「いとおかし」とはどういう意味?使う場面や例文もあわせて紹介
更新日:2024年08月28日
古典文学において頻出する単語「いとおかし」。この「いとおかし」とは具体的にどのような意味なのか、よくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
本記事では「いとおかし」の持つさまざまな意味を、現代の言葉に例えながら場面ごとにくわしく解説していきます。また、実際に「いとおかし」が使われている例文を、古典文学から抜粋してご紹介します。
この記事を読めば、文中で「いとおかし」が出てきても、前後の文章から正確な意味を把握できるようになり、古典の奥ゆかしい表現も感じられるようになるでしょう。
平安時代の枕草子などを読む際には、このキーワードの正しい解釈が欠かせません。
「いとおかし」の意味が今ひとつ理解できず古文が読みづらい、という方はぜひこの記事を参考にしてください。
「いとおかし」とは?
古典文学には「いとおかし」という独特の表現があります。「いとおかし」の「いと」は、普通より程度が高い状態を示す「非常に」「大変に」などを表し、「おかし」は、愚かなものを指す「をこ」が月日の流れと共に意味が変化した言葉だとされています。
この記事では、古典文学で使われる「いとおかし」の意味や表現、文例を通して古文の美しさをご紹介します。
「いとおかし」と「いとをかし」
「いとおかし」の「いと」には、物事が通常よりも程度が高い状態である「とても/非常に/大変」の意味と、打消し言葉と使う「それほど/たいして」の意味があります。「おかし」は打ち消し言葉ではないので「とても」などの意味で使われます。
この「おかし」と「をかし」は同じ意味ですが、正しい表記は「をかし」で、現代語仮名遣いにしたもが「おかし」です。
現代語での意味
「いとをかし」は「とても趣がある/とても可愛らしい/風情がある」など、前後の文章に合わせて意味が異なります。
この使い方のまま現代語の意味に合わせて言い換えると「マジでヤバイ/マジ最高/チョー可愛いんだけど」といった表現に該当すると考えられます。このように現代に合わせながら読み解くと、古典文学も身近に感じるのではないでしょうか。
古語での意味
古典文学などで使われている「いとおかし」は前後の文脈により意味が多少異なります。「をかし」は感動を表わす言葉で、対象を客観的に観察することで沸き起こる知的感動を表すのに使われ、「明るい知性的な美」を表す言葉だとされています。
機知に溢れた気づきから生まれる感動には、楽しさや美しさがあり、明るい印象を与える言葉として使われています。
「いとおかし」には豊富なニュアンスがある
「いとおかし」はさまざまな場面で用いられ、使われる対象によって意味が異なるのが特徴です。
自然や季節の風景に対して用いられる時は「とても趣がある/風情がある」という意味の形容詞になり、枕草子などでよく見られます。
女性や子どもに対して用いられる時は「とても美しい/愛らしい」という意味を表しており、前述の場面とはニュアンスが変わります。
また、「興味深いこと」に対しても「いとおかし」は用いられ、「とてもおもしろい/心が引かれる」といった様子を表すこともあるのです。
このように、「いとおかし」はさまざまな感性を表現する多義語であり、当時の人たちにとっては身近でよく使われる言葉だったようです。
「いとをかし」を使う場面と例文
「いとおかし」には複数の意味があり、文脈によってさまざまな様子を表す言葉であると述べてきました。文中で「いとおかし」が出てきたら、「とても趣がある」「とても美しい」「とても滑稽」などの意味の中からどれを表しているのかを、前後の文章から判断して読み取りましょう。
ここからは、「いとをかし」を使う場面とその例文をくわしく見ていきます。
「いとおかし」の使い方
「いとをかし」は「いとあはれ」と共に、平安時代における文学の基本的美的理念として使われていた表現です。対象に入り込む「あはれ」と異なり、知的・批評的に対象を観察することで沸き上がる感動を鋭い感覚によって起こす情趣です。
5つの例文を通して「いとをかし」の使い方や異なる意味について解説します。
「いとをかし」を使う場面
「いとをかし」は枕草子などで多く見られる表現で、美に対する感嘆や称賛などを明るい印象で伝える時に用いられることが多い言葉です。
「もののあはれ」は源氏物語などで多く見られる表現で、「しみじみとした情緒の美」と伝えられるように、心に響かせる気持ちを表現する時に多く用いられています。
「いとをかし」を使った例文
初回公開日:2018年01月30日
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