辞令書の書き方・書式|サンプル/例文/交付日/受け取り方
更新日:2020年10月02日
辞令とは何
社会に出て組織で働きはじめると、辞令という命令文書が関わってくる場合があります。全ての会社にあるわけではないのですが、一般的には入社式や役職などの任免時、人事に関わる命令の際に発令されます。
つまりこの辞令とは、会社や雇用主が従業員に対して、昇給や昇進、配置転換(転勤・配属異動)などを命じる場合に用いる書類のことです。
この辞令は、社内報や掲示板などで社内に広く公表される会社もあれば、給与明細などに記載して本人のみに知らされる会社があります。また、そのような会社でも、個人に配慮して個人のみに通知する場合もあれば、役職の任免などに関してだけ掲示板等で通知するような場合もあります。
この辞令が発動される場合、事前に「辞令が近々交付される」という連絡が来る場合があります。いわゆる内示というものですが、これは辞令発令時に本人が慌てなくて済むようにという会社側からの配慮といえるでしょう。
辞令の種類
企業で出される辞令には色々な種類のものがあります。一般的には、従業員として採用する場合に発令する「採用辞令」、昇格や昇進する場合に発令する「昇進辞令」、人事異動に関する「配属転換辞令」、別の関連会社に出向するような場合に出される「出向辞令」などです。
転勤の辞令は「配属転換辞令」に該当し、会社によっては働く上で一番多く手にする辞令になる会社もあり得ます。これは、一定の期間ごとに配属先を変えて、さまざまな部署の仕事を学び、会社全体の仕事を学ぶという目的で行われています。
この配属転換辞令は海外では珍しく、日本独特の文化です。
辞令書の書き方・書式
辞令書は、経営者から従業員に対して行う意思表示であり、命令書です。そのため、辞令交付を受ける対象者の氏名には敬称はつけません。付ける場合であれば、統一しておく必要があります。
文書の書き方としては、「です・ます体」ではなく「である体」を用いて書くようにします。これは、公文書の取決めで、「です・ます体」は通達や通知、依頼や回答といった場合に用いて、「である体」は法律や政令、省令、訓令などに用いるようになっているからです。そこから、「である体」が採用されています。
辞令本文については、一般的には、日本古来の文書形式に従い、辞令書の中は句読点を用いないように書くようになります。
辞令書の中身は、発令事項により、その中身は必要事項のみを簡潔に書くようにします。そして発令者は、その組織のとなりますので、会社の場合は社長名です。
辞令挨拶の仕方
異動の辞令を受けると、頭を悩ますのが挨拶です。これまでお世話になった人に対して異動までの間に挨拶を済ましていかなければいけません。特に転勤を伴う場合については、元職場を離れてしまうため、挨拶をするのがマナーです。
とはいえ、現業務を行いながら引継ぎを行いつつ挨拶も行っていかなければいけないため、時間的な制約が出てきてしまいます。
まずは電話やメールで取り急ぎ挨拶を行い、時間の合間をみて後任者と共に挨拶に直接伺うのがマナーといえるでしょう。
また、手紙やハガキで挨拶を行うような場合であれば、新任地に着任後2ヶ月程度を目途に送付するようにします。
朝礼でのスピーチ例
おはようございます。四国支店に着任後5年の間勤務してきましたが、この度北陸支店への勤務を命ぜられました。
着任当初は地理が全く分からず、右も左もわからないことばかりで皆様には迷惑をかけてばかりでした。数年前に発注ミスしたトラブルの際も、皆様にご迷惑をおかけしましたが、遅くまでの残業に手をかしていただいたことはとても感謝しています。
今回四国支店を離れることになりましたが、同じ会社ですから、出張などでお会いする機会はあると思います。その際は是非声をかけていただけたらと思います。
本当にお世話になりました。
手紙での挨拶例
拝啓
陽春の候、皆様におかれましてはますますご健勝のことと心よりお慶び申し上げます。
皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、私事でございますが、このたび三月三十一日をもちまして、九州支店勤務を命ぜられ、転勤いたしました。
四国支店在勤中は、公私にわたりひとかたならずお世話になり、厚くお礼申し上げます。
これから微力ながらも精励いたす所存でございます。
今後とも一層のご指導、ご鞭撻をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして、御礼かたがたご挨拶申し上げます。
敬具
辞令は拒否できるのか
辞令はある日突然やってきます。急に異動辞令などが出れば、せっかく今の部署で築き上げてきた自分の仕事が台無しになってしまうでしょう。また、転勤を伴う異動であれば生活そのものが変わってしまいます。この辞令ですが拒否することはできるのでしょうか。
これまで上手くいっていた部署から異動しなくてはいけなくなってしまうと、一から積み上げていく必要があるため、テンションが下がってしまう可能性があります。なぜ異動しなくてはいけないのか、など疑問に感じることもあるでしょう。ですが、日本の会社には、人事権は広く認められており、拒否することは基本的には難しいと考えたほうがいいです。
会社は会社全体を見通して人事異動の辞令を出しています。この辞令は業務命令です。そのため、拒否すると就業規則などに定められた罰則が適用されることがあります。
ですが、異動辞令を拒否することができるケースもあります。
異動辞令を拒否できるケース
異動辞令を拒否できるケースに3つのケースがあります。いずれかに該当する場合には、異動辞令を断ることが可能となります。
それでは、その3つのケースを見てみましょう。
1.権利の濫用とみなされる場合
会社側には人事権が広く認められているものの、その権利の濫用とみなされる場合は、異動辞令を拒否することができます。
「会社側が気に入らない社員だからというような不当な動機や目的に基いて行おうとしている配置転換である場合」ですが、このような場合では、会社側としては、「広くキャリアを積んでもらいため」という理由などで、異動辞令を正当化してくることが予想されます。
しかし、業務上の必要性がないような場合や人員選択が合理的でないような場合、配転手続や経緯に問題がある場合、そして従業員が被る不利益があまりにも大きいような場合については、拒否が認められる場合があります。
2.看病や介護によって異動が難しい場合
要介護認定を受けた人が家族にいるような場合で、その人しか家族の介護ができないような場合、配偶者が精神的な疾患などで療養中であるというような場合では、異動辞令を拒否して認められる場合があります。就業規則などで書かれているような場合があります。
初回公開日:2018年04月18日
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