無機質な人の心理・行動とは?似た言葉や言い換え表現も解説
更新日:2024年06月13日
私たちの日常会話の中で、「あの人はどうも無機質で冷たい印象を与える。」「この広告は無機質なデザインで描かれている。」などと使われる「無機質」という言葉があります。
もともと「無機質」とは、身体を構成する炭素原子を含む物質(有機質)以外の元素を総称し、鉄・銅・亜鉛・マグネシウムなど栄養素として私たちの身体を維持するために不可欠な微量元素の類いを指します。
このように私たちが生きていく上で大切な「無機質」ですが、その言葉の使われ方を見ると、「無味乾燥」「温もりがなくて冷たい」「血が通っていない」などネガティブなイメージを感じさせます。
この言葉がなぜそのようイメージを持たれるのか? 無機質な人の心理・行動とは? などの疑問点をスタートにして、「無機質」の意味その由来などを辿ります。さらに深掘りして、無機質な人の心理・行動の具体例を挙げ、言い換え表現なども紹介していきます。
「無機質」という言葉をスマートに使いたいと思っている方に、一読をお勧めします。
「無機質」の意味とは?
「無機質」とは、五大栄養素の1つとして人の身体を維持するために不可欠な微量元素の類いを指しますが、このような微量元素の類いは金属や岩石などの鉱物の性質を持っていて、自然界では均質な一定した結晶となっています。
このことから、「無機質」は「鉱物的な」という意味合いで、生命感のない、乾いて冷たい感じのもの、また、そのような状態・印象を与える言葉として使われるようになりました。
「無機質」とは、言葉としては本来の無機物、ミネラルを意味するとともに、鉱物のような生命活動がない物質としての特性を表す汎用的な言い方として機能しています。
英語には、「無機質」のようにワンフレーズですべてを表現する機能的にすぐれた言葉はなく、使う場面に応じて鉱物としての「無機質(inorganic matter)」や鉱物的な意味合いの「人間味のない(impersonal~)」の用語などが使われています。
無機質な人の心理とは?
「無機質な人」とは、「鉱物的な」という意味合いで、心理的に乾いた醒めた心を持っている人を指し、人として持つべき心の温かさや他人に対する思いやりなどに欠けているネガティブな部分と、感情的にならない、冷静に考えるなどポジティブに評価される部分があります。
そのポジティブな側面とは
・個人の感情を交えない(仕事、人間関係などの場合)
・個人的にかかわらない(評価、評判、ランクづけなどの場合)
・客観的である(批評などの場合)
・一般的である(風評、世論、自分個人でない意見・書き方の場合)
ネガティブな側面とは
・非情である(人間として当然の喜怒哀楽の情がない場合)
・人間味がない(人間としての心の暖かみ、人情味がない場合)
などが挙げられます。
ここでは、ネガティブ、ポジティブの2つの側面から「無機質の人」の特徴や心理状態について、項目を挙げて説明します。
合理的な考え方をする
「合理的な考え方をする」とは、「無機質の人」のポジティブな心理的側面(個人の感情を交えない、客観的である)を表しています。
ここで言う「合理的」とは、
・道理をわきまえている
・筋が通っている
・論理的である
・分別がある
・実践的である
などを指し、そこでは人情や感情など人間味のある考えをするのではなく、それらを排して理性や道理、理論などに基づくことを意味します。このような「合理的」な考えは、ビジネスシーンでは評価の対象となることがあります。
「合理的な考えをする」人は、人間関係においても自分の感情を周囲に見せることなく、徹底して合理的な行動を取りがちです。この部分で、人として持つべき心の温かさや他人に対する思いやりなどに欠けるネガティブな側面が垣間見えます。
喜怒哀楽を表に出さない
「喜怒哀楽を表に出さない」とは、対外的に自分の感情を表出しないことを意味し、「無機質の人」のポジティブな心理的側面(個人の感情を交えない)を表しています。
「喜怒哀楽を表に出さない」という態度は、「合理的な考えをする」ことと表裏一体の関係にあり、人間のさまざまな感情を強固な意志で抑制しているもので、「合理的な考えをする」と同じようにビジネスシーンでは評価の対象となりえます。
ただ、このような「喜怒哀楽を表に出さない」という態度は、無機質な人にだけ現れる心理ではなく、SPD(スキゾイドパーソナリティ障害)でも感情の平板化の特徴として現れる人格障害の場合もあり、このケースでは過度の繊細さと傷つきやすさが背景にあると言われています。
「喜怒哀楽を表に出さない」とは、無機質な人の心理状態として現れる場合に限らず、SPDとして現れる場合もあることに注意しましょう。
他人の評価を気にしない
「他人の評価を気にしない」とは、「無機質の人」のポジティブな心理的側面(仕事や人間関係に個人の感情を交えない)を表しています。
ここでの「評価を気にしない」とは、「蛙の面に水」ということわざのとおり、どんな仕打ちを受けても平然としていることを指し、他者からの評判・意見に対して全く無頓着で、自分の信念と判断を踏まえ、その目標に向けて臆することなく邁進する姿勢を示しています。
このような「無機質の人」にとっては、自分を取り巻く社会で必要とされているかどうか、認められているかどうかなどは全くの無関心事なります。
マイペース
「マイペース」とは、自分の自由な進度で仕事などを行なうことを指し、「無機質の人」のポジティブな心理的側面(個人の感情を交えない、客観的である)を表しています。
「マイペース」は、自分の信念と判断に対し常に自信を持っていなければ持続することはできません。他人の目を気にしないため、周囲との対人関係など雑念にとらわれることなく冷静に物事をとらえられます。
ただ、このような「マイペース」の心理状態も、無機質な人にだけ現れるものではなく、SPD(スキゾイドパーソナリティ障害)でも、自分の周囲に関心が薄くなり1人でいることを好み孤立を恐れない気持ちとして現れる人格障害の場合もあります。
「マイペース」とは、無機質な人の心理状態として現れる場合ありますが、SPDとして現れる場合もあることに注意しましょう。
こだわりが少ない
「こだわりが少ない」とは、あることに心がとらわれすぎないことを意味し、「無機質な人」のポジティブな心理的側面(客観的である、一般的である)を表しています。
ここでは、自分の考えや主張にこだわることなく、物事を一般的・客観的視点から考察することから、以下のようなメリット・デメリットを挙げることができます。
(メリット)
・物事に対する固定観念に執着することがないため、柔軟な対応が可能である
・対人関係ではこだわりを持たないため、コミュニケーションがスムーズにいく
・慣習、前例にとらわれることがないため、突発対応や環境変化への抵抗が少ない
・思い込みがないため、斬新な発想ができる
(デメリット)
・あらかじめ立てた計画を手順どおりに実行することが苦手
・責任者としての判断、決断を安易に見直すと、周囲を混乱させてしまう
自己主張をあまりしない
「自己主張をあまりしない」とは、自分がもっている考えや意見を周囲に対し言い張ったり、言い続けたりしないことを指し、「無機質な人」のポジティブな心理的側面(客観的である、一般的である)を表しています。
このような心理は、意見や考えを述べる際に個人の見解よりその客観性を重視するものであり、一般的な風評や世論をその判断基準とする傾向が強くなります。
ただ、「自己主張をあまりしない」の心理状態も、無機質な人にだけ現れるものではなく、SAD(社会不安障害)でも、自己主張などのスピーチに不安を感じる気持ちとして現れる場合もあります。
「自己主張をあまりしない」とは、無機質な人の心理状態として現れる場合に限らず、SADとして現れる場合があることに注意しましょう。
無機質な人がとる行動とは?
初回公開日:2022年09月22日
記載されている内容は2022年09月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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