【業界研究】機械業界の現状・動向・課題について
業界の現状
機械業界とは
機械業界は、私たちの日常生活に深く関連する製品の生産に欠かせない設備機器を提供している業界です。家電や自動車、船舶、航空機から環境・宇宙開発といった技術まで対象とする産業は多岐にわたり、現代においてはほとんどの産業を支えているといっても過言ではありません。
機械業界の歴史は古く、その発端は明治時代の殖産興業政策まで遡ることになりますが、業界が急成長を遂げたのは戦後の経済復興や高度経済成長期になります。そして、欧米の最新技術を積極的に取り入れながら、さまざまな技術革新を成し遂げたことにより、1980〜90年代初頭には世界から技術立国といわれるまでの地位を築いたのです。
現在は、円高や中国・韓国といった新興国の台頭もあって苦戦を強いられていますが、積極的な経営再建策をとることにより2008年のリーマンショック以降、その市場規模は回復基調にあります。
機械業界の分類
機械に関連する産業であるならすべて機械業界に内包することも可能ですが、総務省の「日本標準産業分類」によると、第二次産業のなかの製造業として定義されています。
そして製造業のなかでは、はん用機械、生産用機械、業務用機械、電子部品・デバイス・電子回路、電子機械、情報通信機械、輸送用機械の7つに分類され、さらにそこから小分類に区分されています。
1. はん用機械(ボイラ・原動機)
2. 生産用機械(農業用機械、建設機械・鉱山機械、繊維機械、生活関連産業用機械、包装・荷造機械、金属加工機械、半導体・フラットパネルディスプレイ)
3. 業務用機械(事務用機械、医療用機械)
4. 電子部品・デバイス・電子回路
5. 電子機械(電子計測機)
6. 情報通信機械(映像・音響機械、デジタルカメラ、電子計算機、パーソナルコンピュータ)
7. 輸送用機械
基本情報
- 市場規模:68兆3,436億円
- 労働者数:239,909人
- 平均年齢:40.9歳
- 平均勤続年数:15.2年
- 平均年収:581万円
日本のものづくりの技術は世界でも有数レベルの水準といわれますが、機械業界の場合はそれが金銭面にあまり反映されておらず、少し厳しい数字となっています。総務省の産業分類では、第二次産業のなかの製造業に分類されていると上述しましたが、この製造業自体がここ30年弱のあいだに生産額と就業者数を大きく減少させている業界であり、それを考えると平均年収が平均的なのも致し方ないのかもしれません。
ただ、機械業界は歴史のある業界でもあるため、労働環境が整っている企業が多く、勤務時間が一定で休みも取りやすいというメリットがあるようです。
仕事内容
機械業界の職種は開発、マーケティング、管理の3つに分けることができます。
研究開発:開発テーマに基づいた実験・解析を繰り返し、テーマの実現性を検証するためのデータの収集・分析を行う仕事です。基本的には、基礎研究、応用研究、製品化研究の3つに分かれています。
生産:研究開発部門によって決定された新製品をプラント等で量産する仕事です。工程設計、生産性検討、生産技術開発といった業務も含まれます。
生産管理:決められた納期のなかで製品を経済的に生産するための管理を行う仕事です。近年では、プラントでの生産業務に携わるだけではなく、企画段階から出荷までを一元的に管理することが多くなっています。
営業:顧客のニーズをつかみ、課題を見出して、商品を提案していく仕事になります。商品を提供して終わりではなく、その後のフォローも大切な業務になります。
商品開発:市場のニーズを探って、商品を企画し、開発・製造を経て市場に送り出すまでの流れを管理する仕事です。市場動向調査、消費者ニーズ調査、コスト分析等の業務を行います。