統計の再現性・再現性がある実験をする方法|繰り返し性
更新日:2024年11月15日
統計の再現性について
研究に携わる者として避けることができない概念としては、統計学が挙げられます。これは自分の研究のデータが第三者的に見ても意味がある数字であるということを、証明するために必要不可欠な概念です。
統計学的解析がしっかりと行われていない研究は、研究として信頼できるものであるとは言えないでしょう。そのため研究を行うのであれば、統計学はしっかりと修める必要があります。
統計学の概念の中でも重要な要素がいくつか存在します。その一つして挙げられるのが、統計の再現性です。統計の再現性が保たれていない研究というのは、研究データの信頼性が損なわれることから、研究のデザインを構築する上でも非常に重要な要素になります。
こちらでは、統計の再現性とはいったい何を指し示すのかを中心に、研究における統計の重要性について紹介していきましょう。
統計の再現性は一体何を指すのか
研究になじみにない人であれば特に、統計の再現性と聞かれたときにイメージが湧かないといえるでしょう。こちらではまず、統計の再現性とは何を指し示すかについて紹介していきます。
統計の再現性とは、簡単に言うと「同じ実験をいろんな対象に実施したときに、どれだけ同じ結果が得られるか」の指標であると考えられます。例えば、同じ実験内容をいろんな人に行った時に、必ずしも全く同じ結果が出るとは限らず、ある程度個人間でバラつきがあるのが一般的です。
統計の再現性が保たれた研究というのは、このバラつきが小さくなるといえるでしょう。したがって、個人間の結果のバラつきというのが、統計の再現性を表す指標として、用いられることがあります。
統計の再現性は個人内の比較でも必要
先ほどの統計の再現性の例では、一つの研究を複数の対象者に行う研究デザインでした。研究デザインの例としては、この例の他に、同じ人に繰り返し実験や介入を行うパターンがあります。もちろんこのパターンにおいても統計の再現性は重要です。
特にこの場合で問題になるのは、測定する機器の性能が低く、実験を行うたびに誤差が生じるケースです。そういった場合は、統計の再現性が低いといわざる言えません。またこのケースと類似した例では、人の手で行われる検査の正確性が低く、検査に習熟していない検査者が行った場合に、結果にブレが生じる場合も挙げられます。
信頼性という概念
統計の再現性という言葉は専門用語で言い換えると、統計の信頼性という言葉に置き換えることが可能です。
統計学における信頼性とは統計の再現性が指し示す内容と同じく、「測定したい概念がどれだけ正確に測定できているか」という指標を指し示しています。そしてこの信頼性の概念は、さらに二つの下位項目に分けられます。それは、「検者間信頼性」と「検者内信頼性」という概念で表現されています。
検者間信頼性
検者間信頼性とは、複数の検者が同じ対象を測定したときにどれだけの誤差を生じさせるかという、データの再現性を指し示しています。言い換えると、複数の検者が検査を行ったときにどれだけその結果が一致するかという指標となります。
例えばA氏とB氏という二人の検査者がいたときに、Cさんという被験者の筋力を測定するというシチュエーションをがあったとします。筋力の測定方法は全く同じとして、A氏が測定した結果、10という数値だったの対して、B氏が測定した場合には、100という数字が得られたとする。
この例の場合には、A氏とB氏の間での数字の乖離が大きく、一貫した結果とは言えません。逆に二人の測定結果が一致した場合には、その検査方法は検者間信頼性が高く、統計の再現性が高いといえるでしょう。
検者内信頼性
統計の再現性については、検者間信頼性のほかにも、検者内信頼性というものがあります。この検者内信頼性という概念も、統計の再現性を語る上では重要な要素の一つです。こちらでは、検者内信頼性の概要について簡単に紹介しましょう。
検者間信頼性は複数の検者による検査結果のばらつきを表していました。一方検者内信頼性では、一人の検者のよる検査のばらつきを表しています。具体的にいうと複数回の同じ検査を同一の検査者が行うときの結果のブレということを表現しています。
そのため、同じ検者で結果が大きくブレてしまう検査は、検者内信頼性が低い検査であるといえるでしょう。
したがって、統計の再現性を考慮するのであれば、検者間信頼性と検者間信頼性の二つの点からの観点が必要不可欠です。
試験の再現性
統計の再現性という概念は、いろいろな検査や試験といったものにも考え方を応用することができます。
特に科学的な試験であれば、その再現性が保たれていないと、同じ試験を行ったしても結果が安定しません。そのため、いくらその検査が科学的に素晴らしい結果を示したことがあるといっても、信頼性のある検査であるとはいえません。
特に試験の再現性については、方法をしっかりと統制して、だれが行っても同じ結果が得られるように試験を作る必要があります。したがって、検者間信頼性と検者内信頼性のどちらも求められるといえるでしょう。
再現性のある実験をするためには
初回公開日:2018年04月16日
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