武道の押忍が持つ意味とは?|語源や由来・使われる場面も紹介!
更新日:2024年10月24日
上記でも述べたように、「押忍」は主に空手道・剣道・柔道などの武道関係者の間であいさつとして使われています。
そのほかにも、後輩から先輩にあいさつを返す時にも「押忍」が使われています。特に体育会系の学校や部活動でよく聞くあいさつですね。
このように、「押忍」はさまざまな場面で使用されていることがわかります。
武道で使う「押忍」の意味
「押忍」はその漢字の通り、「押して忍ぶ」という意味があります。「押して忍ぶ」とは「自我を抑えて我慢する」ということです。
具体例をひとつ挙げましょう。
仕事やプライベートで、辛いことや悲しいことがあったとします。そんな時、あなたはどのように状況を乗り越えますか。自分の不運を呪う人もいれば、現実から目を背けて逃げてしまう人もいるのではないでしょうか。
そんなとき逃げだすことなく、かといって単に我慢するのでもなく、前向きで謙虚な気持ちを持って耐えることこそが「押忍」なのです。
空手道における押忍が持つ意味
空手道において「押忍」の精神はとても重要であると考えられています。具体的に3つの意味についてご紹介します。
積極忍耐
忍耐のうち、前向きな期待をもって、自発的に行動することによって困難な状況を好転させる忍耐のことを積極忍耐といいます。
反対に、他人任せで状況を自分でコントロールすることができない忍耐は消極忍耐です。
「自我を抑え我慢する」という考えは武道の精神にもつながっています。「押」と「忍」の2つの漢字が当てはめられたということは、ただ耐えるだけの「忍」だけでなく、積極的に「押」ことも大切だということです。
単に何もしないで好機を待つのではなく、希望を持ち積極的に待って堪え忍ぶことは空手だけでなく、さまざまな物事において重要な考え方ではないでしょうか。
自己鍛錬
武道の精神から生まれたとされる「押忍」と、空手の基本である自己鍛錬は切っても切り離せない関係です。己を極限まで鍛え上げることで、肉体的にも精神的にも強くなることができます。
いざというときに、自分自身や大切な人を守れるように戦える強靱な肉体を日々の鍛錬でつくり上げているということなのでしょう。
そもそも、精神が強くないと強靱な肉体をつくることはできません。生半可な気持ちでは、全てが中途半端になり極限状態で戦うことはできないでしょう。
仕事でもプライベートでも諦めることは簡単ですが、困難を乗り越えないと目標は達成できないですよね。
自己鍛錬は空手でよく耳にする言葉ですが、実生活に置き換えて考えてみるのも良いかもしれません。
日常への尊敬の念
「押忍」という言葉はとても精神性を高めることにつながるため、自分に気合いを入れる際などに発することが多い言葉と言えます。
日常で使わないからこそ、非日常で自分を高めることのできるスピリチュアルな側面を持ちます。
そんな押忍の精神性に触れることによって、日常や現実への尊敬の念を忘れないためにあるともいわれているのです。
「押忍」を使ってみよう!
いかがでしたか。
「押忍」にはさまざまな意味があり、ただ単にあいさつとして用いられるだけでなく、武道では精神世界と深いつながりを持つ意味の言葉として使用されています。
このように、「押忍」だけでなく、日頃よく耳にしている言葉のひとつひとつにはそれぞれ独自の意味やルーツがあります。
言葉本来の意味を理解した上で、あなたも「押忍」を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
初回公開日:2022年08月22日
記載されている内容は2022年08月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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