【業界研究】飲食業界の現状・動向・課題について
中食大手のプレナスは2016年、宮島醤油フレーバー(福岡県)の株式を取得し、子会社化することを発表しました。宮島醤油フレーバーは調味料の加工販売に強みがあり、同社は海外で使用する調味料を現地生産することで競争力を高めたい意向です。
ダスキンは2016年、マレーシア及びカンボジアでドーナツショップ「ビッグアップル」を展開するビッグアップル・ワールドワイド・ホールディングス(BAWH)を子会社化しました。現地で展開中の「ミスタードーナツ」にBAWHの経営ノウハウを融合させることで、現地での購買や物流を効率化させたい考えです。
市場動向
飲食業界の市場規模は外食、中食ともに増加基調
日本フードサービス協会「外食産業市場規模推移」によると、2015年の外食産業市場規模は前年比2.2%増の25兆1,816億円で4年連続の増加となりました。
年初に異物混入問題の影響がありましたが、インバウンド需要や法人交際費の増加がその後の堅調をもたらしました。ただし、中食の成長もあり、ピーク時の1997年の29兆702億円からは13.4%縮小しています。
また、惣菜店などの中食産業市場規模は7兆1,384億円で、前年より5.4%増加しました。これは、販売チャネルの多様化や惣菜・弁当の品質向上が要因とみられています。
業界の課題
増加するマネジャーの負担
飲食業界では慢性的な人手不足が続いていますが、とくに問題になっているがマネジャー(店長)職の仕事量が増えていることです。
外食大手チェーン店では、売上の低迷をマネジャー1人の責任にする傾向があります。その結果、マネジャーはアルバイト人員を削って自分自身で店のシフトに入ることを余儀なくされ、人員の減少とマネジャーの労働時間の増加という悪循環を招いています。
売上の低下をマネジャー1人の責任にするのではなく、ビジネスモデルの再考を行うなどしてチェーン店全体で抜本的な対策を取る必要があります。
食材価格の上昇
円安で食材価格が上昇し、値上げをしなければいけない状況にありますが、飲食業界各社は客離れを懸念して大きな値上げができない状況となっています。
たとえばモスフードサービスは、輸入牛肉を使わない野菜中心の商品開発に力を入れていますが、低価格というだけで消費者のニーズに応えることは難しくなっており、低コストを視野に入れながらも消費者が納得するような商品開発が求められています。
業界の今後の将来性
コスト削減やIT化で生き残りを
少子高齢化の影響もあり、長期的にみると国内の飲食業界は縮小傾向にあります。
とくに縮小が顕著なのが外食市場です。中食市場の拡大もあって企業間の競争はさらに激化しており、各飲食店は独自性のあるメニュー開発で差別化するなどして厳しい戦いに勝ち残らなければなりません。
FC加盟店の場合においても、本部のやり方に完全に従うのではなく、立地やターゲット、シーンに合わせた柔軟な対応策が必要になります。加盟店の成功体験を本部に蓄積させてノウハウとして確立し、チェーン全体の成長につなげることが業界の成長につながるのです。