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【業界研究】医療機器業界の現状・動向・課題について

医療機器業界は、数多くある業界の中でも、好況・不況の波を受けにくい業界として知られています。その象徴と言えるのがリーマンショック。世界的な金融危機は、日本を構成する数多くの業界に激震をもたらしました。急激に減る売上に頭を悩ませ、リストラに走る企業が増える中、不況の波を最小限に食い止め、大規模なリストラもなし。堅調な売上推移を見せています。

平均年収は764万円。透析付心電計、ベッドサイドモニタなど様々な製品を開発しているメーカーです。心電図検査、負荷心電図検査、ホルタ心電図検査、動脈硬化検査、超音波画像診断検査、呼吸機能検査など、多岐にわたる検査をサポートする機器を開発しており、取引先も多数。機能性やユーザビリティが高い支持につながっており、従業員の平均年収にもつながっています。

業界の動向

皆さんにとっても周知の事実ですが、現在、日本では急速な高齢化が進んでいます。65歳以上の高齢者の人口は、2015年には3395万人に。その後も増加の一途を続け、2042年には3878万人になり、ピークを迎えるだろうという予測が立っています。2060年には高齢化率が39.9%になり、2.5人に1人が65際以上である、という状態に。しかも、4人に1人が75歳以上、という予測も立っています。

ここまで高齢化社会が進む理由は、寿命が長くなっていること、少子化が大きな理由。前者については治療において医療機器を使うことが増えてきており、医療機器業界には引き続き、多くのニーズが発生します。

いわば、追い風である医療機器業界ですが、業界研究を進めていくと、課題などが出てくるのも事実。皆さんに知ってほしい「医療機器業界の事実」をお伝えしていきます。

動向1:市場動向

医療機器業界の市場動向として挙げられるのは、まず、診断・治療といった従来の医療保険市場自体が活性化、流動化する可能性です。そのためには、薬事法改正に伴う医療機器のスピーディーな審査と承認が欠かせません。

また、新技術を利用した医療機器に対して、適正な保険点数が加算され、診療報酬の償還が確立されることも大切になってくるでしょう。

次に挙げられるのは、医療保険市場のフィールド外にある自由市場が拡大する可能性です。予防医療、健康増進などの仕組みが構築されていくと、新しい概念の医療機器やヘルスケア機器が誕生して、今までにない市場ができあがる可能性が出てきます。

最後に挙げられるポイントは、海外市場の展開です。日本の企業が開発した医療機器は世界的にも高い評価を獲得しており、利用する海外の病院・医院も少なくありません。

そんな医療技術と医療機関、医療関係者が一体になって海外市場のシェアを広げることは、企業だけでなく、日本の医療機器業界全体に一層強い競争力を付与する意味でも重要なテーマになるでしょう。海外の医療関係者、研究者を積極的に受け入れるなど、医療分野における国際交流も重要になると思われます。

動向2:業界の課題

医療機器業界の課題として挙げられるのは、企業だけで解決できるケースが少ないことです。法律の改正に伴う医療機器の改良や新製品の開発は、医療機関や政府、大学・研究機関などと連携して実施する必要があります。

開発機関も他の業界よりは長く、ひとつのことを変えるために多くの時間と労力を必要とするのが医療業界の特徴です。改良・改善を絶えず繰り返して進める研究開発は、そんな医療機器業界のシステムを象徴したものです。

また、機器を開発・製造・納品したからといって、すぐに効果が出るわけではありません。大切なのは納品した後です。特に新しい製品は「使い方がわからない」という医療従事者の声が多く、ティーチングやトレーニングの機会を設けることが重要になります。今後、各社には、納品するだけでなくきめ細やかなサポートをする体制の構築が重要になるでしょう。

もちろん、医療支援を実施している会社は多いのですが、そのレベルは様々。医療機器業界として、高いレベルのサービスを提供できる体制を構築することも必要になるでしょう。

動向3:業界の今後の将来性

厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、日本の医療機器市場の規模は2004年以降増加の一途をたどり、2013年には過去最大を記録しました。高齢化社会の進行は確実なもので、医療機器業界もそれに伴い、着実に増加していくことでしょう。社会を構成する数々の業界と比較しても、景気の影響を受けにくい業界であることに変わりはなさそうです。

ただ、そこにあぐらをかくと足元をすくわれる可能性があります。前述したとおり、異業界からの参入が多く、今までにない形のビジネスモデルを確立・展開して業界の勢力図を変えてしまう可能性もおおいにあります。

医療機器業界自体は将来安泰かもしれませんが、業界を構成する各社は継続的なトライ&エラーが求められていくでしょう。そういう意味で、企業体力や戦略について業界研究を進めるのは有効かもしれません。

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