「赴く」の敬語表現・赴くの使い方と例文・別の敬語表現例
更新日:2024年06月15日
「赴く」の読み方
「赴く」は「おもむく」と読みます。ある目的のために行くという意味や、ある状態に向かうという意味を持った言葉です。
「赴く」は元々「面(おもて。顔のこと)も向く」という意味から生まれた言葉です。部首の「走」の上半分で人が駆けている姿を、下半分で人が伏せている(転んでいる)姿を表しており、「赴く」という言葉の意味が「急ぐほどの用件」から、「目的を目指して行く」という意味に拡大解釈されていった経緯があるとのことです。
「赴く」の丁寧語
「赴く」の意味は前の項目で説明したとおり、ただ「行く」のではなく、目的があってその場所へ向かうことや、目標としている状況になりつつある状態を表しています。ビジネスや日常で使われる「赴く」は、状況よりも「行く」という行動について使われるほうが多いので、この記事では「行く」という意味に重点を絞ります。
丁寧語は、「赴きます」「赴きました」「赴かなかったです」などの「です・ます」調の表現になります。
話者が相手以外の第三者のところへ赴いたときなどは、「赴きました」「○○さん(第三者)が赴いたそうです」などの丁寧語で表してもよいでしょう。赴く第三者が、自分だけでなく相手にとっても第三者であることが前提です。
「赴く」の敬語表現
例えば「言う」の敬語が「申す」「仰る」といったような変化が、「赴く」という言葉そのものにあるわけではありません。「赴く」は「(目的を持って)行く」という意味の別の表現なので、「行く」という言葉を敬語表現に言い換えられることが多いでしょう。
尊敬語表現と言える「赴かれる」という表現をビジネス文書で見掛けることはほとんどありません。間違いではないのですが、「○○(目的を果たすための場所)へ行かれる」または「いらっしゃる」など、「行く」の尊敬語で表現されるほうが一般的です。
「赴く」の敬語での使い方
「赴く」という言葉を使って敬語で表現する場面はあまり多くないと述べましたが、ゼロというわけではありません。日程に関する打ち合わせなどで「行く」という意味を持つ表現が数多く出てくる場合、同じ言い回しの敬語ばかり使っていると、文章全体に違和感が出てくることもあるでしょう。以下の項目で、「赴く」という言葉を使った敬語表現を紹介していきます。
敬語の種類
敬語には、相手の立場を高めて表現する「尊敬語」と、自分の立場を下げる形で相対的に相手を高める「謙譲語」の表現、そして前の項目で触れた「丁寧語」の3つの区分があります。丁寧語による使い方は既に述べているので、以下の各項目では、尊敬語と謙譲語による「赴く」の使い方を紹介します。
自分が赴く場合の使い方
赴く用向きが自分の都合である場合や、相手の意向で先方へ赴く場合でも、相手に迎え入れる準備や時間、場所の調整などの手間を掛けてもらうことになるので、謙譲語で表現します。
例1:こちらから赴かせていただいてよろしいでしょうか。
例2:13時に赴く形にさせていただいてよろしいですか。
相手の意向を確認する質問形式にすることで、相手への配慮が伝わる文章になります。また、「赴く」を「赴かせていただく」、「赴く形にする」を「赴く形にさせていただく」という表現で、「赴くこと」に対して「する」の謙譲語「させていただく」とすることで、自分を一段下げた表現の文章にすることができます。
相手が赴く場合の使い方
相手が赴く場合は、相手を自分より高めた表現に当たる尊敬語を添えて表現しましょう。
例文1:担当変更のご挨拶のときは、部長が一緒に先方へ赴いてくださるとのことです。
例文1は、話者の部下を話し相手として、話者や相手の上司に当たる部長という第三者の「赴く」行動について語った文章になります。赴く人が話者と聞き手にとってどういう立場の人であるのかも考慮した上で敬語表現を選びましょう。もし話者が部長で第三者が課長の場合は、「赴く」という丁寧語表現で問題ありません。
例文2:わざわざ当社に赴いていただきありがとうございます。
例文2は、話者が赴いてくれた相手に対して直接語り掛ける文章になっています。相手が他社の人であることから、話者が相手を高めて「赴いていただき」と尊敬語を使って赴いたことに対する礼を述べています。
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初回公開日:2018年03月24日
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