残業45時間以上の際の割増手当|残業45時間を越えた場合
更新日:2024年06月15日
労働者の残業時間認定は使用者が行う
ただ、タイムカードに記録された残業の開始と終了の時刻はあくまでも残業時間を推定するための手段であって、その時間通りに残業認定をする義務は使用者側にはありません。使用者が残業時間を認定することで、労働者の残業時間が確定するのです。
また、別途に残業の開始と終了の時刻を労働者に申告させる場合には、それをもとに使用者が残業時間の認定と確定をすることになります。いずれにせよ、使用者側が認定することで労働者の残業時間が確定するのです。
使用者は月45時間を超えないようにする
特別条項のない36協定の下で、月45時間を超えて残業をさせた場合には、労働基準法違反に問われることになりますので、使用者側は月45時間を超えないよう労働者の残業時間に気を配ります。労働時間の把握義務があるので当然のことです。月45時間を超えそうになった場合、その人には残業をさせないようにするのが普通です。
会社都合による残業45時間とは?
会社都合とは離職理由に関わること
月45時間を超える残業が常態化している会社で働き続けることは、健康を害することにも繋がりますので、退職を考えたくなります。しかし、残業がきついので会社を辞めますと自ら退職を申し出ると、離職理由が「自己都合」となるのではないかということが心配になります。
離職理由が「自己都合」なのか「会社都合」なのかは、失業保険の受給手続きの際に非常に重要な点となります。「会社都合」とは、倒産や解雇などによりやむなく離職した場合に適用されるものですが、その場合だと失業保険受給に制限はなく、すぐにもらえるようになります。一方「自己都合」だと、3か月間の需給制限があり、失業保険を直ちにはもらえません。
会社都合による残業45時間というのは、残業が月45時間を超え続けたことで離職する場合の離職理由が、会社都合となるかどうかということにほかなりません。
残業45時間以上が3か月続いた離職は「会社都合」に
では、残業が月45時間以上の状態が続いたことで離職せざるを得なかった人が、失業保険の受給手続きの際に、離職理由として「会社都合」が認められるかどうかですが、はっきり言って認められます。
失業保険の受給資格の中の「特定受給資格者」として認められると、会社都合と同じように失業手当が支給されることになります。受給資格の「解雇等により離職した者」という項目の中には「離職の直前3か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間(各月45時間)を超える時間外労働が行われたため…離職した者」というものがあります。
つまり、月45時間以上の残業が3か月以上続いたことで離職をすれば、離職理由が「会社都合」として認定されます。このことが「会社都合による残業45時間」なのです。
会社への照会で「自己都合」から「会社都合」に
月45時間を超える残業が3カ月以上続いたことで健康に不安を感じ、会社に退職を申し出ることになった時、労働基準法違反なので離職理由を「会社都合」にしてくれるよう、あなたが願い出たとします。しかし、それに対して自分で勝手に辞めるのだから「自己都合」だと会社側が主張し、離職票にもそう書かれたとします。
しかし、そのことに納得していないあなたがハローワークで失業保険の受給手続きをする際に、残業時間に関する労働基準法違反のことを担当者に伝えて「会社都合」にしてほしいと申し出ると、ハローワークは事実確認のため、会社側にタイムカードや賃金台帳、経過書などの書類提出を求めることになります。
そして、ハローワークがあなたの主張の正当性を認めてくれると、あなたは「特定受給資格者」として「会社都合」扱いを受けることができるのです。
パワハラやセクハラが理由でも「会社都合」になることも
こうした残業問題のほかに、パワハラやセクハラで退職せざるを得なくなった場合にも、「特定受給資格者」として「自己都合」から「会社都合」に変えてもらえることがあります。残業とは全く関係のない話ですが、残業時間を理由にした退職と同じくらい大きな問題ですので、少し触れておきましょう。
時には、会社で仕事が続けられないほどのパワハラやセクハラを受けるケースがあるものです。そうした場合には、自分の心身の健康なども考慮して退職を選択せざるを得ません。ただ、その「自己都合」による離職に納得がいかない場合には、その旨をハローワークに申し出ることで会社側に照会してもらうことができます。
その結果、あなたの失業手当をめぐる争いから始まって、会社が労基署などに訴えられる可能性だってあります。パワハラやセクハラがある場合には、その証拠を記録しておくべきです。
45時間以上だと割増手当がでる?
残業には2割5分以上の割増手当がでる
1日8時間の所定の労働時間を超えて、労働者に残業をさせる場合には、使用者はその超過時間に対して割増手当を支払わなければなりません。労働基準法第37条でそのことが規定されており、それを守らない場合には「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑事罰になることもあるという、使用者に課せられた絶対的な義務です。
そして、1日8時間の労働時間を超えて行われる時間外労働、すなわち残業に対する割増手当に関しては、通常賃金の2割5分以上5割以下の範囲内で支払うよう規定されています。
ただし、午後10時以降から午前5時まで(労働大臣が認めることで午後11時から午前6時までの場合も)の深夜残業に対しては、さらに2割5分以上の割増手当を支払わなければなりません。つまり、通常賃金の5割以上を支払う必要があります。
月45時間を超えても2割5分以上の割増手当
初回公開日:2017年08月30日
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