【業界研究】化学業界の現状・動向・課題について
1位:三菱ケミカルホールディングス:1,066万円
2位:積水化学工業:940万円
3位:旭化成:845万円
業界の動向
米国老舗2社の合併
2016年に、米ダウ・ケミカルと米デュポンが合併し、ダウ・デュポンとなりました。売上規模は、ダウが約600億ドル、デュポンが約300億ドルで、日本円にして約10兆円となり、これまで世界で有数だった独BASFを抜いて、世界最大の化学メーカーとなりました。
合併の理由としては、互いの事業の類似性が低く、補完が見込めることが挙げられます。ダウ・ケミカルの強みは原料分野、一方のデュポンの強みは最終製品という構造でした。
三菱ケミカルの戦略
国内でも、2016年に三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンという化学企業3社が統合して、三菱ケミカルホールディングスが誕生しました。タイミングとしては、ダウ・デュポンの合併発表の数日前になります。
三菱ケミカルホールディングスは、不採算事業を見直し、成長事業に投資するというシンプルな方向性を打ち出し、今後は成長事業のフェノール誘導品などの高機能ポリマー、光学フィルム、各種エンプラ、炭素繊維、MMA等の製品を強化していくものとみられています。
インドの農業市場
住友化学は2016年、インド5位の農薬メーカーであるエクセル・クロップ・ケアを買収しました。
インドの農薬市場は、2009年の13億円からわずか5年間で14億円まで成長しており、2019年にはさらに2割増加するとみられています。住友化学は2000年頃からインド市場に参入して北部を中心に展開してきましたが、エクセル社の買収で中部にも拡大する考えです。
三井化学アグロは同じく2016年、インドのPIインダストリーズと合弁で農薬登録会社を設立しました。農薬販売には登録が必要なため登録会社となりましたが、PI社は農薬開発メーカーでもあり、将来的には製品の開発を協力して行なっていく方針とのことです。
セルロースナノファイバー
市場規模1兆円とも言われる「セルロースナノファイバー」が実用化されます。開発したのは、京都の第一工業製薬という会社です。セルロースナノファイバーは植物由来の新素材で、紙の原料となる木材パルプをナノレベルまで細かくしたものです。
鋼鉄の5倍の強度と、鋼鉄の5分の1の軽さを備え、高温に耐え無色透明、体内に入っても安全なことから、自動車や航空機の部材、包装材、建材、化粧品、食品などその用途は多岐にわたると考えられています。経産省は2030年に、セルロースナノファイバーの市場規模が1兆円に成長すると試算しています。
市場動向
化学業界の市場規模は43兆円
日本化学工業会「日本の化学工業2016」によると、化学業界の2014年の出荷額は約43兆円となり、自動車業界の約60兆円に次ぐ第2位となっています。従業員数は約86万人で、食品業界、自動車業界に次ぐ第3位となっています。
また、研究開発費は2.6兆円で、製造業のなかでも有数クラスとなっています。