「且つ」の意味と使い方|漢文/現代文の文例4つ・「及び」との違い
更新日:2024年06月08日
「且つ」とは
文章と文章、また単語と単語を繋ぐ表現である「且つ」という言葉の基本的な意味、使い方について解説します。ビジネスシーンでも、メールや書類などで「且つ」という言葉が使用されているケースは多く、頻出の日本語です。
会話でも文章でも事柄を追加する際に使える言葉ですが、使いすぎると物事の本質をミスリードする表現でもあります。
よく使う「且つ」について、再度学習することで、適切な表現として使うことが大切です。
「且つ」の読み方と意味
「且つ」の読み方は「かつ」と読み、「その上」という意味です。文章中で使う場合には、文章や内容を追加する意味で使います。
「且つ」と言う漢字の成り立ちは、まな板の上にいけにえが乗っていることを表しています。そのため本来の意味は、「まな板」「生贄を乗せる台」もあります。現代では元来の意味よりも、「その上」「追加して」といった意味で使うことが多い言葉です。
「且つ」に似た言葉
日常生活やビジネスシーンのさまざまな場面で使用される「且つ」で似ている言葉は、「さらに」「併せて」です。「且つ」を文章中で使う場合は、「追加して」と言う意味です。そのため、本題と併せて別のことも相手に伝えたい時に使います。
「さらに」「併せて」以外の言葉では、下記のような言葉が類語となります。同じ表現が続くような時は言い換え表現として、文章が単調になるのを防げます。
・加えて
・さらに
・尚且つ
「且つ」の英語
「且つ」を英語で表すと、「besides」「moreover」「furthermore」の3つの接続詞が挙げられます。「その上」「追加して」という意味の言葉です。
英語の使い方も、日本語と同じです。主題の文章に意味や状態を追加して、同時に言う時に使います。
例文:It is rainy today, and besides It is so cold.
訳:今日は雨だし、その上とても寒い
「且つ」の使用例
「且つ」を文章中で使う場合の表現を、具体的に解説します。接続詞として使う言葉になりますので、文章中か2つの文をまとめて言う時に使います。
例文1:彼はとても仕事ができ、且つスピードも早い。
例文2:こちらのご案内状は当日必ず必要になります。且つ紛失の場合は再発行できません。
古文・漢文での使用例
古語や漢文における「且つ」の意味をみていきます。漢文や古語からの意味を知ることで、「且つ」の言葉の成り立ちなどの知識をつけることができます。
「且つ」の意味の中には、現代文と漢文で同じような意味で使うこともあります。ただし漢文の場合は別のニュアンスで使うこともありますので、詳しく解説します。
文例1 臣死且不避(史記『鴻門之会』)
「臣死且不避」の意味は「臣は死すらも避けない」になります。現代で使われている意味とは少し異なる使い方ですが、史記の中の登場人物が酒を勧められて、それを受ける時に使われている表現です。
現代語に直す場合には、「死の覚悟もしている。かつ大酒を飲むことも覚悟はある」と行った意味として捉えると、理解しやすいでしょう。
文例2 有恥且格(論語)
論語の中で出てくる表現に、「有恥且格」があります。意味としては、「恥を持ちかつ格(いた)る」となり、「恥を持って、且つ善の道へ進む」です。
論語の中の孔子が唱えた言葉です。「法律や刑罰によって人々を統制するような政治をすると、人はそれを避けることを考えてしまう。徳で人々を統制すれば、自分の行いに対して恥を持つようになり、その上善の道へ進むようになるのだ」と言うのが本来の意味するところです。
現代文での使用例
現代文で使う場合でも、もちろん「且つ」は漢文のもともとの意味を持っています。漢文の例文2で使っていたように、前後の文や動作にかけて「も」「その上」の意味で使います。
現代文で使う場合には、同じ状態のことを並列して言う時と、さらに、追加して、もっとなどの意味で使う場合があります。
「さらに」と言う意味で使う場合には「なお」をつけて「なお且つ」を使うようにしましょう。
初回公開日:2018年01月23日
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