「される」の敬語表現・されるの使い方と例文・別の敬語表現例
更新日:2024年08月02日
召される
「召される」は「する」の尊敬語です。「召す」に尊敬の助動詞「れる」が付いた形です。「召す」には、「呼び寄せる」「食べる」「飲む」「着る」「風邪を引く」「年を取る」などの意味があります。
尊敬語としての使い方の例を挙げます。
・「社長がお嬢様を紹介召されるそうです。」
・「お客様がお友達を紹介召された。」
かなり古めかしい言い方ですが、間違いではありません。
よく使われる「召される」の言い方は、「天に召された」「お着物を召された」「お風邪を召された」「お年を召された」「お酒を召された」などがあります。敬語にしないで言う場合には、「お年を召された」を「お年を召した」と言います。「天に召された」の場合の「召された」は尊敬語ではなく「召す(呼び寄せる)」の受け身でしょう。
なさる
「なさる」は「される」と同じ尊敬を表わす助動詞ですが、「なさる」は「される」よりも尊敬の度合いがより高い表現方法になります。
・「社長がお嬢様を紹介なさるそうです。」
・「お客様がお友達を紹介なさいました。」
「~なさりました。」でもいいですが、時代劇で使うような言い方なので硬くて古めかしい印象が残ります。
くださる
「くださる」という尊敬語を使って言い換えます。
・「社長がお嬢様を紹介してくださるそうです。」
・「お客様がお友達をご紹介くださいました。」
「紹介してくださる」と「ご紹介くださる」は同じ意味ですが、「紹介してくださる」の方が口語的でフレンドリーなイメージです。その場の状況に応じて使い分けましょう。
敬語ではない言葉
敬語ではないのに敬語だと考える傾向の広まっている言葉があります。いくつか挙げます。
「承知」について
「承知」という言葉は謙譲語だと考える人が多いのですが、間違いです。「承る」という謙譲語が入っているので「承知」も謙譲語だという認識が広まったと考えられます。したがって「承知いたしました」は二重敬語だという考えも誤りです。
「ご存じ」について
「ご存じ」もそれだけで尊敬語だと考える人が多いですが、間違いです。謙譲語の「存ずる」によく似ているので、誤った考えが広まったと考えられます。したがって「ご存じでいらっしゃる」は二重敬語ではありません。
ちなみに「存ずる」は「承知する」の謙譲語です。「承知する」の意味は「わかりました」や「了解しました」と、「知っています」がありますが、「存じてます」や「存じ上げてます」は「知っています」の意味です。「存じます」と言う時は「そう考えています」という意味になります。
「どうぞ召し上がれ」について
幼稚園などで「どうぞ召し上がれ」と言うことがありますが、「召し上がれ」は尊敬語の命令形になります。
「お上がり下さい」は自分と同じ立場の人や目下の人に使う言葉です。「お上がりなさい」だと命令形です。「~なさい」より「~下さい」の方が感じがいいです。
しかし「召し上がれ」は「いただきます」への返しの言葉として定着しているので、尊敬語を使う相手でない人に言っても問題ありません。尊敬語というより美化語と考えていいでしょう。
命令形についてさらに言うと、「いってらっしゃい」「お帰りなさい」「お休みなさい」なども命令形です。敬語を使いたい時には語尾に「ませ」を付けると丁寧な言い方になります。「お帰りなさいませ」などです。「お上がりなさい」も「ませ」を付ければ優しい響きになります。
尊敬の気持ちを表わす敬語
敬語の中でも尊敬の気持ちを表す尊敬語は、ビジネスの場だけではなく接客のアルバイトなどでもよく使います。「いかがされますか?」とか「どちらになさいますか?」などと言います。「される」や「なさる」はお客さまに質問する時にはよく使う言葉です。
「される」は尊敬を表わす助動詞ですが、受け身の意味もあるので相手に勘違いをされないように気を付けて使う必要があります。「カードをご利用されましたか?」と聞く時に、敏感なお客様だと一瞬不愉快な気分になる可能性があります。「カードをご利用になりましたか?」と聞くなど他の言葉に言い替えた方がいい場合もあります。
尊敬語を使って相手を高める言い方は、上手に使うと相手をとても良い気分にさせ、好印象を与えることができます。自分でも上手に使えるととても気持ちの良いです。よく使われるフレーズを覚えて意味もしっかり理解した上で使いましょう。
初回公開日:2018年04月06日
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