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「社長様」とメール・手紙で使っても良いのか・二重敬語なのか

更新日:2023年12月11日

取引先の社長や、自社の社長について、「社長様」という丁寧な表現を使ったことがありませんか?「社長様」という表現は、果たして、日本語として、ビジネス用語として、正しい表現なのでしょうか?本記事では、いろいろなシーンでの「社長」を示す表現について、ご紹介します。

相手の社長を示したいときは、「○○社長は、ご在席ですか?」と言うか、「社長の○○様は、ご在籍ですか?」と言うのが正しい日本語の使い方です。

自社の社長の場合は、「○○社長は、外出しております」も、間違った使い方になります。「社長」を敬称として、自社の人間に使うのは、ビジネスマナーとして間違っています。自社の人間のことは、呼び捨てにするのが、ビジネスマナーなので、「○○は、外出しております」と伝えるか、「社長の○○は、外出しております」と伝えるようにしましょう。

「社長様」と「社長殿」はどちらが正しいの?

ここまで、「社長様」は、二重に敬称を使っていることになり、日本語として間違っていると、ご紹介しました。応用して考えれば、「社長殿」も敬称が二重になっていることに、気づくでしょう。どちらも日本語の敬称の使い方としては、間違いになります。

さらに付け加えると、「様」は、目上の人に対する敬称ですが、「殿」は目上の人には使えない敬称です。「さん」とか「君(くん)」という敬称と同じです。そのため、「社長様」も「社長殿」も間違った表現とはいえ、「社長殿」は、失礼な表現とすらいえます。

ビジネスツールとして使うメールや文書の中では、「殿」は使うことのない敬称と認識していた方が良いでしょう。

「社長様」は二重敬語?

ここまで「社長様」は、「社長」という敬称と、「様」という敬称を一緒に使う「二重敬称」にあたると、ご紹介してきました。役職に関する敬称は、尊敬語にするための称号なので、敬語の一種といえます。「社長様」という言葉は、「尊敬語+尊敬語」の形式となる、二重敬語といえます。

「社長殿」や「社長さん」を使った場合、「殿」や「さん」は、尊敬語ではなく、目上の人に使うことのできない丁寧語に類するので、「尊敬語+丁寧語(目上以外)」という、敬意を払っているのか、払っていないのか、わからない、矛盾する表現となってしまいます。

「社長様」という言葉を社外の人に対して使っても大丈夫?

「社長様」は、そもそも日本語として、敬称を二重に使う、間違った表現なので、社外で使うべきではありません。「様」をつけて、敬意を払ったつもりが、むしろ「社長」を茶化して表現しているように、聞こえることもあります。「お偉い社長様だからね」などと、皮肉をいうときに用いられることもあります。

社内でも「社長様」という使い方を、すべきではありませんが、社外の場合は、「日本語表現も正しくできない」と評価されてしまう可能性もあり、ビジネスチャンスを逃すことにも、つながりかねません。「社長様」「社長さん」という使い方は、社外の人間に対して、絶対にしないように、気をつけましょう。

自社の社長に関する使い方

社外の人に対して、自社の社長のことを伝えるときは、「弊社の○○が、申しておりました」と、名前を呼び捨てにし、内容も謙譲表現にします。社長に限らず、自社の人間のことは、自分と同格として、相手に伝える必要があります。

社長などの上司を、ただ呼び捨てにするのは、気遅れしてしまうということであれば、「弊社の社長○○が、申しておりました」のように、肩書きを名前の前につけましょう。肩書きは、名前の後ろにつけると敬称の扱いになりますが、名前の前であれば、単なる肩書きの扱いになります。

他社の社長に関する使い方

社外の人との会話の中で、会話相手の会社の社長や、他の会社の社長に関して表現する際は、「社長様」はもちろんNGです。「○○社長さん」も同じく、敬称を二重に使っていることになるので、NGです。さらに「さん」は「殿」同様、目上の人に使う敬称ではないので、態度としても、失礼にあたります。

「貴社の○○社長は」とか「貴社の社長○○様は」のように、会話のなかでも、文書で使う場合と、同じ語順で表現しましょう。他社の社長を示す場合も、「xx社の○○社長は」や「xx社の社長○○様は」と表現します。

「社長様」から見えるビジネス力

「社長様」という表現が、日本語として間違いであることを、理解していただけたでしょうか。ビジネスマナーの中でも、役職名は敬称として使われるということを学びますが、相手に敬意を払うあまり、誤った使い方である「社長様」を用いてしまう人は、少なくありません。

しかし、社長になるような人たちは、ビジネスマナーはもちろん、日本語の使い方も、きちんと理解できています。自分の中の「様を使わないと失礼」という、固定観念は捨て、「自社の社長は呼び捨て」、「他社の社長は、『社長』か『様』のいずれかを敬称として使う」というルールをまっとうしましょう。

二重敬称という、おかしな表現を多用すると、ビジネス力さえも、疑われてしまうことになりかねません。自信を持って、正しい日本語表現を貫きましょう。

初回公開日:2017年12月18日

記載されている内容は2017年12月18日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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