにおいて使う場合には、「ございません」という言い方で敬語を示すことが一般的です。
「なかった」の英語表記と意味
英語で「ないこと・なかったこと」を表す言葉はその文脈によっていくつもありますが、一般的に「ない」という言葉は「no」や「nothing」という、「no」、「not」を基準にした言葉となります。これに続く形で「can’t be」、「couldn’t」、「wouldn’t」、「have no」、「there is no」などの「ないこと・なかったこと」を示す表現が使われます。
「なかった」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「ないこと・なかったこと」を示す英語表記をもとにして、「ないこと・なかったこと」の意味合いを含むいくつかの英文をご紹介します。
・There is currently no plan to get a job for a company on his schedule.
「彼の予定において、会社へ就職するというプランは今のところありません。」
・There is no such countermeasure in our company.
「わが社にそれに見合った対応措置はございません。」
・Environmental facilities for typhoon damage are not yet in place.
「台風被害への環境設備はまだ整っておりません。」
「なかった」の英語表現と意味(2)
先述の「ないこと・なかったこと」を伝える英語表現について、もう少し具体的な例文をご紹介します。英語の場合は敬語表現を見定める際、その文脈から判断することになります。
・I have not found any important documents I kept from you.
「お預かりしておりました重要書類が見当たりません。」
・Drafts on A plan are currently under consideration.
「Aプランについての起案は現在のところ検討中でございます。」
・For the future, I will consider the corresponding service which is not prepared now.
「今後に向けまして、現在は用意されていない対応サービスをご検討させていただきます。」
「なかった」の正確な意味と敬語表現をマスターしましょう
初回公開日:2018年02月28日
記載されている内容は2018年02月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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