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2018年05月04日

海外学振の業績・面接・給与の目安・結果・一時帰国できるのか

海外学振は日本学術振興会が採用の可否を決める海外特別研究員のことで、研究者ならば一度は選ばれてみたい憧れの対象です。ここでは、海外学振の選抜方法や給与の目安、難易度など海外学振について気になるあれこれをご紹介していきます。

海外学振って何?

海外学振の業績・面接・給与の目安・結果・一時帰国できるのか

海外学振の選抜方法や給与についてみていく前に、まず、そもそも海外学振とは何なのかというところからおさえていきましょう。

海外学振とは、日本学術振興会が採用する海外特別研究員のことです。この海外学振に選ばれる人は、これからの日本の学術を担う国際的な視野を持った能力のある若手の研究者です。

有能な若い研究者を養成し、確保することで、日本の学術のさらなる発展に寄与することを目的としているため、海外学振に採用されれば長期間にわたり海外の大学などの研究機関で研究に携わることができます。

学振との違いは

学振とは特別研究員のことです。大学院の博士後期課程1年次に相当するDC1、博士後期課程2年次に相当するDC2、博士の学位を取得後、5年以内のPDなどがあります。海外学振との違いは、学振は日本国内において研究をするということです。

学振に採用されるといろいろなメリットがあります。給与が毎月20万円もらえること、授業料免除申請によって大学院博士後期課程の授業料が半額程度になること、学振経験者が優遇される他の助成制度を受けやすくなること、履歴書に書けるため就職に有利になることなどです。

大学院博士後期課程に進む予定の人は、学振の申請も視野にいれるといいでしょう。

海外学振のメリット

次に、海外学振のメリットをみていきましょう。海外学振のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

1.給与と研究費がまとめて支給されるため、赴任先がアメリカだった場合には実質の月給が40万を超える

2.交渉次第では赴任先が社会保険料を負担してくれるため給料の天引きが少なくなる

3.海外学振に採用されると社会的な評価が高まるにもかかわらず応募者が少ない、ということがあげられます。

自分のやりたい研究ができること、それも先進的な方法や新しい発見が多数あるなかでお金に困ることがないというのは大きな魅力といえるでしょう。海外学振では人付き合いや研究室運営についても学ぶことができます。

海外学振のデメリット

逆に、海外学振にはデメリットもあります。

1.日本での学会発表などに来る場合はお金がかかるため、帰国の頻度が下がり、日本の研究者とのつながりが薄くなる

2.給与や研究費は日本円で決定されているため、レートの変動によって実質の給与が増えたり減ったりする

3.他からの助成金を得ることができない

また、日本よりも海外の方がPD(ポスドク)を長く続けることができる環境があるため、帰国のタイミングが難しかったり、海外学振が2年であるのに対しPDの期間は5年あることから、PDの途中で海外学振が切れてしまうということもあります。

海外学振の業績

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海外学振の採用にあたっては、約2ページの研究業績を書かなければいけません。研究業績とは、申請者本人が中心となったものだけを書くことができます。論文は学会誌へ掲載されたもののみが有効で、投稿中のものや査読中のものは含まれません。

海外学振の業績には、学術雑誌に発表した論文や著書または解説、国際会議での発表、国内の学会やシンポジウムでの発表、取得した特許について書くことができます。共同研究者として名前を連ねた論文や研究発表の数も含まれますので、数え忘れないようにしましょう。

本数が多い場合は、他○本という書き方でまとめていきます。海外学振の業績を書くポイントは、他の研究分野の人からも興味をもってもらえる内容かどうかです。経験豊富なほかの研究者にチェックしてもらうのが良いでしょう。

海外学振の選抜方法

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それでは今度は、海外学振の選抜方法についてみていきましょう。海外学振の選抜は、大きく分けて書類審査と面接です。

まず、3月中旬から5月上旬に申請を受け付け、そこから書類審査が始まります。1つの申請に対してその専門分野である6人の審査員が審査を行います。この書類審査は第1次審査ともよばれ、研究業績や研究計画、海外の機関での研究の適応性などを総合的に評価します。この評価は5段階であらわされます。

海外学振の面接

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海外学振の第1次審査を通過すると、第2次審査である面接審査にうつります。海外学振の面接審査員は6人です。そのうち専門分野の委員は1~2人程度といわれています。1人あたりの時間は10分です。最初の4分程度でプレゼンを行い、その後の6分は質疑応答となります。

プレゼンでは、面接候補者自身がこれまでに行った研究の業績と今後の研究計画について説明します。学会発表の経験がある人ならおわかりでしょうが、4分はとても短い時間です。専門分野ではない委員にもわかりやすく説明する必要があり、すべてを詳しく説明すると到底時間が足りなくなってしまいます。

プレゼンではパワーポイントを使うことが多いでしょうが、スライドには本当に必要なキーワードしか書かないことように注意しましょう。また、面接会場へは余裕をもっていくようにしましょう。控室がありますので、PCの動作確認をしておきたいところです。

面接審査で必要なものは?

したがって、面接時間の30分前までには控室に入室しておくことが望ましいといえるでしょう。なお、15分前になると、面接室の前へと案内されます。そこで事務員にスライドのコピーを15部渡します。スライドのタイトルと、申請した研究課題が完全に一致しているかを事前に確認しておきましょう。少しでも異なる場合は、事務員からチェックが入ります。

海外学振の給与の目安

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海外学振の給与はどれくらいなのでしょうか。研究先の国の物価が高いと感覚的には給与は少なくなりますし、レートによって変動するため毎月決まった金額とはならないため、海外学振の給与の目安をみていきます。ここでいう給与とは日本学術振興会から支給されるものを指します。

支給される滞在費や研究活動費は、派遣される国によって、甲乙丙とわかれています。また、この支給額は改定されることがあるため、必ずしもずっとこの金額ということではありません。

甲地であるアメリカやイギリス、ドイツ、フランス、カナダなどは日額17200円(年額にして約620万円)、乙地であるオーストラリアや韓国などは日額13800円(年額約500万円)、丙地である中国などは日額12400円(年額約450万円)となっています。

したがって、甲地の中で物価ができるだけ物価が安い国にすれば、金銭的には最も不安がないといえるでしょう。

海外学振の結果の目安

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海外学振は審査領域が9つにわかれています。人文学、社会科学、数物系科学、化学、工学、生物学、農学、医歯薬学、総合です。分科細目コードによって、どの領域に申請できるかが決まっています。

例えば、自分の研究分科が情報学情報基礎学で細目が統計科学の場合には、社会科学、数物系科学、工学、農学での審査が可能となります。数物系科学は申請数が毎年多く、工学や農学は年度によって申請数に差があるから、申請数がそれほど多くなく安定している社会科学にしようかという作戦をたてることができます。

しかしながら、領域ごとに難易度に差があるとはいえ、どの領域でも申請者のおよそ20%程度が採用されていることから、安易な選択は避けるべきでしょう。

海外学振の申請者数および採用数については、日本学術振興会のHPに詳しく掲載されています。

海外学振の補欠って?

海外学振の採用者にはなれなかったものの補欠として連絡がきたという人もいるでしょう。補欠とは、海外学振の辞退者が出た場合、政府が特別に科学研究費に予算枠を拡充した場合に繰り上げとなります。

したがって、申請した領域で辞退者が出なかったり、予算枠が拡充されなかった場合は不採用ということになります。この補欠からの繰り上げは、早ければ1月中旬から、遅い場合は3月下旬に連絡がくるためばらつきがあります。

海外学振は一時帰国できるのか

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海外学振の一時帰国はできるのでしょうか。実は、海外学振の一時帰国には制限があります。日本への一時帰国は、私用であれ公務であれ2年間に40日までで、しかも1回の帰国は2週間までとなっています。

帰国する場合は、日本学術振興会に連絡をして許可を得る必要があります。また、公務に当たる場合は給料(日額の支給)がでます。学会発表やシンポジウムでの講演が公務にあたります。

それでは、海外学振でアメリカの大学にいて、韓国の学会で発表をすることになった場合などはどうなるかというと、日本への一時帰国以外は制限がありません。

海外学振の申請書の書き方

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海外学振の申請書には書式があります。そしてその申請書の提出は、電子システムに登録したり、電子システム上で入力することで行います。

海外学振の申請書は全部で13ページと別紙です。電子システムに登録するものは、申請書の4ページから11ページにあたる申請内容ファイルと、別紙の研究職歴などです。様式をダウンロードして記入し、電子システムに登録します。

電子システム上で入力するものは、申請書の1から3ページにあたる申請者情報、申請書12ページにあたる受入意思確認書、申請書13ページにあたる評価書です。このうち、受入意思確認書と評価書は申請者本人が入力するものではありません。受入先の人や評価をしてくれる人にお願いして電子システム上で入力してもらいます。

海外学振の保険

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海外学振になると、他からの給与を受け取ることができないため、国民健康保険に加入することになります。そのうち70%は日本学術振興会が負担してくれ、残りの30%が自己負担です。しかし、日本学術振興会が加入している海外旅行傷害保険に請求することが可能です。

この海外旅行損害保険は、民間の保険会社のものとなりますので、請求に応じることができないケースもあります。民間の保険会社は日本興亜損害保険株式会社ですので、そちらへの確認が必要となります。

また、自動車に乗る必要がある場合は民間の保険会社で任意保険に加入すること(日本学術振興会からの補助はありません)や入居するアパートの火災保険に加入すること(支給される滞在費から支払う)も忘れないようにしましょう。

海外学振は面接免除もあるのか

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学会での発表数が多い場合や論文を多数執筆している場合は、面接免除での内定通知がくる場合があります。1次審査(書類審査)の結果は、面接免除での採用内定、2次審査にすすむ、不採用の3つにわかれています。

海外学振の難易度

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海外学振の難易度は、年度によって申請者の25%が採用されていたこともありますが、おおよその目安は20%です。約5倍の倍率です。5倍というとそれほど倍率が高いという感触はないでしょう。誰でも審査をクリアするわけではありませんが、実績がある人ほどパスしやすいという傾向がみられます。

論文や研究発表の著者名の位置がファーストではなく、セカンドやサードでもきちんと評価されていますので、共同研究をしている場合には漏れがないように気を配りましょう。

将来の可能性が広がる海外学振

海外学振の業績・面接・給与の目安・結果・一時帰国できるのか

海外学振は、研究に対する意欲や実績もさることながら、英語などの語学力も必要です。誰でも気軽にチャレンジできるものではないものの、研究者ならば誰しも一度は、海外での研究に憧れをもつことでしょう。海外学振の経験は、その後の将来に必ずといっていいほど大きな影響を与えます。積極的にチャレンジしてみましょう。

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