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【業界研究】鉄鋼業界の現状・動向・課題について

鉄鋼業界の業績は、世間の消費行動と密接に関係があるため、景気の動向に左右される業界と言っても過言ではありません。

堂々の1位はJFEスチールで、業界2位の大企業がランクインしています。しかも2位に200万円も差を付ける圧倒的な開きを見せての1位となります。他の業界を見渡してみても、1位と2位が200万円以上も差がある業界は無いのではないでしょうか。JFEスチールは966万円という、かなりの高給がもらえる会社になっています。

日立金属、東洋鋼鈑と続き、大同特殊鋼、パウダーテックという具合でランクインしています。業界最大手の新日鐵住金はかなり下の方に位置しており、14位にされています。業界規模や売上高と平均年収に相関関係があまりない業界は珍しいかと思いますが、この鉄鋼業界はまさにその例が当てはまる業界と言えます。

引用元:業界動向SEARCH.COM

動向1:市場動向

市場動向を占う業界の営業利益率にフォーカスを当ててみると、鉄鋼業界における営業利益率は、中国の経済発展に伴う旺盛な中国国内需要の拡大によって、2005年の段階では他の業界を大幅に上回る水準を記録していました。

しかし、世界金融危機による不景気の影響を間接的に受けた鉄鋼業界は、車の販売台数、建物の新規建設需要が冷え込んだ影響で、リーマンショック以前の3分の1までに需要が下落してしまいました。それは、景気事態が底をついていたことも理由としてありますが、他にも中国と韓国が生産能力を飛躍的に向上してきたり、鉄鋼の販売価格が悪化の一途をたどった末の結果でもありました。

鉄鋼業界は日本国内に目を向けると景気減退、住宅着工件数の減少、公共事業の発注減、そもそもの日本の人口の減少など明るい要素はあまり見当たりません。それが、海外に目を向けると、人口の多い新興国の発展や有り余る新しい建物の建築需要、旺盛な自動車や情報電子機器の購買意欲、インフラへの投資などなど鉄鋼業界において嬉しいニュースは多々あります。

そのため、縮小する内需を頼りにするのではなく、より外に目を向けて需要を取り込んでいけるかが今後の日本の鉄鋼業界に必要な姿勢と言えます。

動向2:業界の課題

鉄鋼は自動車に次ぐ基幹輸出品目であり、日本で生産された鉄鋼の4割は海外向けとして販売をしています。日本における人口減少、内需の縮小、経済停滞の影響を直接受ける業界だけに、海外への販売を強化していくことが業界の底上げになることは火を見るよりも明らかです。

しかし、2013年以降は業界の再編や、新興企業の台頭で世界の勢力図が大きく変わりました。新日鐵住金は2位に落ち、有数の生産量を誇る会社は欧州のArcelor Mittalに取って代わりました。それ以下は中国勢の企業が急伸したり、韓国のPOSCOがシェアの一角を担うようになってきています。特に中国企業の躍進はめざましく、有数10のうち6社が中国企業という状況になっています。

新興企業の台頭は業界の切磋琢磨、消費者へのサービス改善に非常に良いことですが、この鉄鋼業界においてはその新興企業の成長によって、世界的に鉄鋼の供給過多が起きています。需要に対する供給力が強すぎて、鉄鋼の販売価格にまで影響を及ぼすようになってきています。

売っても売っても利幅が少なすぎて、全然利益が上がらない、という状況に陥っているのです。それもそのはず、中国で鉄鋼を作ることに比べて、日本の人件費は非常に高く、原価率が他の国と比較して高くなってしまっているからです。

また、国内には高炉メーカー(川上から川下まで対応)が4社もあり、日本という単体で鉄鋼業界を見ると、無駄が非常に多くなっています。これまで再編を行ってきたとは言え、高炉メーカーが4社もあることにより、国内需要に対しても有り余るほどの生産力を持っています。

動向3:業界の今後の将来性

World Steel Associationレポートを見てみると、鉄鋼の需要は世界的に伸びていることが分かります。

その中での日本企業は、生産量で1位の座こそ譲ったものの、得分野である高級鋼材の品質が世界的に認められており、堂々の2位の地位をキープしています。高い技術力と品質が、自動車や電子機器などの産業では欠かせない存在感を示しています。

業界研究本


  • 図解入門業界研究最新鉄鋼業界の動向とカラクリがよ~くわかる本

  • よくわかる鉄鋼業界 (業界の最新常識)

  • 鉄鋼 (日経文庫―業界研究シリーズ)

  • 鉄鋼業界大研究

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