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「時よ止まれ汝は美しい」の意味は?あらすじと背景から紐解いていこう

更新日:2024年04月15日

「時よ止まれ汝は美しい」は、文豪ゲーテの戯曲『ファウスト』のなかに出てきます。よく聞かれる一節ですが、どのような意味内容なのかご存じですか?本記事では物語のあらすじや背景からその意味を紐解きます。「時よ止まれ汝は美しい」について知りたい方は参考にしてください。

第1部で、悪魔メフィストフェレスがファウストの前に登場します。

ファウストは多くの学問を究めてきた老博士ですが、どんなに知識を学んだところで未知なることは無限に存在し、そのうえ自分の人生は学ぶ前も学んだ後も結局何ひとつ変わらないと嘆いていました。

学問だけの空しい人生を悲観したファウストは絶望のあまり自殺まで図ろうとしますが、辛うじて思いとどまります。しかし、今までのように学問に夢中になることでは生きる喜びを感じられないのです。

ファウストは生きることの充足感を求めていました。そこでメフィストフェレスから見透かされたように、「ある契約」をもちかけられます。それは死後のファウストの魂を引き渡す代わりに、彼の欲望をすべて叶えるというものでした。

死んだ世界に関心のないファウストはメフィストフェレスの甘い誘いに乗り、「時よ止まれ汝は美しい」という言葉を言えば自分の魂を捧げるという悪魔の契約を結んだのです。

終幕の場面

第2部では、ファウストはローマ皇帝に協力し、悪魔たちの力を借りて戦に勝利します。この功績をたたえ、褒美としてファウストに海岸地帯にある広い領地が与えられます。

この土地を切り開こうと、ファウストは国家規模の干拓事業にも自ら名乗りを挙げて取り組みます。プロジェクトを進めるなかで、付近に住む老夫婦に立ち退きを求めるも拒否され、図らずも殺害までしてしまうのです。

ファウストは、その報いとして「憂愁」の霊によって呪いの息を吹きかけられ失明します。その一方で、メフィストフェレスは子分の悪魔たちにファウストの墓穴を掘らせていました。光を奪われたファウストは、自分の墓を掘るツルハシの音が、人民たちが土地を切り開く音だと聞き誤ります。

ファウストはきれいに開拓された領地とそこで幸せに暮らす人民を思い描き、貢献できた喜びに身を震わせて、「時よ止まれ汝は美しい」と言ってこの世から去るのです。

「時よ止まれ汝は美しい」の意味を知ろう

ここでは戯曲『ファウスト』に出てくる「時よ止まれ汝は美しい」という言葉をあらすじや物語の背景などもふまえながら、その意味をくわしく解説しました。

ファウストの置かれた状況や心情も押さえながら紐解いていくと、いっそう深い意味合いが感じられるでしょう。

また、日本語に翻訳された出版本も数多くあります。当然翻訳者によってニュアンスや解釈は異なってきますから、「時よ止まれ汝は美しい」という部分がどのように表現されているのかも注目してみてください。

本記事では、「時よ止まれ汝は美しい」を巡る場面を中心に紹介しましたが、元になる『ファウスト』はかなりの長編大作です。

書かれた時代背景や宗教的な要素も考えれば難しい部分もあるかもしれませんが、恋愛や快楽に溺れる人間ドラマや悪魔や霊が登場するようなファンタジー要素もある面白い作品です。

この機会に、ぜひ「ファウスト」全編を通して読んでみてはいかかでしょうか?

初回公開日:2022年07月07日

記載されている内容は2022年07月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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