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2018年06月15日

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

日本は、長時間労働や有給取得率の低さにより、病気や過労死を招くとして問題視されています。そこで、厚生労働省は有給取得を義務化し、労働者が健康的に働けるよう改革を進めています。今回は有給取得の義務化内容や施行時期についてご紹介しましょう。

厚生労働省の有給取得の義務化内容

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

有給休暇消化率が90%以上の欧米諸国と比較して、日本人の有給休暇消化率は著しく低く、厚生労働省の調査では、平成28年度の有給休暇消化率は49.4%でした。ここ数年、有給消化率は上昇傾向にあるものの、依然として有給休暇が取得しづらい状況にはあまり変化がありません。

厚生労働省は、「有給休暇の取得率の低さは、うつ病・過労死・過労自殺に繋がる」として問題視しており、働き方改革の一環として「有給休暇取得の義務化」を掲げ、労働基準法の法改正を進めています。今回は、有給取得の義務化内容についてみていきましょう。

有給休暇

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、ゆとりある生活の実現にも資するという趣旨で制定された一年 ごとに一定の日数が与えられる労働者の休暇日で、「年次有給休暇」とも呼ばれます。有給休暇は所定の休日以外に労働者が賃金を得ながら取得できる休暇です。

有給休暇は、正社員だけでなく、派遣社員・契約社員・パート・アルバイトにも与えられ、全労働日の8割以上の出勤という条件を満たせば、雇い入れ日から6か月後に10日間付与されます。

法律で定められた労働者の正当な権利であるにも関わらず、日本人は有給取得に罪悪感を感じる人が多く、有給消化率は世界最低です。

そこで、厚生労働省は、過労による鬱や自殺を減らすため、2020年までに有給休暇取得率を70%まで引き上げるという目標を掲げ、有給取得を義務化する旨の法改正に向けて各種調整を行っています。

5日

労働基準法の改正案の一つとして、「年に10日以上の有給休暇を付与される労働者には、そのうち5日を、時期を指定した上で消化させることを会社側に義務化する。ただし、労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については時季の指定は要しない」という内容が盛り込まれています。

「有給休暇5日の取得義務化」は以前から議論されていましたが、有給取得の義務化はさまざまなリスクを伴うためいまだ法制化されてはおらず、現在開催されている第196回国会で成立するかどうか注目を集めています。 成立すれば、施行日は平成31年4月1日になる予定です。

罰則

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

有給休暇の取得は、労働基準法第39条に定められた「労働者の権利」です。労働者が有給休暇を請求したのに正当な理由なく与えない場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

年に最低5日間の有給休暇の取得が義務化された場合、法案には罰則についての記載はありませんが、今後、何らかの罰則が盛り込まれる可能性があります。

労働基準法

年次有給休暇に関する事項を就業規則に記載することは、労働基準法で義務化されています。また、年次有給休暇を取得しやすい環境を整備することは、平成18年4月に施行された「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」で定められています。

日本人の年次有給休暇の取得率は世界各国と比較して並外れて低いため、健康を害したり、過労死や自殺を招く原因になるとして問題視されており、労働基準法の早急な改正が求められています。

有給消化の義務化により買取も可能になるのか

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

有給休暇の取得が義務化されたとしても、すべての人が休暇を取れる情況にあるとは限りません。業務量が多くて休暇が取れなかった場合や、当該年度中に退職した場合は、有給の未消化日数分を会社に買い上げてもらうことはできるのでしょうか。

有給休暇の本来の趣旨は「心身を休ませることによって労働者の健康を守る」ことにあるため、有給休暇の買取は原則禁止となっていますが、有給休暇の買取が認められるケースもいくつか存在します。

ここでは 、有給の買取が認められるケースと、有給消化の義務化により、買取も可能になるのかみていきましょう。

有給休暇の買取は原則禁止

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

「業務に支障が出るから休暇を取られては困る」という企業側と、「休まなくてもいいからその分お金が欲しい」という労働者の間には、利害関係の一致があります。しかし、このような場合でも、有給休暇の買取は原則として禁止されています。

有給の買取が原則として禁止されている理由は、有給休暇は労働者の心身の健康を守るために付与される権利だからです。しかし、有給休暇の買取が可能になるケースが3つだけあります。有給休暇の買取がどのようなケースで認められるのかは、次で紹介します。

有給休暇の買取は原則として禁止

まず、注意しなければならないことは、有給休暇の買取は義務化されていないため、すべての会社で有給休暇の買取が可能なわけではないことです。会社の制度(福利厚生)として導入されている場合のみ、買取が認められます。

有給休暇の買取が認められるケース

有給休暇の買取が認められるのは以下のケースです。

1.時効にかかった有給休暇を買い取る

2.退職時に残っている有給休暇を買い取る

3.労働基準法で定められた日数より多く有給休暇を与えている場合、その超えた部分だけを買い取る

1.時効にかかった有給休暇を買い取る

有給休暇の時効は、発生してから2年間で、2年間のうちに取得しなければ権利が消滅してしまいます。有給休暇が取得できる期間中には買取ることができませんが、既に消滅してしまったものであれば、有給休暇の取得を妨げないため、買い取ることが可能です。

2.退職時に残っている有給休暇を買い取る

退職後には有給休暇を取得できなくなるため、退職時に有給の残日数分を買い取ることは「有給取得の妨げ」には当たりません。よって、1のケースと同じく、有給の買取が可能です。

3.法定日数より多く有給付与の場合

有給休暇の付与日数は、労働基準法で定められており、フルタイムで働く場合、入社してから6か月後に10日間付与されます。しかし、福利厚生制度の一環として法定日数より多く有給を付与する会社もあり、その場合、法定日数を上回る部分については有給の買取が可能です。

有給の買取については勤務先に確認を

上記1~3のケースは、あくまでも有給の買取が可能になるだけであり、有給の買取は法令で義務化されているわけではありません。有給を買い取ってもらえるかどうかは、勤務先の就業規則によります。気になる場合は、勤務先に確認してみましょう。

有給取得の義務化法案はいつから施行されるのか

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

有給休暇5日間取得の義務化法案は、現在開会中の第196回通常国会に提出された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の中に含まれています。これまで法制化されていなかった有給休暇の取得義務化法案は、今国会で成立すればいつから施行されるのか注目が集まっています。

見送り

有給取得の義務化法案はかなり前から議論されてきましたが、従業員が有給を取得することにより売上が減るなどの問題点があり、国会では審議継続となり法制化が見送られてきました。

今国会で有給取得の義務化法案が成立すれば、施行日は平成31年4月1日になるので、会社側はそれまでにさまざまな対策を講ずる必要があります。

有給取得の義務化が企業に与える影響

5日間の有給取得が義務化された場合、会社は売上高の減少などにどのように対応していくかが課題となります。単純に考えても、従業員数×5日分の労働力が減るため、業務の標準化や、人材の育成が必要不可欠です。

特定の従業員しか行うことができない業務が多い企業は、その担当者が過労で倒れたり、不慮の事故に巻き込まれたり、疲労の蓄積などにより退職を決意するなどの、企業の存続を揺るがしかねない労務リスクを抱えています。

特定の従業員が有給休暇を取得しても業務が滞りなく回るよう、会社は業務の標準化を図り、業務のマニュアル化やローテーション化により、すべての従業員が有給休暇を取得しやすい環境を作っていかなければ、有給取得の義務化に対応できません。

有給取得の義務化の適用範囲

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有給休暇は心身の疲れを回復させてゆとりある生活が送れるようにするために労働基準法で定められた、労働者のためにある休暇制度です。会社の就業規則で決められているのではなく、法律で定められた必ず取得できる休暇で、正社員だけでなく、パート・アルバイトにも付与されます。

有給取得の義務化は、アルバイトやパート、管理職にも適用されるのでしょうか。有給取得の義務化の適用範囲について紹介します。

アルバイト

あまり知られていませんが、アルバイトにも有給休暇の権利があります。週1日のアルバイトでも、要件を満たせば有給が発生します。また、週に30時間以上勤務する場合や、一日4時間の勤務でも週5日または年間217日以上勤務する場合は、フルタイムと同じ有給休暇が付与されます。

有給休暇は労働者の権利ですので、有給取得の義務化が法制化されれば、正社員だけでなくアルバイト・パートにも適用されます。勤務先に迷惑があまりかからないよう配慮しつつ、休暇を取るようにしましょう。

管理職など

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

管理職になると、日本の多くの企業では「裁量労働制」を従業員に適用し、残業代・休日出勤代が支払われなくなります。「管理職になったら、平社員の時よりも給与が少なくなった」という人も多いでしょう。

中には、管理職になった途端、残業代・休日出勤代ゼロだけでなく、有給休暇も与えないという雇用契約を結ばされるケースもありますが、これは明らかに違法です。

労働基準法により、有給休暇はすべての労働者に付与されますので、管理職だろうと取締役だろうと、休暇は取得できます。有給取得が義務化されたら、管理職であってもこれに従い、休暇を取らなければなりません。

有給取得の義務化までにしっかり準備・対策を

有給取得の義務化内容・買取も可能になるか・いつから|管理職

日本人の有給取得率が欧米諸国に比べてかなり低いことや、長時間労働による過労死や自殺者の多さは以前から問題視されています。有給取得の義務化は、長時間労働の抑制や、労働者が健康を確保しつつ、効率的に働ける環境を整備するという趣旨から、国会に改正法案が提出されました。

法案は、「発生した有給休暇が10日以上の場合、そのうちの5日は会社が労働者に対し時季を指定して与えなければならない」という内容です。ただし、すでに5日以上の有給休暇を取得している場合や、会社が5日以上の年休の計画的付与を行っている場合には該当しません。

今国会で、有給取得の義務化法案が可決された場合、施行日は平成31年4月1日です。有給休暇の取得義務化へ向けて、企業は全従業員の有給休暇の取得状況の把握、有給休暇の計画的付与の実施をはじめとする準備、業務を合理的に進める策を講ずる必要があります。

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