「一環」の意味と使い方|例文7つ・「一貫」との使い分け
更新日:2024年10月19日
「一環に過ぎない」と使う場合には、他の使い方よりもネガティブで、全体を構成する1つでしかない、といったように重要度を下げて使います。この場合には、大きな主軸のものの1つでしかなく、さほど重要ではないと言うニュアンスが強くなります。
「この新規事業は会社の中で、社員の能力を確かめる一環に過ぎない」
例文7:一環に合体する
「一環に合体する」と使うと、全体を構成している主軸のものと一緒になる、吸収されると言う意味が出てきます。「一環」には、鎖のように同じ材質がいくつも繋がった状態を意味する場合があります。イメージとしては別々になった1つ1つの鎖の輪を、本体の鎖に戻し、1つの輪を作ると言ったことです。
「解散した事業を、一環に合体する予定です」
間違いやすい同音異義語
「一環」と間違いやすい漢字に「一貫(いっかん)」「一巻(いっかん)」があります。それぞれの意味、使い方も異なりますので、使用する際には留意しましょう。
「一貫」とは、1つの方針や目標などを貫き通すこと、またひと続きのものを指すことです。また「一巻」とは話や事件の最初から最後、一族、巻物や書物を数える単位になります。
「一環」と「一貫」の違い
「一環」と「一貫」の意味の違いは、全体の中の1部なのか、1つのみなのか、で異なります。「一環」の環は鎖の輪のようにいくつか連なったものを表しますが、「一貫」の貫は「つらぬく」という意味です。「一貫」は、1つの態度や方針などを崩さず、終始同じことを続けるのが本来の意味です。
「一環」と「一貫」は、音の響きは同じ言葉であっても、含まれている意味やニュアンスで使い方は大きく異なる表現になります。
仕事の「一環」と「一貫」した仕事の意味の違い
寿司「一貫」
1つ気をつけたいのは、寿司「一貫」という数え方です。これは貫くと言う意味よりも、「一貫」が単位として使われていたのが由来と言われています。
「一貫」とは約40グラム程度の重さのことだったと言われており、当時の寿司がこの「一貫」の重さだったと伝えられています。また別には「一貫」は2個1組あるいは1個を言うこともあり、それが由来という説です。
重さ「一貫」
重さに対して「一貫」と使う場合には、元来使われていた単位を示す言葉になります。一貫の重さは約3.7キログラムだったと言われております。
江戸時代には、「一貫」は1000匁(もんめ)であり、1000匁が約3.7キログラムに相当したということです。匁は、当時の貨幣の単位になります。江戸時代の貨幣は重さにより価値が決まっていたため、重量はおおよその重さになります。
「一巻」の終わり
「一巻」を使った表現では、死ぬこと、結末がわかっていて手遅れなことを「一巻」の終わりと言います。マンガや長編作品などは巻数が続いていることが多いですが、それが1つだけで終わってしまうことに由来します。すでに物語の結末がわかっており変えられない、手遅れの時のことを言います。
意味を理解して使えば間違えない
正しく使って簡潔な文章を作ろう
「一環」は同じカテゴリーでも、複数のものがある時、主目的を達成する構成要素の1つ、もしくは全体のうちの1つと言う意味で使われることを覚えておきましょう。ビジネスシーンではよく使われる言葉なので、耳では聞いたことがあっても、同じ読み方で違う漢字の言葉は複数あります。
普段スマホやPCなどで変換を任せて、感覚的に漢字を選んでいる人は、これを機会に正しい使い方を覚えてビジネスで使うようにしてください。
初回公開日:2018年01月12日
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