「いろはにほへと」の意味や起源|「いろは歌」の内容についても解説
更新日:2024年09月22日
我が世誰ぞ 常ならむ (それと同様に)我々人間の世も、だれがいつも変わらずにいようか。(いや、いつも移り変わり無常だ。)
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うゐのおくやま けふこえて
「うゐのおくやま けふこえて」を上と同様に意味のある単語に分解すると、「うゐの」、「おくやま」、「けふ」、「こえて」の4つに分かれます。
この4つは「有為の」、「奥山」、「今日」、「越えて」と漢字で書き直せます。「有為」とは仏教の思想である有為転変のことで、「世の中のものは全て常に移り変わるものだ」という世の儚さを意味する言葉です。
現代語に直すと、「移り変わりの激しい無常の現世という山を今日も乗り越えて」という意味になります。
有為の奥山 今日越えて 無常の世のような奥山を今日超えて行くような人生で、
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あさきゆめみし ゑひもせす(ん)
最後の「あさきゆめみし ゑひもせす(ん)」を分解してみましょう。「あさき」、「ゆめみし」、「ゑひもせす(ん)」の3つに分けられましたね。
漢字に直すと「浅き」、「夢見し」、「酔ひもせす(ん)」と表記できます。
現代語に訳すと「今の世に酔いしれ、儚い夢など見ないように」という訓戒をこめた意味になります。
つまりいろは歌は、仏教の経典である涅槃経の「諸行無常、是正滅法、生滅滅己、寂滅為楽」という教えをベースにした歌ということになります。
浅き夢見じ 酔ひもせず 浅い夢を見るように眼前の事象に惑わされず、世の出来事に酔いしれないようにしよう。
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いろは歌は「今様」という形式になっている
いろは歌は七五調四句になっており、それは「今様」と呼ばれる形式です。
「今様」とは、平安時代中期から鎌倉時代にかけて朝廷で流行した歌の形式になります。
今様は現代風という意味を持ちますが、当時の神楽歌や催馬楽といった「古くから存在する歌に対する新しい歌」という意味合いで名づけられたものです。
いろは歌の覚え方
いろは歌は七五調となっており、語感がいいので歌いながら覚えられます。
単なる文字列ではなく、歌に込められた意味を考えながら歌うとより覚えやすくなるでしょう。
いろはカルタという、江戸時代から続く歴史ある遊具も存在します。そういった遊具で遊びながら覚えるのも楽しく学ぶコツです。
いろは歌を通して日本の文化と思想に想いを馳せてみよう
この記事では「いろはにほへと」から始まる「いろは歌」について、起源や歌に込められた意味・背景を中心に解説してきました。
いろは歌は古くから伝わる伝統的な詩歌で、その優れた詩作から仮名の手本として用いられ、日本文化と思想の成熟に深く関わってきました。
仏教的な思想と価値観を持つ歌ですが、当時の日本では仏教の思想が民衆の間に根付いており、その教えを守って生活を営んできました。
このいろは歌はその思想が顕著に表れている歌であり、「いろはにほへと…」と口ずさむことで当時の人々の文化や思想に触れることができます。
ぜひ皆さんも古来の日本へ思いを馳せながら、いろは歌を口ずさんでみてはいかがでしょうか。
初回公開日:2018年01月24日
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