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2018年10月24日

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

退職時の年次有給休暇の取得に対し、て時季変更権が認められるかどうかについてまとめた記事です。会社は時季変更権を使って、休む日にちを従業員を交渉する権利があります。時季変更権をめぐっての判例やトラブル回避の方法についてご紹介していきます。

退職での時季変更権は認められるのか

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

会社を退職するときに、余っていた有給休暇を使い切ってから退職しようとされる方もいらっしゃるでしょう。定年退職のようにあらかじめ退職日が決まっているような場合では、休みの調整が取り易いでしょうが、急遽退職せざるを得ない場合に繁忙期と重なってしまったらどうなるのでしょうか。

入社してから6か月以上継続して勤務している従業員には、有給休暇の付与が労働基準法で定められていますが、現状では有給休暇を利用されている方は、少ないと言われています。

会社は有給休暇を従業員が希望した場合、与えなければならないことになっていますが、繁忙期や従業員同士の休みが重なり、業務に支障がでるような場合、有給休暇の使用日を変更するように求める「時季変更権」があります。

退職前の有給長期取得

定年退職や自己都合退職、任期満了退職など退職と一口に言ってもいろいろな形があります。何かの都合で急に退職せざるを得ないような状況では、退職日までの期間があまり無いこともあります。

例えば、退職前に長期的に有給休暇を使い旅行に行きたいと思う方もいらっしゃるでしょう。そのような時に、繁忙期と重なってしまったら、有給休暇を取ることができるのでしょうか。

従業員には、有給休暇を使用する権利があり、退職後には有給休暇を使用する権利は無くなってしまうため、余っている有給休暇がある場合、会社はできる限り従業員が取得したいと考えいる日に有給休暇を使用できるようにしなければならないことになっています。

アルバイトやパートの有給休暇

アルバイトやパートさんは有給休暇なんて貰えないと考えていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。労働基準法では、入社日から6か月経過した従業員には身分は関係なく、有給休暇を付与しなければならないことになっています。

ただし、アルバイトやパートさんの場合は週2日や週4日勤務の方もいらっしゃるでしょう。このように1週間当たりの出勤日数がフルタイムの方より少ない場合は、出勤日数に合わせて付与される事になっています。

例えば入社半年後の有給付与日はフルタイムの方で10日、週4日勤務の方では7日、週2日の方では2日です。(平成30年9月現在)

アルバイトやパートの有給休暇時季変更権

アルバイトの方やパートの方は、定年退職というより家庭の都合などにより急に退職となケースが多いでしょう。アルバイトやパートの方が大勢勤務されている会社は、人数調整のためアルバイトやパートの数を最小限に抑えていることが多くみられます。

繁忙期に退職される方が有給休暇を長期で使用されると、会社が回らなくなってしまうため、会社から時季変更権を言われて、実際には有給取得できないまま退職という事も多いと言われています。

業務引き継ぎ

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

退職前の大事な仕事として、自分から後任者へ業務の引継ぎがあります。退職日まで間がないときに、有給休暇が余っているからと長期的に使用し、引継ぎをきちんと行わず退職してしまうと、後任者が大変迷惑することになります。

会社側から、退職の引継ぎを行うまで、有給休暇の時期を変更してほしいと時季変更権を主張されることがあります。

この場合、退職日まで猶予があればいいのですが、急な退職になる場合は、有給を使用したい従業員と会社側でトラブルになることもあります。このように時季変更権の使用にあたっては会社と十分な話し合いが必要です。

繁忙期

会社によっては繁忙期、閑散期と忙しい時期に波があることがあります。例えば経理部では決算期、システム開発では親商品発表時期、衣類量販店ではバーゲン期などある程度忙しい時期は決まっています。

繁忙期に有給休暇の取得を長期的に求めた場合、業務に支障をきたす可能性があるため、会社側から有給休暇の時期変更権を求められることがあります。調整がつく場合には、従業員も会社もよく話し合い、トラブルを避けるようにしましょう。

他の従業員と年休が重なった

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

パートやアルバイトの方では、介護中の親がいる、小さなお子さんがいるなどの理由でフルタイムでの勤務が難しいことが多いと言われています。飲食店やスーパーなどでは、パートさんのお子さんの同士が同じ学校に通っているというケースも多いでしょう。

学校行事などが重なりパートさん同士の有給休暇が重なってしまったケースでは、時季変更権を使用することはたいへん難しいです。

会社側としては少ない人数で業務をまわすか他店舗から応援を頼むなど、できるだけ時季変更権をせずに済むように工夫しているケースが多いと言われています。

時季変更権の強制力

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

時季変更権は、あくまでも他の時期に年次有給休暇をずらせることが条件となります。退職日まであまり日がなく、他の時期に年次有給休暇をずらせない場合、会社側は時季変更権を使うことができなくなります。

ただし、会社側でも他に休む人が多い、業務の引継ぎが円滑に行われていないなど、会社運営に支障が出る可能性がある場合は、会社側と労働者がよく話し合い、円滑に業務が行われるようにする必要があります。

年休での時季変更権はありか

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

時季変更権とは、従業員が有給休暇を取得したいと申し出た日が正常な業務に支障を与える場合に、他の時期にずらずように話をする権利のことです。ただし時季変更権は強制力はありません。あくまで、他の日程にずらすことが可能かという話し合いを行えるだけです。

ただ、会社は業務の運営を行う必要があり、そのために従業員を雇っているのですから、繁忙期に長期で休む、急な休みを繰り返すなどを一部の従業員が行えば、正常な業務に支障が出たり、他の従業員の有給取得にも影響を良くない影響を与えることになります。

正常な業務の運営を妨げたり、他の従業員の休暇や有休取得に影響が出るよなケースでは、年次有給休暇の取得時に会社側から時季変更権を使用されることもあります。

時季変更権

労働基準法では、年次有給休暇の取得が正常な業務の運営に支障をきたす可能性がある場合、他の日にちに変更できる権利があります。(労働基準法第39条第5項)

たたし、時季変更権には強制力はないことと、退職日が迫っており他の日にちに変更が難しい場合は、時季変更権を使うことは従業員ともトラブルを生む可能性もあります。

そのため、退職日が迫っている従業員には、時季変更権の代わりに、残りの有給の買い取りなど他の案を提示し、トラブルを避けるという事もあります。

時期指定権

時季変更権は、会社から従業員に対して有給休暇取得日の変更を求める権利ですが、それとは逆に、従業員にも時期指定権という権利があります。

時期指定権とは、従業員が有給休暇を使いたい日にちを指定し、請求する権利の事です。有給休暇の取得の理由は、リフレッシュのためや体を休めることが目的であり、会社側が有給休暇を使用する理由により、時季変更権を使用するという事はできません。

また有給休暇取得時に支払われる賃金は、就業規則などで定めれた平均賃金や通常の賃金、健康保険の標準報酬日額を支払うことになっています。

退職での時季変更権を濫用されたときの対処法

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

本来、時季変更権とは正常な業務に支障が出そうなケースのみ使用される権利であって、やみくもみ使用されることはあってはならないことです。

退職することが決まっており、有給休暇を申請しても時季変更権を盾に有給休暇の取得が認められない場合、まずは、労働組合がある企業では、労働組合へ相談することになります。

労働組合がない企業では、労働基準監督署をはじめとした、下記のような法務省などの各相談部門へ相談をすることになります。

労働基準監督署へ相談

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

パワハラなどを受けていたり、社内トラブルで退職を余儀なくされるようなケースでは、有給休暇の取得も時季変更権を使い、なかなか難しいケースもあるでしょう。

会社から、時季変更権を乱用されて有給休暇の取得難しいと感じ、労働組合がない会社の場合は、まずは最寄りの労働基準監督署へ相談です。労働基準監督署は会社を監査、指導する立場です。相談内容が労働基準法に違反している場合は、是正勧告や指導を行う場所です。

いつどんな風に、有給休暇の取得に関して時季変更権を乱用されたのか、明確にしたものを持っていくと、相談に乗ってもらいやすいでしょう。

法務省みんなの人権110

法務省みんの人権110とは、法務省にある全国共通の人権相談ダイヤルになります。パワーハラスメントやいろいろな人権問題の相談を受け付ける電話です。

相談は電話だけでなく、面接での相談やインターネットを利用した相談も受け付けています。時季変更権の濫用も立派なパワハラにあたります。労働基準監督署で思ったようなアドバイスがいただけなかったような場合など、相談してみるのもいいでしょう。

日本労働組合総連合会

労働条件や職場環境の改善、社会保障などいろいろな、労働問題を解決し、労働者と会社との交渉を行う組織である労働組合の中央組織です。1988年に結成されました。

不当解雇や賃金未払いなど、時季変更権を盾に有給休暇取得時が希望した日に取得でいないことが頻繁にある場合など、労働組合と会社側との交渉が上手に行かない場合に労働問題の相談にのります。

また労働組合を作成時の相談にも応じています。

市(町)の行政センターで行われている無料法律相談

ほとんどの各当道府県の市役所や区役所、町役場では、無料の法律相談を扱っています。曜日によって各専門家の方が相談に乗ります。時間はだいたい30分前後のことが多いでしょう。

労働問題についての相談では、社会保険労務士などの専門家がおおまかな相談や対応について指導やアドバイスを行います。

会社に年次有給休暇を請求すると頻繁に時季変更権を使用されて、有給休暇を使うことができない、賃金未払い、突然雇用契約の満了を言われたなど、会社とのトラブルに対して、アドバイスや解決策についてアドバイスをもらうことができます。

退職での時季変更権に関する判例

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

退職時のトラブルとして、よく目につくのは賃金未払いや解雇ですが、実は有給休暇の使用を断られた、時季変更権を盾に使用できないと言われたなどの事例も少なくありません。

退職時にまとめて有給休暇を取得したいと考える労働者と、引継ぎや後任者を探すための間は人員不足になる会社側とトラブルの元になることもあります。

ここでは、退職に関する判例ではありませんが、時季変更権に関する判例を挙げてみました。

時事通信社長期休暇事件

通信社に勤務する記者が1か月に渡る長期休暇を申し出たところ、会社側は担当者が一人であること、休暇が長期に渡ることから他の人員を確保することが難しいことから、前半と後半に2週間ずつに分けて年次有給休暇を取得してほしいと労働者に伝えました。

また、前半の2週間は従業員の申し出どおりの日程を認め、残り後半2週間について会社側は労働者と上記の理由から、時季変更権を伝えました。当該従業員は会社側からの要求を無視して出勤しなかったため、会社側は労働者に対して、謹慎処分と賞与の減額処分を行いました。

こうした処分に対して労働者側は時季変更権は不合理なものであること、謹慎処分が無効であること、賞与の減額分の支払いを求めて提訴しました。

判決としては、前期の有給休暇は認めていること、ある程度専門知識が必要で代替え人を探すことが困難だったところから、時季変更権の行使は違法ではないとの判決でした。

退職での時季変更権は拒否できるのか

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

時季変更権は、正常な業務の運営に支障をきたす場合にのみ、会社側が従業員の有給休暇の時期をずらすように要求できる権利です。

退職日が迫っている場合、有給休暇をずらす事ができる日にちがないため、会社側は時季変更権を使用することが難しくなります。なぜなら退職日には有給休暇の権利はなくなってしまうからです。

退職前に残っている有給休暇を使い切ってしまいたいという従業員は多いでしょう。ですが、会社側は退職によって出た欠員に対して後任者を探さなければなりませんし、退職する従業員は後任者に引き継ぎを行う必要があります。

上記の事から、退職が決まってからの時季変更権の拒否はできないことはありませんが、会社側とのトラブルの原因になる場合があります。

協議のうえ退職日をずらす

退職者が退職日まで長期での有給休暇を請求してきた場合、会社はどのように対応したらいいのでしょうか。

時季変更権はずらせる時季が無いため、使うことが難しいでしょう。どうしても退職日まで長期の有給休暇を取得したいと考えるのであれば、従業員と会社で十分な協議のうえ、退職日をずらすという方法もあります。

未消化分を金銭で補う

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

特例になりますが、有給休暇の未消化分を会社で買い取ってくれるケースもあります。退職日までに有給休暇を消化できそうない、退職日をずらす事も難しい場合では、会社で有給休暇の未取得分を金銭で補てんしてもらうという方法もあります。

ただし、未消化分を買い取ってもらえるかどうかは、会社によって異なります。必ず買い取り行ってもらえる訳ではないことを覚えておきましょう。

協議のうえ、有給取得を飛び飛びで取る

協議のうえでになりますが、長期間ではなく、有給休暇の取得を時間単位や半日単位で飛び飛びで取ってもらい、業務に支障がでないように従業員に相談がある場合もあります。

本来の有給休暇の取り方とは

本来の有給休暇は、日ごろの疲れを取り、リフレッシュしてまた新たな気持ちで働いてもらうという趣旨があります。有給休暇を取得するのに取得理由を会社に告げる必要もありません。

ただし、有給取得前に事前に会社に申請をする必要があります。基本的に有給を取得したい前日までに申し出れば良いことになっています。予定がいる場合できるだけ早めに申請するようにすると、代替え要員を確保できたり、会社としても安心できます。

計画年休とは

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

計画有給とは、あらかじめ労使の間で、計画的に有給を取得する日を定めておくことを言います。近年は有給休暇の取得日数が少なく働きすぎが問題となっており、主に大企業でこの計画有給制度が使われるようになりました。

ただしこの計画有給は上限があり、労働基準法では、全有給付与日のうちの5日を超える部分です。つまり5日分のみ自分の好きな時に有給休暇を取得できることになります。どのくらいの日程を計画年休にするのかは、労使間で協定を結び決定することになります。

退職時の年休取得については労使間の話し合が必要

退職での時季変更権は認められるのか・強制力・濫用されたとき・判例

近年では計画年休制度をと入りれて、少しでも休みやすい社会を目指すよう変わりつつあります。

本来は自由に使えるはずの有給休暇が、時季変更権により、ずれることはできるだけ避けたい事です。案外気が付いていないだけで、有給休暇の時季変更権は頻繁に使われるケースも多いと言われています。

特に退職時には、余った有給休暇を使いたい従業員ときちんと引継ぎを行ってほしい会社側とトラブルになることもあります。退職時の年次有給休暇の取得については、退職日をずらす、有給休暇の買い取りなど柔軟な対応で大きなトラブルにならないように心がけることが大切です。

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